【2022】看護必要度、ココが変わる!|ナースのための診療報酬改定(1)

2022年度診療報酬改定の看護必要度の見直しポイントまとめ画像

 

2022年度の診療報酬改定で「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)が変更されます。看護必要度について2022年4月からの変更点とポイントをまとめました。

 

 

2022年4月~看護必要度 早わかり表

2022年度版看護必要度の一覧表。見直しがあったのはA項目の3つ

【編注】

※表は「急性期一般病棟」の看護必要度です。

看護必要度は「Ⅰ」と「Ⅱ」の2種類あります。Ⅰは看護師が各項目の評価をつける従来の方式、ⅡはDPCデータを評価に活用する新しい測定方式。

※2022年4月からは、200床以上で急性期一般入院料1(7対1)の病院と、400床以上で急性期一般入院料2~5(10対1)の病院はⅡでの評価が義務化されます。

 

 

見直しはA項目のみ B、C項目は変更なし

看護必要度とは急性期の入院患者に対する看護の量」を測定するためのもの。看護必要度の基準を満たさないと、病院の収入(診療報酬)が減額されることになります。

 

看護必要度は、A項目(モニタリング・処置など)、B項目(患者の状態など)、C項目(医学的状況)の3つを組み合わせて評価しますが、今回、見直しがあったのはA項目のみです。

 

2022年度版看護必要度、見直しのあったA項目の新旧対照

 

A項目の変更点は次の3つです。

 

  • 「心電図モニターの管理」は削除
  • 「点滴ライン同時3本以上の管理」は「注射薬剤3種類以上の管理」に変更
  • 「輸血や血液製剤の管理」の評価点数は1点から2点に

 

このうち、現場ナースに影響の大きい「心電図モニター」「点滴ライン」の変更について詳しく見てみましょう。

 

 

ポイント1:A項目から「心電図モニター」がなくなる

A項目にあった「心電図モニターの管理」は、20224月から削除されることになりました。

 

今回、なぜ評価項目から外されたのでしょうか?

 

それは、退院当日にも心電図モニターを装着しているなど、「看護必要度の基準を満たす目的で、本来は必要性が低い患者さんにも行っているケースがあるのでは…」と指摘されたため。

 

そこで、心電図モニターを付けているかどうかは、急性期医療を評価する指標にしない、と決まったというわけです。

 

必要性の低い心電図モニターの管理が減れば、現場ナースの業務負担が軽くなると考えられる一方で、「看護必要度を満たすハードルは厳しくなった」とも言えます。

 

と言うのも、「看護必要度を満たす患者」は下のような点数をクリアする必要がありますが、心電図モニターの評価がなくなったことで、A項目の点数をカウントしにくくなったためです。

 

「看護必要度を満たす患者」の条件表。「A項目2点以上&B項目3点以上」または「A項目3点以上」または「C項目1点以上」のいずれかを満たしている必要がある

【編注】

※「急性期一般病棟」の看護必要度の基準です。

 

特に、内科系病棟では「心電図モニターの管理」が看護必要度を満たすための重要な項目となっており、影響が大きいとして、病院団体からは、

 

「新型コロナの中等症、腸閉塞、重症肺炎脳卒中の入院患者でも、看護必要度を満たせなくなる可能性がある」

 

という指摘も出ています。

 

 

ポイント2:A項目「点滴ライン同時3本以上」は「注射薬剤3種類以上」に

もう一つ、A項目の点滴ライン同時3本以上の管理」が「注射薬剤3種類以上の管理」に見直されるのも、気になる変更ポイントです。

 

同時に3本以上の点滴ラインを確保している患者さんも少なくありませんが、詳しくデータを調べてみると、「ラインは3本、使用薬剤は2種類以下」というケースもあることがわかりました。

 

そこで、もともとの趣旨に合うように「薬剤の数」できちんとカウントしよう!ということになりました。

 

 

ポイント3:「重症患者の割合」の基準はやや緩く

ここまで見てきたように、看護必要度の評価項目は厳しめになった一方で、もう一つの基準である「重症患者の割合(看護必要度を満たす該当患者の割合)」は、やや緩くなります

 

急性期の病院・病棟は「入院患者のうち、重症患者が%を占める」という基準が細かく決まっていますが、今回は次のように見直されます。

 

「重症患者(看護必要度を満たす該当患者)の割合」の新旧対照表。急性期一般入院料1における看護必要度Ⅰの基準は31%のままだが、ほかは1~3ポイントずつ緩和される

【編注】

※2022年4月から急性期一般病棟の入院料は、従来の7つから6つに再編されます(旧・入院料6は廃止、旧・入院料7が新・入院料6となる)。

 

この基準は、診療報酬改定が行われるたびにハードルが上がっていたのですが、

 

「今回は、A項目が厳しくなった分、重症患者の割合の基準を厳しくするのは控えますね」

 

という方向で調整が入りました。

 

「コロナ対応で医療現場は疲弊しているのに、看護必要度が厳しくなりすぎたら、地域医療が維持できない」

 

と訴えた病院側の反発に配慮した形となりました。

 

 

あなたの病院での影響は…?

今回の看護必要度の見直しは、2022年4月からとなりますが、急激に変わることで現場が混乱するのを避けるため、9月末まで経過措置期間が設けられています。そのため、現場で本格運用されるのは、202210月からとなるでしょう。

 

「7対1の入院ベッドを減らして、病院・病棟の役割分担を進めよう」という国の動きは、これまでと変わりません。特に、今回の看護必要度の見直しは、内科系の急性期病棟(71101)が、これまでのような体制を継続できるかが試されることになりそうです。

 

みなさんの勤務先でも、より重症な患者さんの入院受け入れに積極的になったり、看護必要度のチェック漏れに気を配ったりと、今後、さまざまな影響が出るかもしれません。

 

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

(参考)

令和4年度診療報酬改定について(厚生労働省)

個別改定項目について(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会 入院医療(その2)(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会 入院医療(その8)(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会 入院医療(その9)(厚生労働省)

重症度、医療・看護必要度見直しに関する要望書(日本医療法人協会)

 

 

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