最終更新日 2023/11/28

尿管結石

尿管結石とは・・・

尿管結石(にょうかんけっせき、ureteral calculus)とは、尿路(腎臓・腎盂〜尿管〜膀胱〜尿道までの通り道)の、特に尿管に結石が生じる疾患である。

 

尿路結石

 

原因

腎臓内で生じた結石が、尿管に移動することで起こる。
尿中でシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸などが飽和状態になると、結晶が生じる。そしてその表面に、さらにシュウ酸やリン酸、カルシウムが付着していき、大きくなり、結石が形成される。

 

結石の種類としては、カルシウム結石(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム)が最も多い。ほかに尿酸結石、感染結石(リン酸マグネシウムアンモニウム、カーボネートアパタイト)、シスチン結石も見られる。

 

結石を生じる原因としては以下がある。
・体質:尿路に変形があり、尿が停滞しやすいなど
代謝異常:高カルシウム尿症、高シュウ酸尿症など
・内分泌疾患:痛風高尿酸血症など
・生活習慣:肉や糖質の取り過ぎ、カルシウム不足、酒量が多いなど

 

症状

急性発症の片側性の腰痛や側腹部痛や血尿頻尿残尿感があるとされる。
通常、結石が尿管を通過すれば疼痛は解除される。

 

検査・診断

症状などから尿管結石が疑われる場合には、まずは尿検査超音波検査を行う。尿検査では、血尿や尿路感染の有無、結石の成分などが分かる。超音波検査では、尿管にある結石の確認は難しいが、尿管が結石により閉塞したことで起こる水腎症の有無を確認できる。

 

なお、尿管結石の確定診断には腹部単純CT検査が行われる。

 

治療法

結石の大きさにより、治療法が変わる。

 

(1)自然排出が可能な結石

基本的に、4~5mm以下の結石の場合は、自然排出される可能性が高いため、水分を多く摂取するよう指導したり、体を動かしたりなどの生活指導を行う。5~10mm以下の結石の場合も、1カ月以内に自然排出される可能性が高いことから、生活指導を行う。
尿酸結石やシスチン結石などの場合は、結石溶解療法を行う。

 

(2)自然排出が難しい結石

結石が大きく自然排出が難しかったり、症状が現れてから1カ月経っても結石が排出されない場合は、合併症を避けるためにも手術療法が検討される。

 

・体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy;ESWL)
X線や超音波で結石の位置を特定し、体の外から衝撃波を当てて結石を細かく砕く治療法。砕かれた結石は、自然に排出される。
・経尿道的結石破砕術(transurethral lithotripsy;TUL)
尿道から尿管鏡を挿入し、超音波やレーザーなどで結石を砕き、摘出を行う治療法。尿環鏡には、硬い材質のものと、軟らかい材質のものとがあり、結石の場所により使い分ける。

 

尿管結石患者が発熱を伴っている場合には、複雑性尿路感染症(閉塞性腎盂腎炎)を生じている可能性がある。その際には速やかに尿管ステント留置を行い、感染尿のドレナージを行う場合もある。

 

予防

尿管結石の場合は、再発する可能性が高い。確実な予防法はないが、「水分摂取」「食事指導」が要である。
食事指導はさまざまだが、カルシウムを取るようにする(カルシウムは腸管内でシュウ酸と結合して排泄を促す、シュウ、プリン体を多く含む食品の摂取を減らす、クエン酸を取るようにする、などがある。

 

 

引用・参考文献

1)Gary C Curhan,et al.Kidney stones in adults: Diagnosis and acute management of suspected nephrolithiasis.UpToDate.(2023年6月閲覧)
2)Gary C Curhan.Kidney stones in adults: Epidemiology and risk factors.UpToDate.(2023年6月閲覧)
3)日本泌尿器科学会ほか編.尿路結石症診療ガイドライン 2013年版.第2版.金原出版,2013,p123.(2023年6月閲覧)
4)山下康行.ジェネラリストを目指す人のための 画像診断パワフルガイド.第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2022,p880.
 

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