看護としてのアロマを実践する|日本アロマセラピー学会認定看護師【前編】
アロマセラピーは、心身の病気の治療や軽減に補助的な効果をもたらし、またストレス予防や日常の健康管理に役立つことが医学的に証明されています。しかし、日本で普及しているのは、どちらかというと「リラクセーション」としてのアロマセラピーで、「癒し」のイメージが一般的ではないでしょうか。
「病気や症状という表面的なことだけでなく、看護師にとってホリスティック(全人的)に患者さんを見られる機会でもあります」
と話すのは、日本アロマセラピー学会認定看護師の小山めぐみさん。
日本アロマセラピー学会(JSA)は、アロマセラピーを医療に正しく応用することを目的に、臨床医が中心となって1997年に組織されました。今回はご自身もJSA認定看護師であり、学会の理事で、認定資格制度の設立にも携わったという小山さんにお話を伺いました。
日本アロマセラピー学会認定看護師・小山めぐみさんインタビュー【前編】
補完代替医療としてのアロマセラピー
小山さんは大学病院の救急救命センター勤務を経て、アロマセラピーを学ぶためにイギリスへ留学。帰国してから現在に至るまで、東京都葛飾区の「朱クリニック」で看護師兼アロマセラピストとして勤務しています。
クリニックでは、薬物療法や外科的治療を中心に行う現代の西洋医療だけでは、患者の心身の苦痛に対して十分ではないと考え、補完医療を取り入れた統合医療を実践しています。アロマセラピー以外にも「イトオテルミー療法(薬草温熱療法)」「鍼・灸」「リフレクソロジー(足裏反射区療法)」などを受けることができます。
小山さんを含め、クリニックに在籍するセラピストは4名。看護師や薬剤師を兼任しているため、アロマセラピー以外の業務も行います。医師の診察後に治療計画を立て、それに従って4名で一日20~30名の患者に施術。1回の施術時間は10分程度ですが、それ以上を必要とする、希望する場合は、併設のセラピールームで施術を受けることできます。
医療者であるアロマセラピストの使命
小山さんは「施術するだけでなく、患者さんの疾患や症状、状態に応じてセルフケアアドバイスも行うのが看護師でもあるセラピストの役割です」と語ります。
アロマオイルを購入するときも、小山さんらアロマセラピストに相談できる
たとえばがん患者の場合、アロマセラピーは病気や治療に対する不安や抑うつを和らげ、免疫力や治癒力を向上させるとされています。しかし、化学療法中にアロマセラピーを行っていいかわからなかったり、放射線治療中で皮膚にかぶれやただれがあってマッサージが心配だったり、患者に安全に使えるかという問いに、医療の知識のないセラピストではなかなか対応することができません。
JSA認定看護師は、患者の服用している薬やどんな治療をしているか、今どのような症状なのかといった状態に合わせて精油を選び、手浴や足浴を勧めたり、精油を使ったアロマ湿布で対応したりという判断ができます。
「エビデンスを含めて、アロマがどう役立つのかを説明できるのが医療者としての強みです。質問に対しての一般的な答えはアロマの知識があれば出せますけど、医療の知識があるからこそ、患者さんその人のための回答ができるんです」
精油の成分や作用に精通していることはもちろん、医学的な視点から疾患や症状に芳香成分がどう影響するのかがわかるのが、医療とアロマセラピー両方の知識を持つ看護師ならではなのです。
患者さんとじっくり向き合う声なきコミュニケーション
診療として行うアロマセラピーのトリートメントは約10分ですが、「患者さんの体に直接触れることでわかることがあるんです」と小山さんは話します。
「アロマのいいところは『寄り添えること』だと思います。言葉なきコミュニケーションができるんです。マッサージやタッチングから汲み取れることは確実にありますし、直接体に触れることで安心するのか、その人の本当の悩みを話し出してくれることがあるんです」
アロマセラピーは継続ケアです。1回で劇的な変化があるわけではありませんが、そのため長期的に患者と向き合うことができます。一度目では得られなかった情報が二度目三度目で引き出せたり、アロマを通して状態をきちんと把握することができたり。アロマセラピーを行うということは、あらゆる方向から患者を見つめる機会を与えられるということでもあるのです。
クリニックの道を挟んで隣には、小山さんら医療者兼アロマセラピストから本格的なアロマセラピーを受けられるサロン
次回は、小山さんがアロマセラピストを目指すきっかけとなった出来事と、資格の実際についてお伺いします。
【後編】救命救急センターで感じたアロマの有効性 |アロマセラピー学会認定看護師・小山めぐみさんインタビュー
<プロフィール>
小山 めぐみ(こやま めぐみ)さん
看護師、アロマセラピスト、日本アロマセラピー学会理事、オリエンタル・アロマセラピィ・カレッジ副校長。
日本大学板橋病院救命救急センター勤務を経て、イギリスへ留学。自然療法の専門学校「レイワース・センター」でアロマセラピーを学び、IFA国際アロマセラピスト資格を取得。統合医療を行う「朱クリニック」で看護師兼アロマセラピストとして勤務中。
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