最終更新日 2019/07/05

鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザとは・・・

鳥インフルエンザ(とりいんふるえんざ、avian influenza)とは、鳥類由来のA型インフルエンザウイルスによるヒトへの感染症である。

 

感染症法では、鳥インフルエンザは2類感染症(H7N9、H5N1)のものと、4 類感染症(H7N9、H5N1以外の亜型)の2種類に位置付けされている。

 

通常、鳥インフルエンザウイルスは水鳥の気道や腸管に存在しており、無症状である。このウイルスが他の鳥に感染し、集団の中で感染を繰り返すと変異を起こす(高病原性鳥インフルエンザウイルス)。高病原性鳥インフルエンザウイルスは鳥類に強い病原性を持ち、感染した鳥類は死んでしまう。高病原性鳥インフルエンザウイルスにかかった野鳥や家きんと、その死骸、排泄物、臓器などにヒトが濃厚に接触すると、頻度は極めてまれであるがウイルスがヒトに感染してしまうことがある。

 

一般的に、ヒトからヒトへの感染はまれとされている。

 

症状

ウイルスの潜伏期間は2~8日程度とされる。発症すると突然の高熱(38度以上)、呼吸器症状、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状を伴うインフルエンザ様症状が見られる。一部では重篤な肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、横紋筋融解症、脳症、多臓器不全などにより身体状態が急激に悪化し、死に至る症例もある。

 

感染したウイルス株によって症状に多少の違いが見られる。

 

検査・診断

38度以上の発熱と急性呼吸器症状があり、鳥インフルエンザの発生地域への渡航歴、鳥類との濃厚な接触歴などから鳥インフルエンザを疑う。

 

鳥インフルエンザも、通常のインフルエンザと同様にインフルエンザ迅速診断キット(RIDT)による検査を行うが、A型のインフルエンザであることまでしか分からず、感度が十分でないことが指摘されている。最終的には、咽頭咽頭ぬぐい液からポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase chain reaction;PCR法)でウイルスを検出して診断する。

 

現在、世界保健機構(WHO)は人畜共通インフルエンザの検出法(リアルタイムPCR法検査など)のための技術指針を公開している。患者から検体を採取し、関連する指針およびプロトコールに沿って診断を行う。

 

治療法

現状、鳥インフルエンザを疑ったら、なるべく早期(48時間以内)に抗インフルエンザ薬の投与が勧められている。重症症例などでは効果が得られるまでは治療期間を延長することもある。

 

予防

感染源である鳥類との接触を避けることが大切である。例えば、養鶏場、鳥を売買している市場、鳥の羽をむしるなどの処理をしている場所、鳥の糞が舞い上がる場所に近づかないようにする。また、弱っている鳥や鳥の死骸に触れないことも感染予防として重要である。

 

日常の中で行える感染予防としては、外出後は石鹸と流水で手を洗う、または、アルコール手指衛生剤による手洗いを行って手を殺菌・消毒するなども効果的である。

 

鳥インフルエンザが疑われる患者が来院した場合、有症状の患者にはマスクを着用してもらう。こまめな換気を行ったり、受診の時間帯を分けたり、間仕切りなどで空間を分けたり(ゾーニング)など、できる限り外来ブースでの伝播を軽減する。
リアルタイムPCR法検査などで診断が確定したら、感染症法に基づき、感染症指定医療機関にて入院手続きを行う。原則は個室管理で、標準予防策に加えて接触感染、飛沫感染、空気感染予防策を実施する。

 

引用参考文献
1)“鳥およびその他・人獣共通のインフルエンザについて(ファクトシート)”.厚生労働省検疫所FORTH.
2)“鳥インフルエンザに関するQ&A Q.5”.国立感染症研究所.
3)“鳥インフルエンザについて知りたい方へ”.農林水産省.
4)“鳥インフルエンザについて”.厚生労働省.

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