排尿痛とは・・・
排尿痛(はいにょうつう)とは排尿時に膀胱や尿道に感じる疼痛や灼熱感を指す。細菌感染や尿道粘膜に傷がつくことが原因で起こる。
分類
排尿痛は痛みの出現時期により初期排尿痛、終末期排尿痛、全排尿痛に分類される。
(1)初期排尿痛
排尿開始時に感じ、尿が炎症部位に最初に接触した際の刺激により生じる。
主な原因疾患としては尿道炎、前立腺炎、尿道結石がある。
(2)終末時排尿痛
排尿終了後に感じ、排尿終了時に膀胱上皮が互いに接触することにより生じる。
原因疾患としては膀胱炎、前立腺炎がある。
(3)全排尿痛
排尿開始時から終了までの全排尿時期に感じ、高度の炎症により尿通過時に持続的に疼痛が生じる。
原因疾患としては高度な急性膀胱炎、間質性膀胱炎がある。
診断・検査
診断は症状の経過や性交渉歴、放射線治療歴を含めた問診や身体所見、また尿や分泌物の定性、培養やグラム染色を含めた細菌学的検査から行う。前立腺炎が疑われる場合は直腸診での前立腺の腫大や圧痛、尿道炎が疑われる場合は尿道分泌物の有無をみることを忘れてはならない。ただし、菌血症をきたすため前立腺マッサージは禁忌であることに注意が必要である。
尿検査では感染性の場合は膿尿や細菌尿が認められる。感染性が疑われ発熱や倦怠感など全身症状を伴う場合は血液培養の提出も考慮される。また、必要に応じて膀胱鏡検査が実施される。
治療
感染性疾患の場合は抗菌薬治療が行われる。
膀胱結石は自然排石されることもあるが、大きい場合は膀胱切開による摘出、膀胱鏡での除去、また経尿道的に砕石が行われることがある。
間質性膀胱炎では治療が確立されておらず、抗うつ薬や抗ヒスタミン薬、トシル酸スプラタストという抗アレルギー薬を用いた薬物療法や水圧拡張、ヘパリンやリドカインの膀胱内注入療法、膀胱拡大術、膀胱訓練を組み合わせて行われる。