診療報酬で賃上げ、看護師の給料はいくら上がる?|2024診療報酬改定

2024診療報酬改定「看護師の賃上げ対策」のポイント。1)看護師等の賃金アップを目的としたベースアップ評価料を新設 2)給料2.3%アップに相当する診療報酬の引き上げへ

2024年度の診療報酬改定では「看護師など医療関係職種の賃上げ・給料アップ」が大きな焦点でした。

 

看護師の給料アップのための対策はこれまでにも行われてきたのですが、正直なところ、現場の看護師さんは「そんな実感ない」という方も多いのではないでしょうか。

 

今回の診療報酬改定の賃上げ対策のポイントとともに、看護師の給料はいくらアップするのか、確認してみましょう。

 

 

賃上げのための「ベースアップ評価料」を新設

今回の診療報酬改定では、「看護職員など医療関係職種の賃上げをするため」とズバリの目的を掲げた「ベースアップ評価料」が新設されました。

 

看護師等の賃上げのための新たな評価料の一覧。【1】外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ):外来または在宅医療を実施している医療機関【2】入院ベースアップ評価料:入院医療を実施している医療機関【3】訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ):訪問看護ステーション

 

上の図の通り、原則すべての医療機関・訪問看護ステーションが算定できる仕組みになっています。これまでの処遇改善のための診療報酬(看護職員処遇改善評価料)は約半数の医療機関が対象外だったのに対し、これは大きな違いです。

 

そして、この評価料を算定する医療機関などには、次の通り、賃金アップの取り組みが求められます。

ベースアップ評価料を算定するための条件。【1】2024年度・2025年度に賃金アップを実施する【2】「基本給または毎月決まって支払われる手当」を特定してアップする【3】賃金アップ計画を作成、実施状況を報告するーなど

 

「ベースアップ」という名前の通り、月々の固定給の引き上げに確実に当てる狙いが見えますね。

 

このほか、初診料・再診料や入院基本料が引き上げられていたり、従来の処遇改善評価料も継続されたりと、診療報酬全体で給料アップのための対策が打たれています。
 

看護師の給料はいくらアップするの?

では、こうした診療報酬改定の対策で、現場のナースの給料は、実際いくらアップするのでしょうか?

 

まず、国は、診療報酬による対策に加えて、年次に応じて昇給する「定期昇給」や医療機関への税制優遇などもひっくるめて、「2024年度に2.5%の賃金アップ、さらに2025年度に2.0%の賃金アップ」を達成しようという目標を掲げています。

 

たとえば「2.5%の賃金アップ」は、具体的な給料額でイメージしてみると、ざっくり次のようになるでしょう。

「2.5%の賃金アップ(ベースアップ)」のイメージ表。基本給が月20万円の看護師の場合、月々の給料は20万円×2.5%=5,000円アップ。年間では、5,000円×12カ月=60,000円アップする

 

このうち、診療報酬のベースアップ評価料では、2023年度の賃金に比べて2.3%アップに相当する分の引き上げが行われる見込みです(2024~2025年度)。ただし、この引上げ分が個人の直接の給料にどのくらい還元されるかは、次のような影響を受けて変わってくるでしょう。

 

診療報酬の引き上げ、実際どのくらい還元される?

まず影響するのは、賃金アップの対象職種やアップ額は施設ごとの裁量で決められるという点。

 

「ベースアップ評価料」の対象になる職種は、看護師・准看護師・助産師・保健師のほか、看護補助者、薬剤師、理学療法士作業療法士など合わせて34職種に及びます。

 

どこまでが対象になるか、職種間でアップ額に差をつけられるのかなど、それぞれの勤務先によって運用が変わると想定されます。

 

また、そもそも「ベースアップ評価料」を算定するかどうかも病院・施設次第です。というのも、すでにある賃金アップのための「看護職員処遇改善評価料」も、

 

「この対策がずっと継続される保証がない。もし次の改定で打ち切られたらと考えると、職員の給料アップに踏み切ることができない

 

として届け出なかった医療機関が実はあったと、厚生労働省の調査でわかっています。

 

新設のベースアップ評価料を使って近隣の医療機関がこぞって給料アップをすれば、そうも言っていられませんが、経営側はどうしても慎重にならざるを得ないのかもしれません。

 

労働人口が減る中で、看護師はもちろん、医療職の人材をいかに確保できるかは重要な課題。今回の診療報酬でも対策が強化されましたが、現場の働きやすさにどんな効果が現れてくるのか、今後が気になります。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます

(参考)
令和6年度診療報酬改定について(厚生労働省)

令和6年度診療報酬改定の概要 賃上げ・基本料の引き上げ(厚生労働省)

令和6年度診療報酬改定賃上げについて日本看護協会

看護職員処遇改善評価料の実績報告について(厚生労働省)

個別改定項目について(厚生労働省)
2023年病院看護実態調査報告書(日本看護協会)

 

SNSシェア

コメント

0/100

キャリア・働き方トップへ

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆看護技術の問題◆痛みを評価するスケールではないものはどれでしょうか?

  1. 数値評価スケール:NRS(Numerical Rating Scale)
  2. 聴覚的評価スケール:HAS(Hearing Analog Scale)
  3. カテゴリースケール:VRS(Verbal Rating Scale)
  4. フェイススケール:FPS(Faces Pain Scale)

10722人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

8972人の年収・手当公開中!

給料明細を検索