円満退職のための6つのステップ 看護師の失敗しない辞め方
看護師の職場は常に人手不足のため、辞め方に苦労することも…。退職までの流れと、円満&スムーズな辞め方のポイントを解説します。
目次
看護師の退職までの流れ~円満な辞め方6つのステップ
1まずは就業規則を確認する
退職を考えているとき、最初にやるべきことは「就業規則の確認」です。
退職の意思を伝える時期は、一般的には「退職日の1カ月前」が多いですが、看護師の場合、就業規則に「2カ月前」「3カ月前」に申し出るように書かれていることがあります。
法律上は「14日前」でも退職できますが、シフト勤務の看護の職場では、現実的な辞め方ではありません。
円満な退職を望むなら、就業規則で定められた期間までに退職の意思を伝えましょう。
2退職の意思を伝える
就業規則の規定を踏まえて、退職する意思を直属の上司(師長・看護部長など)に伝えます。
定期的に意向調査がある病院の場合、できるだけその機会に伝えられるのがベターです。
また、すでに転職先が決まっている場合は、就業規則の規定にかかわらず、早く伝えた方がトラブルになりにくいでしょう。
キャリアアドバイザー
「あんまり早すぎると退職日まで気まずいし…」という心配はもっともですが、同じ時期に退職希望者が重なるなどした場合、意思表示が遅くなるほど、退職交渉が難航する可能性があります。
退職交渉が難航してしまったときは、形に残る意思表示として「退職願」を提出するという方法もあります。
3正式な退職日を調整する
上司と面談・相談をしながら具体的な退職日を決めます。
こちらの希望と、担当業務の引き継ぎ期間、有給休暇の消化の有無、職場の人員計画などを考慮して決まることになります。
ずるずると引き延ばされないためにも、退職日の希望ははっきりと伝えましょう。
キャリアアドバイザー
退職日が決まったら、親しい同僚やお世話になった先輩には「公になる前に」挨拶しておくのがおすすめです。
4退職届を提出する
職場のルールに従って、退職届を提出します。
5仕事の引き継ぎ
担当していた業務や役割、委員会などの仕事は、退職日まできっちりこなすのはもちろん、引き継ぎもしっかり行います。
必要に応じて資料を作成するなど、後任のスタッフに安心して引き継いでもらえるように準備しましょう。
6退職
退職日です。最後まで気を抜かず、しっかり勤めましょう。
患者さんやお世話になった方たちへの挨拶も忘れずに。
挨拶は忙しい時間帯を避け、当日の勤務が重ならないスタッフには事前に挨拶を済ませておきましょう。
キャリアアドバイザー
下記の記事では、退職の流れのほか、退職理由の例文やよくあるトラブルなど、看護師の退職に関するノウハウをまとめて解説しています。
こちらもあわせて参考にしてみてください。
引き止めにあわない!迷惑をかけない!辞め方のコツ4つ
常に人手が足りない看護師は、退職を申し出ても強い引き止めにあうことも珍しくありません。
また、できることなら残るスタッフに迷惑がかからない辞め方をしたいもの。
スムーズな辞め方の4つのコツをお伝えします。
1退職の時期に配慮する
退職の意思を伝えるタイミングだけでなく「実際に退職する時期」についても周囲の状況に配慮することが、円満な辞め方のコツです。
もともと退職者が多く予想される時期は、それを見越して人事計画を立てている病院も多く、比較的、退職の希望が受け入れられやすい時期です。
看護師の退職が多い時期
- 年度末
- ボーナスの支給後(1月、7月)
- 院内の委員会活動やプリセプターなどの役割が一段落するタイミング
ただし、その分、退職希望者が集中する時期でもあるので、早めの申し出が大切です。
一方で、避けたい退職時期もあります。
避けたい退職時期
- ゴールデンウイーク
- 夏季休暇の時期
- 年末年始
- 院内の委員会活動やプリセプターなどの役割を担当中
です。
長期休暇の前後は人手が足りず、シフトを組むのに苦労する時期です。
そのタイミングに退職したい場合、退職交渉がこじれるリスクが大きくなります。
また、自分の役割を途中で投げ出すような辞め方は職場に迷惑をかけ、トラブルの元になります。
2退職の意思は強い気持ちでハッキリ伝える
退職の意向を伝えるときは、あいまいな言い方や中途半端な希望ではなく、「退職する意思は固まっている」という強い気持ちで面談等に臨みましょう。
「辞めるかどうか悩んでいる」と思われるような態度を見せると、あの手この手の引き止めにあいます。
退職理由も重要です。
家庭の事情、今の職場にはない領域へのチャレンジ、転職先がすでに決まっているなど、「引き止める余地がない」と思われるような退職理由を伝えましょう。
待遇への不満や人間関係の悩みによる退職理由は、「給与をアップするから」「他病棟に異動させるから」などの引き止めの材料になります。
3奨学金の規約は事前にチェックする
看護学生時代に病院の奨学金を利用した方は、「お礼奉公の期間は退職できない」「途中での退職は違約金が発生する」などの引き止めにあうことがあります。
しかし、こうした引き止めは労働基準法違反です。
一定期間、その病院で働くことで奨学金の返還義務が免除される、いわゆる「お礼奉公」の期間中でも退職することは可能です。
ただし、奨学金の返還義務そのものがなくなるわけではありません。
退職交渉をする際は、奨学金制度の規約を事前にチェックし、退職後の返済方法について誠実に話し合いましょう。
4「辞めた先輩」を参考にする
先に辞めた先輩や同僚がいれば、その辞め方をぜひ参考にしましょう。
上司に切り出したタイミングや言い方、どんな退職理由で引き止めにあったか・あわなかったか、周囲の反応など、身近な例は貴重な情報です。
上司や職場の雰囲気が変わっている場合もありますが、病院の慣例や具体的なイメージを知ることができます。
「働き始めたばかりだけど辞めたい…」新卒・試用期間の方へ
1年目や2年目はつらいことも多く、「もう辞めたい」と思うのも仕方ありません。
また、「転職したばかりだけど、新しい職場が合わない」という方も少なくないでしょう。
けれど、「働き始めて間もないのに、辞めてしまっていいのだろうか」「新卒や試用期間中の辞め方ってあるのかな」と悩まれるのではないでしょうか。
辞めたい理由をもう一度考え直してみる
1年目や2年目、あるいは試用期間中の退職は、リスクがまったくないわけではありません。
退職の意思を伝えてもなかなか受理されにくいですし、転職する際も希望先の病院に「またすぐ辞めるのでは?」と思われてしまう可能性は否定できません。
まずは「自分が今、この職場を辞めたい理由」をもう一度、静かに考え直してみましょう。
- その問題は、退職して別の職場に変われば解決するのか
- 異動を希望したり、先輩・上司に相談したりすることで改善されないか
- このまま辞めずに頑張りたい理由はないか
など、いろんな角度から考えてみましょう。
つらい気持ちのときや落ち込んでいるときは、どうしてもポジティブに考えられませんが、焦って退職するような辞め方は、やはり後悔が残ります。
落ち着いて立ち止まってみることで、意外と辞めなくてもいい理由が見つかるかもしれません。
引き止めにあいやすい辞め方
落ち着いて考え直しても、このまま働き続けられないと判断したら、思い切って退職を考えましょう。
1年目・2年目や試用期間中でも、退職までの流れや辞め方のポイントは同じです。
ただ、「先輩が怖い、人間関係がうまくいかない」「思っていた仕事・職場と違っていた」「業務がきつくて体がもたない」などの退職理由では、引き止められてなかなかスムーズに辞められません。
「今の職場では続けられない明確な理由」をはっきり伝えましょう。
キャリアアドバイザー
応募できる病院がやや限られるかもしれませんが、第二新卒を受け入れている病院も多くありますし、前職の在職期間が短くても転職に成功している看護師さんはたくさんいます!