血清鉄とは・・・
血清鉄(けっせいてつ、serum iron;Fe)とは血液中に含まれる鉄のことである。血液検査で体内の血清鉄を測定することができ、基準値は男性で58~188μg/dL、女性で48~170μg/dLである。
健常人の体内には3~4g程度の鉄がある。その中で、大半を占めるのがヘモグロビン鉄である。ヘモグロビン鉄は体内に存在する鉄全体の60~70%といわれている。次に多いのは貯蔵鉄で20~30%程度、残りは組織鉄といわれ、酵素中の鉄やミオグロビンが含まれる。
鉄は経口から摂取されると胃酸で還元され、十二指腸で吸収される。吸収された鉄はトランスフェリンというタンパク質と結合する。トランスフェリンと結合した鉄のことを血清鉄といい、これは全身を循環する。
ほとんどの血清鉄は骨髄に運ばれ、そこで赤芽球と結合し、赤芽球は赤血球になり、血清鉄はヘモグロビン鉄となる。赤血球は全身に酸素を運ぶ仕事を行い、寿命が尽きると脾臓で破壊される。そこで分離された鉄は肝臓に運ばれて貯蔵鉄となり、一部は血中に放出されて再び血清鉄となる。鉄は1日平均して1mg程度体内に吸収される。血清鉄は1日20mg程度が骨髄に運ばれ、それと同量程度が脾臓から血清鉄として再利用される。
血清鉄が減少する(鉄欠乏)の原因としては出血、鉄の消化管からの吸収障害、エリスロポエチン製剤使用後、ヘモジデローシス、遺伝性疾患などが考えられる。症状として倦怠感、頭痛、イライラ感、呼吸苦、めまいなどがある。
引用参考文献
1)“貧血の検査”.日本健康増進財団.
2)Stanley L Schrier.et al.“Causes and diagnosis of iron deficiency and iron deficiency anemia in adults”.UpToDate.