口唇ヘルペスとは・・・
口唇ヘルペス(こうしんへるぺす、herpes labialis)は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の感染、もしくは再活性化によって口唇やその周囲に水疱ができる疾患である。
原因
単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、直接的な接触のほか、タオルや食器を介しても感染する。多くの人は思春期までに初感染し、抗体を持つ。しかし、単純ヘルペスウイルスは抗体ができても体外へ排除されず、ウイルスと抗体が共存するのが特徴である。成人にみられる口唇ヘルペスのほとんどは、ウイルスが神経節に潜み、何らかのきっかけで再活性化したことによるもので、再活性化の原因としては疲労や感冒、紫外線、外傷、ストレス、抗がん薬、ステロイド、免疫抑制剤などの免疫機能の低下がある。
症状
口唇やその周囲に水疱が出現するに先立って、掻痒感や熱感、違和感、疼痛といった前駆症状があり、その約1日後に浮腫性紅斑が生じる。そして2~3日後に中心臍窩を伴う小水疱が発生する。水疱は膿疱やびらん、痂皮となり、1週間程度で治癒する。初感染の場合は広範囲に5mm程度とやや大きい水疱が多発し、発熱、リンパ節腫脹を認めることもある。再活性化の場合は口唇や口周囲に限局し症状は軽微である。
治療
治療は症状の重症度に応じて抗ウイルス薬(アシクロビルなど)の外用、内服、点滴を行う。ただし、抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑制するもので、神経節に存在するウイルスに対しての効果は乏しい。症状がある際は、人との接触に注意が必要で、新生児やアトピー性皮膚炎の患者、免疫機能が低下している人と接触すると重症化する恐れがある。また、患者自身も他部位、また他人への拡大、細菌感染の合併をしないためにも患部に触れないよう指導することが大切である。