周産期医療システムが追加!母性看護学の出題項目を解説|107回看護師国家試験出題基準変更点

今年、看護師国家試験の出題基準改定が4年ぶりに行われました。この基準は第107回(2018年)の看護師国家試験から適用されます。

小児看護学に引き続き、今回は「母性看護学」の項目についてお伝えします。

 

変更点まとめ

一般・状況設定問題編(8)

 

母性看護学は、追加された項目が多いですが、覚える内容が具体的になったので学びやすくなったともいえそうです。

ひとつずつ、一緒に確認していきましょう(詳細は原典〈PDF〉をご覧ください)。

 

 

 

〈1〉リプロダクティブ・ヘルスに関する看護

看護師国家試験 母性看護学〈1〉リプロダクティブ・ヘルスに関する看護 出題基準変更点の図表

リプロダクティブ・ヘルス」は、性と生殖に関する健康とその権利を指します。この項目では、過去にも出題されている「性の多様性(性同一性障害、性分化疾患、LGBT)」「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>」について復習しておくとよいと思います。

倫理的課題が、「人工妊娠中絶」「生殖補助医療」「出生前診断」と細分化されている点にも注目です。

 

 

〈2〉女性のライフサイクル各期における看護

看護師国家試験 母性看護学〈2〉女性のライフサイクル各期における看護 出題基準変更点の図表

思春期から老年期までの健康問題を取り上げています。「骨粗鬆症」「閉経」の追加、下腹部痛頭痛腰痛などの「月経随伴症状」「女性生殖器の疾患」として子宮筋腫子宮内膜症が明記されている点、男性と女性に分かれた「不妊症」などがポイントになりそうです。

また第106回国試では、「成熟期女性の受胎調節について適切なのはどれか」という出題がされているので復習しておくとよいでしょう(正解:経口避妊薬は女性が主導で使用できる)。

「性感染症」のカッコ書きが<STD>から<STI>に変更されたのは、全身症状が出るものだけでなく、無症状のものを含んで表現する近年の傾向を捉えたのが理由と思われます。

 

 

〈3〉妊娠・分娩・産褥期および早期新生児期における看護の対象と基盤となる概念

看護師国家試験 母性看護学〈3〉妊娠・分娩・産褥期および早期新生児期における看護の対象と基盤となる概念 出題基準変更点の図表

4つのカタカナ語が登場しました。これらは保健師国家試験の出題範囲でしたが、看護師にも必要な知識として今回から追加されています。

ウェルネス(健康を維持し、より積極的に発展させようとする生活態度や行動)

エンパワメント(自らの力で問題解決能力を獲得していくこと)

ヘルスプロモーション(人々が自分の健康をコントロールし改善できるようにするプロセス)

セルフケア(自分の健康を自分で管理すること)

 

 

〈4〉妊娠期の看護

看護師国家試験 母性看護学〈4〉妊娠期の看護 出題基準変更点の図表

〈4〉妊娠期〈5〉分娩期〈6〉産褥期については、項目が詳細になっています。妊娠期は、正常な妊娠の経過、胎児の発育、マイナートラブルなどが頻出です。追加された「妊娠貧血」「妊娠悪阻」「高年妊娠、若年妊娠」も復習しておくべきキーワードです。

「Leopold<レオポルド>触診法」動画で手技を確認するとよいでしょう。

 

 

〈5〉分娩期の看護

看護師国家試験 母性看護学〈5〉分娩期の看護 出題基準変更点の図表

まずは、正常な分娩の経過(第1~4期)について学びましょう。分娩の区分(流産、早産、正期産、過期産)、破水の種類(前期、早期、適時)も頻出です。

「陣痛異常(微弱陣痛、過強陣痛)」「分娩の3要素(娩出力、産道、娩出物)」は、今後ねらわれる可能性が高いと思われます。

 

 

〈6〉産褥期の看護

看護師国家試験 母性看護学〈6〉産褥期の看護 出題基準変更点の図表

こちらもたくさんの項目が出題基準として明記されていますが、学習すべき内容が具体的になったと前向きに理解していきましょう。

「バースレビュー」は、褥婦が出産体験を振り返ることを指します。肯定的に出産を捉えられるように支援することが、看護師として大切になります。

 

 

〈7〉早期新生児期の看護

看護師国家試験 母性看護学〈7〉早期新生児期の看護 出題基準変更点の図表

新生児のなかでも「早期」新生児に特化した出題基準になっています。

新生児の健康状態の指標「Apgar<アプガー>スコア」、先天性代謝異常等を検査する「新生児マススクリーニング」に注目です。特にアプガースコアは、点数の付け方が第105回国試で出題されました。難しい表ではないので概要を覚えておくとよいでしょう。

「新生児一過性多呼吸<TTN>」「呼吸窮迫症候群<RDS>」「胎便吸引症候群<MAS>」の鑑別は、第100回の国試で出題されています。

 

 

〈8〉周産期医療のシステムと母子保健施策

看護師国家試験 母性看護学〈8〉周産期医療のシステムと母子保健施策 出題基準変更点の図表

新しく作られた項目です。妊娠、出産から新生児期まで総合的に関わる「周産期医療ネットワーク」について問われることになります。ハイリスク出産、周産期異常、チーム医療などをおさえておくとよいでしょう。

また、社会資源として「母子保健法」「子育て支援」がこの項目に入っています。法や施策は苦手意識が強い人が多いですが、覚えてしまうと大きな得点源につながります。教科書や最新の参考書で概要を確認しておきましょう。

 

 

***

次回は「精神看護学」についてお伝えします。

【看護roo!編集部】

 

 

(参考)

「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成 30 年版」の改定概要について(厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成26年版、厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成30年版、厚生労働省)

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