熱性痙攣とは・・・
熱性痙攣(ねっせいけいれん、febrile convulsions/febrile seizures)とは、6カ月〜5歳ごろの小児に発症しやすい、38℃以上の発熱時に起こる全身性痙攣。ただし、髄膜炎や代謝異常、てんかんに伴う有熱性の痙攣は除く。
症状
38℃以上の発熱に伴う、強直性あるいは間対性の痙攣発作(非痙攣性の発作も含む)。
熱性痙攣の分類
熱性痙攣には、複雑型熱性痙攣と単純型熱性痙攣とがある。
複雑型熱性痙攣
複雑型熱性痙攣は、以下の3つの要素のうち、1つ以上当てはまるものと定義されている1)。
1)全身性でない部分発作(焦点発作)
2)15分以上継続する発作
3)24時間以内に反復する発作
複雑型熱性痙攣の場合は、小児期の再発率も高く、また将来の無熱性痙攣/てんかんの罹患頻度がより高いことがわかっている。
単純型熱性痙攣
単純型熱痙攣は、複雑型熱性痙攣の要件に当てはまらないもの、つまり「持続時間が15分未満の全身性の発作で、24時間以内に複数回反復しないもの」と定義されている1)。
単純型熱性痙攣は、熱性痙攣の8割以上を占める。
単純型熱性痙攣では、約1/3の児が数年以内に再度罹患することがあるが、それを除けば予後は良く、将来のてんかん発症リスクも一般群とほとんど差がないとされている。
検査・診断
症状から診断することが多いが、熱性痙攣が発熱に伴うことから、発熱の原因を検索するため、血液検査、髄液検査、CT、MRI、心電図などの検査を行うことがある。
また、てんかんや脳炎を鑑別するために脳波検査が行われる場合がある。
治療法
短時間で痙攣が治まり、意識状態に問題なければ、痙攣に対しては特に治療は必要ない。しかし、痙攣が長時間続いたり、24時間以内に反復したりする場合は、抗痙攣薬を予防的に使用する。もちろん、痙攣が継続中の場合は、即、抗痙攣薬を投与する。
また、発熱に対しても併せて治療される(解熱薬など)。
原因
風邪やインフルエンザなど、高熱を引き起こす疾患の合併症として熱性痙攣が起こる場合が多い。
日本では、小児の8%ほどに起こるとされている。
遺伝的な要因もあると言われており、両親のどちらかに熱性痙攣の既往がある場合は、両親に熱性痙攣の既往がない小児よりも、2~3倍発症しやすいと言われている。
予防
痙攣の再発予防のため、「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン」1)の適応基準を満たしている場合は、抗けいれん薬(ジアゼパム)を使用する。
引用参考文献
1)日本小児神経学会熱性けいれん診療ガイドライン改訂ワーキンググループ.熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023.(2024年9月閲覧)