「入院48時間以内」にリハ計画!? 入院中のADL低下対策が強化へ|2024診療報酬改定

2024診療報酬改定「入院中のADL低下を防ぐ対策強化」ポイントまとめ画像

 

2024年度の診療報酬改定では、「入院患者のADL低下を防ぐこと」に重点が置かれたことも注目です。

 

急性期回復期慢性期をまたいで、さまざまな対策が打たれています。看護現場には、どんな影響があるのでしょうか? 看護師が気になるポイントをわかりやすく解説します。

 

 

急性期でもリハビリ機能を強化へ

急性期病棟(7対1、10対1)は「短期集中型の急性期医療」を担うのが本来の役割。リハビリ機能はメインで担う機能ではありません。

 

これに対して今回の改定では、「急性期の入院中に、ADL低下や要介護度の悪化が起きてしまう」と指摘され、急性期でもリハビリ機能を充実させる対策が打ち出されました。

 

それが、入院から「48時間以内」にリハビリ・栄養管理・口腔管理の計画を作成した場合につく加算の新設です(リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算)。

 

「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」の基準まとめ。病棟に入院した患者全員に対して原則48時間以内に【1】ADL、栄養状態、口腔状態の評価を行う【2】評価に基づいてリハビリ等の計画を作成するーなど

 

患者さんの状態評価や計画作成は、リハビリスタッフと管理栄養士が中心になって行われますが、多職種カンファレンスなど、看護師にもこれまで以上の連携が求められるでしょう。

 

しかも計画作成は原則、48時間以内にすべての患者さんを対象に、です。

 

専従のリハビリスタッフを確保するのも難しいので、どこまで広がるかは不透明ですが、もし、勤務先の病棟でこの加算を算定するとなれば、入院直後のバタバタ感はますます強まりそうです。



 

回復期リハビリ病棟は「定期的なFIM記録」が義務に

一方、リハビリ機能が充実している回復期リハビリテーション病棟では、「そのリハビリは本当に効果があるのか」が、これまで以上に問われていきます。

 

今回の改定で、回復期リハビリ病棟の入院患者さんの状態について、FIM(機能的自立度評価)を2週間ごとに測定し、カルテに記録することが必須となりました。

 

これにより、入院中のリハビリの効果がはっきりとした数値で追えるようになります。

 

※FIM:ADLの評価法の1つ。運動項目と認知項目の計18項目について7段階に評価。リハビリ成果の指標としても用いられる。

 

すでに回復期リハビリ病棟の一部(入院料1、3)では、FIMの結果をもとに評価されており、「リハビリの効果が低い」とされた場合には入院料が減算されるペナルティーが設けられています。

 

リハビリのイメージイラスト

 

今回、FIM測定・記録の義務対象が拡大されたことで、いずれはこのペナルティーが回復期リハビリ病棟のすべてに適用されると予想できるでしょう。

 

実際にFIM測定を担当するのは、理学療法士などリハビリスタッフという病棟も多いと思いますが、看護師にもFIMの評価改善につながるケアがさらに求められます。



 

療養病棟は「中心静脈栄養」の離脱がさらに強化

また、慢性期の療養病棟でも、ADL低下を防ぐ対策が打たれています。

 

一番のポイントは中心静脈栄養の早期離脱」がさらに強化されること。

 

療養病棟の入院患者に関する基準はとても細かいのでわかりにくいですが、ざっくり言うと、中心静脈栄養の患者さんは、診療報酬の対象になる疾患・期間が、これまでより絞られることになりました。

 

療養病棟「中心静脈栄養」の対象の基準変更のまとめ

 

さらにもうひとつ、上の見直しとセットで、経腸栄養を新たに開始した場合の加算が新設されるのも見逃せません(経腸栄養管理加算)。

 

「経腸栄養管理加算」の基準まとめ。療養病棟に入院中の患者に対し「静脈経腸栄養ガイドライン」などを踏まえた説明を行い、新たに経腸栄養を始めた場合に算定できる

 

中心静脈栄養が長期にわたると、消化管や摂食嚥下の機能が低下し、ADL低下リスクが高まります。この2つの見直しは、

 

「中心静脈栄養が本当に適した患者さんか、よく見極めてほしい」

「経腸栄養が可能な患者さんは、経腸栄養を選択してほしい」

 

という狙いではあります。

 

ただ、経腸栄養に抵抗感のある患者さん・ご家族も少なくない中、そう単純に線引きできないのではないでしょうか。現場では難しい判断が多くなりそうです。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

(参考)

令和6年度診療報酬改定について(厚生労働省)

令和6年度診療報酬改定の概要 個別改訂事項Ⅰ(厚生労働省)

令和6年度診療報酬改定の概要 入院Ⅲ(回復期)(厚生労働省)

個別改定項目について(厚生労働省)

 

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