看護師に限らず、転職にはさまざまな「悩み」がつきもの。

今回、看護roo!では約1,300人の看護師・准看護師を対象に、転職にまつわるアンケートを実施。

その結果をもとに、転職活動に関する悩みを「転職活動を始める前」「転職活動中」「転職後」の3つに分け、解決するためのアドバイスをそれぞれ紹介します。

ご自身の状況に合ったものを選んでみてください。

悩み/転職活動を始める前

悩み/転職活動中

悩み/転職後

※アンケートについて
・転職サポートサービスを提供する看護roo!が、看護roo!ユーザーを対象に、転職活動における悩みや転職のきっかけなどについてのアンケートを実施。
・実施時期:2022年7月
・対象:看護roo!ユーザー(3年以内に転職経験のある看護師・准看護師のみ)
・回答者数:1,338人

【転職活動を始める前の悩み】みんなの退職理由は?辞めるか迷ったら?

まずは看護師のみなさんがどんな理由で転職を考えるのか、そのきっかけとなる職場での悩みを見ていきましょう。

また、辞めるかどうか迷ったときにどうすればいいのかについても解説します。

看護師が転職を考える理由とは?

看護師さんは職場でどのような悩みを抱え、転職を考えるのでしょうか?

アンケート結果をもとに、とくに回答数の多かった退職理由を紹介します。

看護師によくある退職理由/1位:業務量が多く、残業しがちだった、2位:給料・ボーナスが低かった、3位:責任感やプレッシャーがキツかった、4位:先輩や上司が怖かった、5位:勤務がキツかった、6位:考え方や看護観が合わなかった、7位:他の施設や診療科に興味が湧いた、8位:パワハラ・いじめを受けていた、9位:休みが取れなかった、10位:より高度なスキルを身に付けたいと思った

1位:業務量が多く、残業しがちだった

看護師さんが転職を考えるきっかけとなった悩みとして圧倒的に多かったのが「業務量が多く、残業しがちだった」というもの。

忙しい日だと定時で帰れないことも珍しくなく、日勤でも20時~23時ごろまで仕事が終わらないケースも。

加えて前残業があったり、休憩時間が取れなかったりという声も多く挙がっています。

残業が多く帰宅時間が遅くなると、余暇や睡眠の時間が十分に取れずに、心身が休まりません

その上、看護師は人の命を扱う仕事でプレッシャーも人一倍。そういった状況が続けば、疲労が溜まって転職したくなってしまうのも無理はありません。

アンケート結果をさらに詳しく見てみると、業務量が多く、残業が発生しやすくなる原因としては、下記のようなものがあるようです。

  • 慢性的な人手不足で一人当たりの業務量が多い
  • 業務時間外の勉強会委員会活動がある
  • 急性期病院や三次救急で重症患者が多く、緊急入院・緊急手術がある
  • 経験年数が上がるにつれ業務量・責任が増える
  • 時短勤務なのに他のスタッフと業務量が変わらない(一方、他のスタッフは時短勤務者の仕事を巻き取る必要がある)

高齢化やコロナ禍によって、医療ニーズは年々拡大しています。

早く仕事を終わらせたいという気持ちはあっても、業界全体で人手不足が「当たり前」になってしまっている現実があります。

また、関連する悩みとして「休みが取れなかった」(9位)という声も多数挙がっています。

人手不足の影響で有給はおろか、希望した日に休みが取れなかったり、連休がなかったりといった勤務実態に、不満を感じる人は少なくありません。

2位:給料・ボーナスが低かった

退職理由として次に多く挙がったのが「給料・ボーナスが低かった」という悩み。

看護師という職種は傾向として業務量が多い上にプレッシャーも大きいため「金額が仕事に見合っていない」と感じてしまうこともあるでしょう。一部の病院では残業代がもらえず、サービス残業になっているところもあるようです。

また、ボーナスについて「1年目は支給されないと言われた」「コロナを理由に金額を減らされた」などの声も一部で挙がっています。

そもそもボーナスに関する法律はないため、ボーナスの有無や金額はどうしても病院の経営状況や裁量によるところが大きくなってしまいます。

給料やボーナスは数字としてわかりやすいので、つい友人や地域の相場感と比べてしまうのも、不満を感じやすい原因でしょう。

3位:責任感やプレッシャーがキツかった

責任感やプレッシャーがキツかった」という悩みをきっかけに、転職を考える看護師さんも多いようです。

とくに重症患者を担当するときや、夜勤などで周りに頼れる人がいないときなどでは、プレッシャーを感じて辞めたくなってしまうこともあるでしょう。

命を預かる医療現場で働く以上、こうした不安を感じてしまうのは無理もありません。

とりわけ人手不足の病院では、知識や経験が乏しい若手でもリーダー業務を任されたりベテラン看護師と同じ業務量を任されたりといったケースも少なくないでしょう。

実際、そうした体制に対して「教育体制が整っていなかった」(11位)という声も多く挙がっています。

また、中堅層になると中間管理職として上司と後輩どちらにも気を使うことが増えるため、板ばさみとなってストレスを感じることも増えるでしょう。

4位:先輩や上司が怖かった

先輩や上司が怖かった」という人間関係の悩みも、看護師さんにはつきもののようです。

同様に「反りが合わない同僚がいた」(12位)という回答も票数を集めました。

とくに新人の場合、先輩や上司が怖くて聞けずにいた結果ミスをして、そのミスを怒られてまた辛くなる……という悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。

ミスが許されないプレッシャーの中、業務量も多く切羽詰まったとき、そのストレスや焦りが発言や態度に出てしまう先輩・上司もいるかもしれません。

ただ、その程度があまりにひどかったり、特定の誰かだけに向けられたりしたとき、周囲を萎縮させてしまうのもまた事実です。

実際「パワハラ・いじめを受けていた」(8位)と感じている看護師さんも多く、それをきっかけに転職を考える人は少なくないようです。

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5位:夜勤がキツかった

夜勤がキツかった」という悩みを抱えていた看護師さんも多いようです。

人手不足の病院では月当たりの夜勤回数が多かったり、仮眠が十分に取れなかったりといったケースも少なくありません。

夜勤によって生活リズムが崩れると、どうしても体調を崩しがちになります。その結果、仕事は好きでも退職せざるをえなくなってしまうことも。

実際「体調を崩し、休みがちになった」(14位)ことを転職理由として挙げた看護師さんも多数いました。

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6位:考え方や看護観が合わなかった

看護師さんの中には「考え方や看護観が合わなかった」という悩みから転職を考えるようになった人もいます。

とくに忙しい病院で働いている場合、どうしても「効率良く作業をこなす」ことを求められ、自分が望む看護ができないと感じることがあります。

一方、患者第一主義が強い職場では看護師の負担がないがしろにされるといった声もあり、バランスの難しさがうかがえます。

また、スタッフの年齢層が高い一部の病院では、医師や経営層を含め「全体的に考え方が保守的で、課題が改善されないまま放置されている」と感じる人もいるようです。

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7位:他の施設や診療科に興味が湧いた

他の施設や診療科に興味が湧いた」という理由で、転職を考えた看護師さんもいました。

看護師さんの中には、奨学金返済の関係で最初の勤め先があらかじめ決まっていた人も多いでしょう。

その場合、日々の業務を通じて別の分野に興味を持ったり、もともと興味があった診療科に挑戦したいと思ったりすることは、ごく自然なことです。

中には一つの病院や単科での経験しかないことや、ルーティンワークをこなすだけの日々に、焦りやスキルアップへの思いが強まったという声もありました。

関連するものとして「より高度なスキルを身に付けたいと思った」(10位)という転職理由も票を集めています。

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※8位~10位は他の項目で紹介済みのため、割愛

辞めるか迷ったら、どうすればいい?

今の職場で悩みがあるからといって、すぐに転職に踏み切ることはおすすめできません

勢いで転職を決めてしまうと、のちのち後悔してしまう可能性があるからです。

ここからは、転職を決断する前にやっておきたい4つのことを紹介します。

転職を決断する前に…やっておきたい4つのこと/1.半年~1年はやってみる、2.悩みを別の角度から捉えてみる、3.今の職場で改善できないか考える、4.今の職場に残るメリットも考える

半年~1年は続けてみる

職場で悩みがあるとき、もしもあなたがまだ入職して半年以内であれば、まずは最低半年~1年ほど働いてみて、状況が改善しないか様子を見てみましょう

どんな職場であれ、その環境に慣れて一通り仕事ができるようになるには、ある程度の時間が必要です。

それまでは残業が多くなったり、先輩や上司から注意されたりするのも、ある程度は仕方のないことかもしれません。

また、仮に見切りをつけるのが早く短期で離職してしまった場合、次の応募先の採用担当者から「ウチもすぐに辞めるのでは?」などと思われてしまうリスクもあります。

たとえ辛い状況が続いた場合でも、すぐに転職を決断するのではなく、今の職場でもう少し頑張れないか、立ち止まって冷静に考えてみることが大切です。

キャリアアドバイザー

残念ながら、客観的に見ても明らかに「ブラック」な職場がないわけではありません。

その場合、心身を守るためにできるだけ早く休職や転職を検討しましょう。

自分で判断できない場合、転職アドバイザーまで気軽にご相談ください。

悩みを別の角度から捉えてみる

職場で悩みを抱えたとき、その悩みを別の角度から捉えられないか考えてみることも大切です。

例えば「ただでさえ業務量が多いのに、プリセプターを任されて責任が重い」という場合、

プリセプターを任されたのは、周囲から人間性や仕事ぶりを評価され、さらなる成長を期待されているからだ」と考えることもできます。

他にも、もし給料に不満があるならば、他の病院や職種と比べてみることで「◯◯病院はたしかに給料が良さそうだけど、残業や夜勤も多そう」「いわゆる一般事務の仕事は定時で帰れそうだけど、給料は少なそう」などと、仕事内容と給料のバランスに納得できることもあるでしょう。

あくまで考え方の問題なので、悩みの根本解決にはなりませんが、物事の悪い面だけではなく良い面にも目を向けてみると、今の職場でもう少し頑張るためのヒントになるかもしれません。

今の職場で改善できないか考える

半年~1年は働きながら様子を見つつ、悩みを解決するために今の職場でできることがないかも考えてみましょう

転職は時間と労力のかかるもの。決断する前に、今の職場に残ることを前提に考えてみることも大切です。

人間関係や病院の方針についての悩みなどは、自分ひとりでは解決が難しいのも事実ですが、少なくとも下記のようなことであれば、行動してみる価値はあるかもしれません。

  • 先輩や上司に相談する
  • 異動する
  • 勤務形態を変更する

まずは先輩や上司に悩みや課題を打ち明け、改善できないか相談してみましょう

人間関係が悪く話しかけることが難しかったり、何度声をかけても有耶無耶にされてしまったり…といった状況であれば、次は部署異動ができないか検討してみるのも一つの手です。

同じ病院でも、部署や診療科によって働き方や状況は異なるもの。同じ職場にいる部署異動の経験者にも相談しつつ、上司にかけあってみましょう。

また、勤務形態の変更も課題解決の糸口になるかもしれません。

とくに業務量や残業の多さに悩んでいる場合、「日勤のみ」やパートといった働き方に変えてみることで、プライペートとのバランスが取りやすくなることもあるでしょう。

今の職場に残るメリットも考える

転職を決断する前に、今の職場に残るメリットも考えましょう

働いていると「転職しようかな…」と感じてしまうような嫌な出来事もあるでしょう。

ただ、それだけを理由に辞めてしまうと、のちのち転職先で「総合的に考えたら、やっぱり前の職場の方がよかった…」と後悔することにもなりかねません。

そうならないためにも、今の職場での悩みや不満だけではなく、良いところや変えたくないことも同時に考えることが大切です。

その際、頭の中で整理するのには限界があるので、紙に書き出すのがおすすめ。

そうして今の職場のメリット・デメリットが洗い出せたら、今度は「自分はメリットを捨ててまでも、転職したいのかどうか」を考えてみます。

数日よく考えてみて、それでも転職したいと思えるのなら、転職活動を具体的に進めていきましょう。

キャリアアドバイザー

看護roo!転職サポートではもちろん、転職するか迷っている段階でも、ご相談を受け付けています。

アドバイザーとお話しながら、ご自身の希望や今後どうしていくかを整理していきましょう。

【転職活動中の悩み】向いている職場は?どう進める?

次に、転職活動を進める上でどんな悩みがあったのかを見ていきます。いざ転職活動を始めてみたものの、思うようにいかず苦労する看護師さんは少なくありません。

転職活動における悩みのうち、とくに票を集めたものについて、キャリアアドバイザーからのアドバイスとともに紹介します。

看護師によくある転職活動中の悩み/1位:新しい職場で馴染めるか心配だった、2位:どんな職場があるのか(向いてるのか)わからなかった、3位:応募先についての情報収集が難しかった、4位:うまくいくか不安・失敗するのが怖かった、5位:自分のキャリアに自信がなかった、6位:希望に合った求人がなかった、7位:転職すべきか残るべきか迷っていた、8位:看護師か、それ以外の職種かで悩んでいた、9位:退職について上司に伝えづらかった、10位:求人の探し方がわからなかった

1位:新しい職場で馴染めるか心配だった

転職活動を進める看護師さんの悩みとして最も多かったのが「新しい職場に馴染めるか心配だった」というもの。

たしかに転職先で人間関係をイチから作り直すことは、誰しもストレスがかかるものです。

とりわけ初めて転職するときや、転職先で年齢が近いスタッフがいないときなどは、こうした不安が余計に強まるでしょう。

また、職場の人間関係や雰囲気は実際に働いてみるまでわからないのも事実です。

さらに、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響により、事前に職場の見学ができないケースも多く、転職先の内部事情を知るのはより難しくなっていると言えます。

実際、関連する悩みとして「応募先についての情報収集が難しかった」という声も3位にランクインしています。

他にも「病院→介護施設」など新しい分野に挑戦する転職では、仕事内容や必要なスキルについて想像できず、不安に感じる看護師さんも多いようです。

解決策:いろいろな手段で情報収集をする

「新しい職場に馴染めるか心配」「応募先についての情報収集が難しい」という方は、いろいろな手段で転職先(応募先)の情報収集をすることが大切。

そうすることで働き方のイメージが明確になり、転職先への不安を和らげることができるでしょう。

具体的な手段としては、下記のようなものが挙げられます。

〈転職先について情報収集する手段〉

  • 求人広告や病院のホームページを読み込む
  • 口コミサイトを参考にする
  • 知人に聞く
  • 転職エージェントに聞く
  • 面接で質問する(可能であれば見学も!)

求人広告や病院のホームページには転職先の基本情報が記載されているので、まずはこれらをしっかり読み込みましょう。

ただ、どうしても良い面が強調されがちなので、口コミサイトなどを見て、実態やデメリットも理解しておくと安心です。

半面、口コミサイトは悪い面や極端な例ばかりが目立つことも。あくまで参考程度にしておくのが無難でしょう。

加えて、転職先で働いている/働いたことのある知人がいる場合、その人に話を聞くのもおすすめです。

そうした知人がいない場合、転職エージェントも同様に内部事情について詳しいことが多いので、気になることがあれば担当者に質問してみると良いでしょう。

他にも、面接で直接質問する方法があります。あくまで選考の場なので聞く内容や言葉遣いには気をつける必要がありますが、実態をよく理解している人の声を聞くことができます。

加えて、コロナ禍で難しいケースもありますが、可能であれば病院見学ができないか打診してみるのも良いでしょう。

面接での質問例や病院見学でのマナーについては、それぞれ下記の記事からチェックしてください。

キャリアアドバイザー

面接を受けたからといって、必ずしも転職しなければいけないわけではありません。

情報収集のためにも、気になる求人があればひとまず応募してみるのもおすすめです。

看護roo!転職サポートでは、聞きにくいことでも失礼なく質問できるよう、面接のアドバイスも行っています。心配な方はご相談ください。

病院の特徴で働き方がわかる?

あくまで病院の求人に限られますが、その機能や病床数、看護配置などによって、どのような働き方になるのかをある程度把握することができます

求人や公式ホームページを確認し、自分に合った働き方ができそうかを検討してみましょう。

病院の種類は、大まかに下記の4つ。それぞれの特徴と働き方について、くわしく見ていきましょう(※)。

※看護roo!転職サポートにおける便宜上の分類であり、法律や医療業界全体の規則として一般的に定義されているものではありません。

総合病院・大学病院など

200床以上の大きな病院。複数の科目を学べる上に看護のレベルが高く、新卒の教育体制はしっかりしている傾向。一方、仕事量や残業時間は比較的多く、中途は即戦力とみなされるためプレッシャーが大きいと感じることも。

一般病院など

200床未満で単科の病院。総合病院や大学病院よりは残業が少ない傾向にあるものの、病院によっては処置内容が限られていたり、紙カルテを使用していたりすることも。総合病院・大学病院から転職した場合は、設備や体制にギャップを感じる可能性あり。

回復期の病院・地域包括型の病院など

症状が安定している患者が多いため、一人ひとりのケアや退院支援をじっくり行うことができ、ワークライフバランスは取りやすい。半面、医療処置よりは清拭やトイレ介助などのケア業務がメインになるため、総合病院から転職した場合、仕事内容にギャップを感じることも。

療養型の病院など

回復期の病院と同様、一人ひとりの患者とじっくり関わることができ、ワークライフバランスも取りやすい。一方でルーティン業務が多いため、とくに若手の看護師は成長に限界を感じてしまうことも。

看護業務・医療処置・仕事量・残業時間が多い職場順:総合病院・大学病院など、一般病院、回復期の病院・地域包括型の病院など、療養型の病院など

2位:どんな職場があるのか(向いているのか)わからなかった

転職活動の中で「どんな職場があるのか(向いているのか)わからなかった」という悩みを抱える看護師さんもいます。

看護師さんの中には奨学金返済のために最初の就職先が決まっていて、学生時代に複数の病院を比較し、自分が働きたい職場を選んだ経験がない人も多いことでしょう。

そうした背景もあり、初めて転職するとなると、他にどんな職場があるのか、そのうち自分に合っているのはどんなところなのかがわからなくなってしまいがちです。

また、引っ越しなどで知らない土地での転職となった場合、その地域に看護師の知り合いがいないため、実態がわからず職場選びに苦労することもあるでしょう。

解決策1:まずは自分の希望を書き出す

自分に向いている職場を見つけるために、まずは自分の理想とする働き方・プライベートの過ごし方を書き出してみましょう

このとき、今の職場でやりがいを感じたこと、つらかったことだけではなく、そもそもどうして看護師になろうと思ったのか将来どのような看護師になりたいのかについても、改めて考え直します。

こうした作業をすることで、自分が働く上でどんなことを重視しているのかあるいは譲歩できることは何かがはっきりしてきます。

自分が転職先に求める条件が明確になれば、あとはその条件に合う求人を探しましょう。

選択肢は決して、病院だけではありません。

解決策2:職場ごとのメリット・デメリットを知る

クリニックや介護施設、訪問看護など、職場ごとのメリット・デメリットについてよく理解しておくことも、自分に合った職場を見つける手助けになります。

働く場所が違えば、仕事内容や給料、患者との関わり方なども大きく異なります。

それぞれの職場の特徴について調べることで、だんだんと自分が惹かれる点や許容できない点が整理され、最終的には希望が叶いそうなところだけをピックアップできます

とくに若手のうちは自分の理想とする働き方が明確になっていないケースもあるため、まずは他にどんな働き方があるのかを知った上で、自分に合いそうな職場を絞り込んでいくのがスムーズなケースもあります

看護師が働ける「病院以外」の職場とそれぞれの特徴については、下記の記事から確認してください。

キャリアアドバイザー

こうした作業を1人で行うのが難しい場合、キャリアアドバイザーとお話しながら整理していくこともできます。

不安な方は、看護roo!転職サポートまで気軽にご相談ください。

4位:うまくいくか不安・失敗するのが怖かった

※3位「応募先についての情報収集が難しかった」は1位の項目で紹介済みのため割愛

転職活動を進める上で「うまくいくか不安・失敗するのが怖かった」という悩みも、多くの看護師さんが抱えているようです。

とくに初めての転職を考えている人は「転職活動の流れがわからない」「面接でどう答えたらいいのかわからない」など、転職活動そのものについてよく知らず、漠然とした不安を感じてしまうこともあるでしょう。

その証拠として「履歴書など応募書類の書き方がわからなかった」(11位)、「面接対策の方法がわからなかった」(14位)、「転職活動の進め方がわからなかった」(15位)などもそれぞれ票を集めています。

また、新卒3年以内での転職やブランク明けの転職などで、看護師としてのスキルやキャリアに自信がない場合も、こうした不安につながりやすいでしょう。

実際「自分の職歴・キャリアに自信がなかった」という悩みも、5位にランクインしています。

解決策1:転職活動の流れを知る

「うまくいくか不安・失敗するのが怖い」という、転職活動に対して漠然とした不安がある場合、まずは転職活動の一通りの流れについて知るところから始めてみましょう。

転職に対する漠然とした不安は、転職活動の全体像をよく理解できていないことが原因のケースも。

まずはおおよその流れを知ることで、具体的に何をどういう順番でやるべきなのかを把握しましょう。

その上で、まずは求人探しなどできそうなことから始めてみるのがおすすめです。

転職活動の一般的な進め方は、下記の通り。

まずは求人探しから始まります。応募先が決まったら履歴書や職務経歴書などの応募書類を作成し、面接を受けましょう。

無事に内定が出て入職の意志が固まったら、退職・入職の手続きを進めます。

看護roo!の転職ガイドでは、転職活動の流れに沿って、履歴書の書き方や面接対策など、それぞれのポイントを解説する記事を取り揃えています。こちらもあわせてチェックしてみてください。

解決策2:臨床経験を積んで自信をつける

「自分の職歴・キャリアに自信がない」ことで不安になっている場合、今の職場で臨床経験を積めないか検討してみましょう。

看護師の転職市場ではやはり、臨床経験の長さやそこでの業務内容が評価されます

もし挑戦したい応募先があるのに、自分の職歴やキャリアに自信がないせいで踏み出せないのであれば、まずは今の職場で3年程度臨床経験を積むことを目標にしましょう。

そうすることで転職先の選択肢がぐんと広がるため、希望通りの転職を叶えやすくなるでしょう。

今の職場で臨床経験を積むのが難しいとき、あるいはこれ以上今の職場で働き続けるのが難しいときは、ひとまず臨床経験を積める職場に転職するのも一つの手です。

たとえその転職先が理想とは違っても、まずは病院で3年以上臨床経験を積み、その後に自分の望む職場にもう一度転職するイメージです。

仮に「病院以外」の職場で働きたい場合でも、臨床経験があるのとないのとでは、応募先の選択肢も転職の成功率も格段に違ってきます

将来的に自分の理想とする職場で働くためにも、まずは臨床経験を積むことが大切です。

なお「転職回数が多いことがマイナス評価につながるのでは?」と心配な場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

キャリアアドバイザー

看護roo!転職サポートでは、初めての転職の方でもイチから丁寧にサポートいたします。

転職に対して不安がある方は、気軽にご相談ください。

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6位:希望に合った求人がなかった

※5位「自分の職歴・キャリアに自信がなかった」は紹介済みのため割愛

転職活動の中で「希望に合った求人がなかった」ことに悩んだ看護師さんも少なくないようです。

とくに人の少ない地方で転職活動を進める場合、そもそも求人の選択肢が限られてしまうため、自分の希望に合った応募先を見つけにくいと感じることもあるでしょう。

また、子どもの送り迎えや親の介護といった家庭の事情がある場合、子育てや介護に理解があり、勤務時間に融通の効く職場がなかなか見つからず、求人探しに苦労する看護師さんもいます。

解決策1:自分の希望に優先順位をつける

「希望に合った求人がない」ことで悩んでいる場合、転職で叶えたいことの優先順位をつけましょう

そのためにはまず、今の職場の良いところと、転職で改善したいところを書き出します。

その上で、各項目の優先順位をつけ、絶対に譲れない条件なのか、それとも妥協できる条件なのかを整理しましょう。

そして絶対に譲れない条件が叶えられる職場に絞って、改めて求人を探せば、希望に合う職場が見つかりやすくなります。

優先順位付けの例

今の職場の良いところ、転職で改善したいところのメモ

看護師

転職するなら「残業が少なくて、人間関係の良いところ」は譲れない!

現実問題、100%の希望が叶う転職先を見つけるのはなかなか難しいことです。

なぜなら「夜勤がある分、給料が高い」「落ち着いた職場である分、医療処置が少ない」など、どんな職場も一長一短だからです。

ただ、たとえすべての希望が叶わなくても、今の職場で最も不満に感じている点を解消できる職場に転職できれば、納得感をもって働くことができるでしょう。

そのためにも、まずは転職の目的を整理し、叶えたいことの優先度を付けることが大切です。

解決策2:ステップアップのための転職だと捉える

自分の経歴・キャリアに対して理想が高すぎて求人が見つからない場合、まずはステップアップのための転職と捉えることも大切です。

例えば、急性期で重症度の高い患者対応をした経験が少ないまま、救急救命センターに転職するのは、ややハードルが高い挑戦になるでしょう。

将来的に救急救命センターで働きたいのであれば、まずはステップアップとして急性期の病棟に転職し、実務経験を積んでから改めてチャレンジしてみると良いでしょう。

救急救命センターに挑戦する前にICUでの経験も積んでおくと、さらに安心です。

このように、1回の転職ですべてを叶えようとするのではなく、次の転職をより希望に合った職場に近づくためのワンステップとして捉えることが大切。

そうすることで、応募したいと思える求人の幅も広がる上に、将来的に実現したい働き方への着実な一歩を踏み出すことができます。

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7位:転職すべきか残るべきか迷っていた

転職活動を始めるタイミングで、そもそも「転職すべきか残るべきか迷っていた」という悩みを抱えている看護師さんもいるようです。

「仕事はキツいけれど、人間関係は良い…」「やりがいはなくても、給料は良い…」など、今の職場に不満はあるものの、良い面も捨てきれないという場合に、転職に踏み切れなくなってしまう人が多いようです。

さらに「まだ若手なのでもっと経験を積んだ方がいいのでは?」「既に2回転職しているので印象が悪いのでは?」など、自分の職歴やキャリアに不安がある人も、なかなか転職を決断できずにいるようです。

加えて、辞めたくても「指導役を任されてしまった」「子どもがいて忙しい」といった、自分ではどうにもできない事情があって転職しづらいという声もありました。

関連して「転職活動をする時間がない・面倒に感じた」(13位)という悩みも票を集めています。

解決策:とりあえず求人を眺めてみる

「転職すべきか残るべきか迷う」人は、ひとまず求人を眺めてみるのも一つの手です。

求人探しは転職活動のはじめの一歩。

求人を見ることで、自分がどんな職場に惹かれるのかがわかり、それと同時に自分が今の職場で抱えている不満も少しずつ整理されていくはずです。

その上で、気になった求人に応募して、実際に面接してみるのも良いでしょう。

履歴書や職務経歴書を作成したり、面接を受けてみたりすることで、次第に他の職場や看護師の働き方についての視野が広がり、今の職場を客観的に評価できるようになるかもしれません。

結果、転職することのメリット・デメリットが明確になるので、転職すべきか残るべきかを判断しやすくなるでしょう。

キャリアアドバイザー

面接を受けたからと言って、必ずしも転職しなければいけないわけではありません。

最終的に今の職場に残ることになっても、転職の選択肢も十分検討した上で決めたのであれば、以前よりは納得感を持って働くことができるでしょう。

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8位:看護師か、それ以外の職種かで悩んでいた

転職を考えるにあたって「看護師か、それ以外の職種かで悩んでいた」という看護師さんもいます。

同じ医療関係の仕事で保健師や助産師に興味を持つ人や、もともと他にやりたい仕事がある人が一定数いるようです。

また、具体的になりたい職種はわからなくても、仕事をする中でストレスの多い状況が続き「もう病院で働きたくない」「看護師として向いてないのでは?」などと感じてしまう看護師さんも少なくありません。

解決策:他の職場を検討してみる

「看護師か、それ以外の職種かで悩む」人は、まずは看護師として働ける他の職場についてよく調べてみましょう

看護師が働ける職場は、介護施設や訪問看護など、病院やクリニック以外にもたくさんあります。

実際、2020年に厚生労働省が行った調査によると「病院以外」で働く看護師さんは約3割もいます

【看護師の就職先】病院69.0%/診療所(クリニック)13.2%/介護保険施設7.9%/訪問介護ステーション4.9%/社会福祉施設1.7%/看護師等学校・養成所・研究機関1.4%/その他2.0%/「病院以外」で働く看護師は約3割

※出典:令和2年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省
※「介護保険施設等」には介護老人保健施設、介護医療院、指定介護老人福祉施設、居宅サービス事業所、居宅介護支援事業所などが含まれます。
※「市区町村」「事業所」「都道府県」「保健所」「助産所」はそれぞれ数が少ないため「その他」として合算。

看護師が働ける職場は病院以外にもあるため、まずは下記の記事からそれぞれのメリット・デメリットをよく調べ、自分に合った働き方ができる職場がないか検討してみてもいいかもしれません。

ちなみに、2021年に実施された厚生労働省の調査によると、女性の賃金は全職種平均が25万3,000円なのに対し、看護師は31万1,800円(※)。

仮に他の職種に転職した場合、給料の面では満足いく結果にならないかもしれません。

看護師として働き続けるか迷ったときは、そうしたリスクもじっくり検討しましょう。

※出典:令和3年 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
※残業代や各種手当は含まれない

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その他:退職にまつわるトラブルも多数

看護師さんが転職活動で抱える悩みについて、他にも「退職について上司に伝えづらかった」(9位)、「今の職場を辞めさせてもらえなかった」(17位)、「退職を伝えたら周囲の態度が一変した」(18位)、「退職を理由に給料やボーナスを下げられた」(22位)といった、退職にまつわるトラブルも多数挙がっています。

人手不足だったり繁忙期だったりといった状況では、やはり上司に退職を伝えるのは気の詰まることです。

やっとの思いで伝えても、なかなか応じてもらえなかったり、退職日を延長されたりするケースも少なくありません。

また、一部では「ボーナスを減額された」「有給を消化させてもらえなかった」「何回も面談で引き止められた」といった声も。

人手不足の病院では、やはり一筋縄ではいかないこともあるようです。

解決策:対処法について知っておく

退職の流れはある程度決まっているので、どんなタイミングで何をする必要があるのか、あらかじめ知っておくことがトラブル回避につながります。

看護roo!転職ガイドには、退職手続きをスムーズに進めるための記事も多数ご用意しています。

いざ転職先が決まってから慌てないように、あらかじめチェックしておきましょう。

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番外編:20代・30代ならではの悩みもある

看護師さんが抱える転職活動についての悩みは、年齢によっても違いがあります。

ここでは20代と30代によくある悩みと、その解決策を紹介します。

20代「夜勤はイヤでも、給料は下げたくない」

20代の看護師さんの悩みとして多いのが「夜勤はイヤでも、給料は下げたくない」というもの。

新卒で入った病院は総合病院や急性期の病院で忙しいことも多いため、夜勤に疲れてしまうのも無理はありません。

一方、夜勤がないことで給料が下がるのは避けたいと、夜勤がなくても給与水準が高い美容クリニックを希望する人が多いようです。

ただ、美容クリニックで働くデメリットも知った上で判断することが大切です。

美容クリニックではどうしても医療処置が少ないため、看護師としてのスキルアップにはつながりにくい傾向があります。次の転職で病院に戻りたくても、経歴として評価されにくく、応募先の選択肢が狭まる可能性がある点には注意しましょう。

看護師としてのキャリアを考えるのであれば、夜勤はあっても今よりは落ち着いて働ける回復期、療養型の病院などの選択肢もあります

30代は子どもがいるかいないかで違う悩みがある

30代の看護師さんは子どもがいるかどうかによって、転職における悩みも違ってきます。

▼子どもがいる場合

30代で子どもがいる看護師さんに多い声はやはり「子育てと両立しながら働きたい」というもの。

日勤のみで保育園の送り迎えに間に合う時間帯で働けるところ保育園が休みの土日・祝日に休めるところを希望する人が多くいます。

この場合、訪問看護で働けないか検討してみることをおすすめします。

訪問看護は夜勤がなく、土日・祝日休みで働けるところが多いことに加え、時短勤務やパート、直行直帰といった柔軟な働き方ができるからです。

また、訪問看護は診療報酬が高いので、夜勤がなくても病院に比べて給料が大きく下がらないのも魅力のひとつです。

一方、どうしてもオンコールがあるため、子どもがいる場合、目を離せないタイミングでの電話対応や訪問に苦労する場面もゼロではありません

看護roo!転職サポートでは訪問看護の働き方についての記事も数多く公開しているので、ぜひ参考にしてみてください。

仮に訪問看護で働くことが難しい場合、保育園や病院の外来といった選択肢もありますが、そもそも求人数がかなり少ないことに加え、人気があって倍率が高いため、なかなか思った通りに転職活動が進まないケースが少なくないでしょう。

▼子どもがいない場合

30代で子どもがいない看護師さんは、さらなるキャリアアップを目指す人と、給与額はある程度維持しつつ、落ち着いた働き方を希望する人に分かれる傾向にあります。

まずキャリアアップを目指す場合、転職先としては下記の2つの選択肢が挙げられます。

  • 単科の病院で専門性を身につける
  • 総合病院や2.5次救急で経験を積む

単科の病院や特定の科目に力を入れている病院では、その分野についてより専門的な知識・スキルを身につけることができます

そうした病院はオペの件数が多く、ベッドの稼働率も高い傾向があるので、給与水準が高いところも多いでしょう。

加えて、これまで主に200床以下の病院で経験を積んできた場合、30代のうちに大規模な総合病院や2.5次救急病院で働くのも選択肢の一つです。

急性期ならではの緊張感の中、さまざまな症例・疾患について経験することができるでしょう。

また、総合病院といっても病院ごとに力を入れている科目が異なります

もし総合病院で働きながら特定の科目の専門性を磨きたい場合、その科目を強みとする病院に転職するのがおすすめです。

一方、プライベートを重視して落ち着いた働き方を希望する場合は、回復期リハビリテーション病院や療養型病院がおすすめ。退院支援を通じて地域医療を学ぶことができます

とりわけ、将来的に訪問看護師として働こうと考えている場合、確実なステップアップになるでしょう。

ただし、急性期ほど残業がない職場も多いため、給料が下がることもあります

【転職後の悩み】失敗したらどうする?

転職したはいいものの、いざ転職先で働き始めると、また新たな悩みを抱えてしまう看護師さんもいます。

悩みが解消されないと、最終的には「転職に失敗した…」と後悔してしまうケースも。

「転職に失敗した」と感じている看護師さんに、転職先の何が不満でそう感じるのかアンケートを取ったところ、下記のような結果になりました。

「転職失敗」と感じる看護師が転職先で不満に思うポイント/1位:仕事内容、2位:給料、3位:人間関係、4位:イメージとのギャップ、5位:病院の方針・看護観

上記のランキングの詳細や、「転職に失敗した」と感じたときの対処法などについて詳しくは、下記の記事で解説しています。

キャリアアドバイザー

転職に焦りは禁物です。

よく検討しないまま転職先を決めた結果「失敗した…」と後悔しないよう、事前にできる対策を知っておきましょう。

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