それぞれの打開策も紹介 看護師によくある退職トラブル10選
強引な引き止めや奨学金の即時返済など、何らかの退職トラブルにあって悩んでいる看護師さんのために、よくある退職トラブルごとに打開策を紹介します。
目次
看護師の退職トラブル・10例の打開策
看護師の退職でよくあるトラブル10例について、どんなふうに解決していけばよいか解説します。
1なかなか辞めさせてもらえない!
退職の話がなかなか進まない場合は、直属の上司に繰り返し確認し、やんわりプレッシャーをかけましょう。
確認する際、退職の話がどこまで進んでいるのかを聞き、直属の上司で話が止まっているなら「自分で看護部長に話します」と伝えてみるのも一つの手です。
自分を飛び越えて看護部長に話がいくのを避けたいと考え、話が前に進む可能性があります。
看護部長と話しても取り合ってもらえない場合は、「労働基準監督署に相談してみます」と伝える手段もあります。
病院に労働基準監督署の調査が入ることを心配し、退職を受理してもらえる可能性が高くなります。
ちなみに、法律上は、退職日の2週間前までに「退職届」を提出すれば退職できます。
トラブルや体調不良などで直接手渡しが難しい場合は、病院が受け取った日付が記録として残る「内容証明郵便」で送付しましょう。
ただし、この方法は最終手段ですので、円満な退職を望むなら、話し合いで解決するのが基本です。
内容証明についてはこちら:内容証明|郵便局
ひとことアドバイス!
退職にあたっては、前言を撤回しないことが大切です。
少しでも揺らいだ態度を見せてしまうと、引き止めにあい、辞められなくなることがよくあります。
次の転職先が決まっていても、入職日までに辞められなければ、内定が取り消されてしまうリスクがあります。
2退職日を勝手に指定された!
退職日を病院側に勝手に指定されたら、毅然とした態度で退職希望日を伝えましょう。
解雇などではなく、看護師自身の都合で退職する場合は、労働者である看護師側から退職希望日を伝えた上で話し合うのが基本です。
病院側の都合で退職日を一方的に決めることはできません。
どうしても折り合いがつかない場合は、労働基準監督署に相談するなどの対策が考えられます。
ひとことアドバイス!
次の職場が決まっている場合、転職先の病院に相談すれば入職日の変更に応じてくれる場合があります。
ただし、入職日の前倒しはできても、先延ばしはできない病院もあります。
4月の入職予定を5月に変更したいと申し出たら内定が取り消された、なんてことも実際にあります。
3奨学金の一括返済を求められた!
奨学金の一括返済を求められた場合、その必要があるかどうかは契約内容によります。
まずは奨学金を借りたときの契約書を確認しましょう。
いわゆるお礼奉公中に辞める場合、働いた期間を考慮して返済額が減額されるのが一般的です。しかし、病院によっては全額を返済しなければならないところもあります。
また、一括での返済を求められることが多く、分割に応じてもらえるかどうかは病院との交渉次第です。
※年間60万円借りた場合の返済イメージ。あくまで例で、病院ごとに異なります。
ひとことアドバイス!
都道府県や市町村など自治体の奨学金の場合、転職先の病院も同じ自治体内の指定病院であれば、引き続き返済が免除されることがあります。
契約内容を確認してみましょう。
4違約金を支払うように言われた!
退職を理由に違約金を求められても、支払う必要はありません。
労働契約に違反したことを理由に違約金を労働者に支払わせることは、労働基準法で禁じられています。
それでも不安な場合は、労働基準監督署などに相談してみることを検討しましょう。
5残業代が出なくなった!
残業代は本来支払うべきお金ですので、請求すれば病院側に支払い義務があります。
ただ、辞めるまでの間、職場に居づらくなることが心配で、病院と直接交渉はしたくないと考えることもあるでしょう。
その場合、退職後2年以内であれば、労働基準監督署に未払いの残業代を申告することが可能です。
ただし、残業をした証拠となるタイムカードや勤怠管理データなどが必要となります。
詳しくは、労働基準監督署などに相談してみましょう。
6ボーナスがもらえなくなった!
退職の意向を伝えてボーナスが支給されなくなった場合、病院側に支払い義務があるかどうかは就業規則によりますので、ボーナスの規定を確認しましょう。
「支給日在職要件」(ボーナスの支給日に在籍している職員に支払う規定)を満たしていれば、支給の対象になるのが一般的です。
ただし、「業績が悪化した場合などは支払わない」「退職する職員は減額する」など、特別な規定がある場合もあります。
7退職金がもらえない!
退職金を出さないと言われた場合、就業規則によりますので、退職金の規定を確認しましょう。
「3年未満など早期退職者には支給しない」などの規定がある場合があります。
就業規則で規定された条件を満たしていれば、病院側に支払い義務がありますので、病院の事務担当者に確認してみましょう。
支払いを求めても拒否されれば、労働基準監督署などに相談する対策が考えられます。
8有給休暇を消化させてもらえない!
労働者からの有給休暇の申請を、基本的には病院側は拒否することはできません。
直属の上司に交渉してみましょう。
具体的な取得希望日をメールや書面で申請し、それでも拒否され続ければ、労働基準監督署などに相談する対策が考えられます。
ただし、シフト勤務で働く看護師が辞めるとき、周りに負担をかけてしまうことも事実。
円満に退職したければ、年末年始や夏季休暇など、人手不足の時期を避けて申請するなどの配慮は必要です。
ひとことアドバイス!
有給休暇の消化中に、新しい職場で働き始めても構わないと誤解されている方がいます。
有給休暇の取得中はまだその病院に在籍しているとみなされ、転職先の病院では勤務できません。
その点、転職先が決まっている方はご注意ください。
9「病院都合」のはずが「自己都合」にされた!
「病院都合」の退職と言われていたのに、離職票に「自己都合」と記載されていた場合は、変更してもらうよう病院の事務担当者に交渉しましょう。
「病院都合」による退職は、閉院など病院側の都合で失業することになるため、自らの意思で退職する「自己都合」よりも失業手当が手厚くなります。
どうしても変更に応じてもらえない場合は、ハローワークに相談してみましょう。
「特定理由離職者」に認定されれば、病院都合と同様の条件(※)で失業手当が支給されます。
(※)病院都合であれば、最短で7日後から失業手当が支給されますが、自己都合では3カ月以上先になります。また、自己都合の場合、病院都合と比べて支給期間が短くなるため、受け取れる総支給額が少なくなってしまいます。
ひとことアドバイス!
「特定理由離職者」の認定は通りにくくなっていますが、病院の閉院など明らかに病院側の都合による退職の場合は、ハローワークに相談してみましょう。
10離職票が届かない!
離職票が届かない場合は、まずは病院の事務担当者に催促してみましょう。
離職票は、基本的には退職日から2週間以内に届くのが一般的ですが、病院側が送付するのを忘れている場合があります。
もし、催促してもなかなか送付してもらえないのであれば、ハローワークに相談してみましょう。ハローワークから病院へ催促してくれるはずです。
退職トラブルを防ぐ3つのポイント
誰でも、できることなら円満に退職したいのではないでしょうか。
そもそも退職トラブルにならないように気をつけておきたいポイントを紹介します。
手順をきちんと踏む
強引な辞め方は、周囲からの嫌がらせを受けるなどトラブルのもとになります。
退職日まで余裕のあるタイミングで、まずは直属の上司に退職の意向を伝えるなど、手順を踏んで、周りに迷惑をかけない辞め方をするのがポイントです。
退職決定まで周りに言わない
周りに退職することを伝えるタイミングは、直属の上司と相談しましょう。
退職のうわさが広まってしまうと、自分が伝える前に知られてしまった同僚と気まずくなるなど、不要なトラブルを招きます。
前向きな理由でブレない
周りが送り出しやすい前向きな退職理由で、退職の意思をブラさずに貫きましょう。
待遇や人間関係などマイナスな退職理由が周りに伝わると、職場内がギスギスした雰囲気になりかねません。
また、退職の意思を何度も撤回すると、周りを振り回してしまいます。
ひとことアドバイス!
看護師不足の病院も多いため、退職の意向を伝えると「あなたのせいでシフトが組めない」などと言われ、悩んだり落ち込んだりすることもあるかもしれません。
次に思い描いている未来があるならば、その思いを真剣に伝えてみましょう。
下記の記事では、看護師の退職までの流れややるべきことをまとめています。トラブルを防ぎ、スムーズに辞めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。