病院は機能、開設者、規模などによって、それぞれ違いや特徴があります。病院の種類を知り、看護師としてどんな病院でスタートをきりたいか、イメージしてみましょう。
医療法の「機能」による病院の違い
病院は医療法によって、いくつかの「機能」に分類されています。
特定機能病院
- 高度医療を提供する役割
- 高度医療に関する技術開発や研修なども
- 400床以上で、高度急性期の専門的な医療を担う
医師・看護師の配置や施設面の条件などをクリアし、厚生労働省の承認を受ける必要があり、国立がん研究センターや大学病院など88病院が指定されています(2024年10月現在。特定機能病院について|厚生労働省)。
地域医療支援病院
- 地域のかかりつけ医を支援する役割
- 紹介患者や救急患者の受け入れ
- 200床以上で、医療機器の共同利用の体制も備える
都道府県立・市立病院など、地域の中核病院として位置づけられる病院が当てはまります。都道府県の承認を受ける必要があり、全国で700病院が指定されています(2023年9月現在。地域医療支援病院について|厚生労働省)。
一般病院
- 特定機能病院や地域医療支援病院以外の一般的な病院
患者さんにより身近な病院として、地域密着型の医療を提供する役割を担います。ほとんどの病院は一般病院に分類されます。
臨床研究中核病院
- ハイレベルな臨床研究・治験を実施する役割
- 日本発の革新的な医薬品・医療技術の開発を支える
特定機能病院にも指定されている国立がん研究センターや一部の大学病院の全国15病院が、厚生労働省から指定されています(2024年10月現在、臨床研究中核病院について|厚生労働省)。
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「開設者」による病院の違い
病院を「開設・運営しているのは誰か」という視点でも特徴があります。大きくは「公立・公的病院」か「民間病院」かで分けられます。
国公立病院
- 国または都道府県・市町村などの自治体が開設・運営する病院
- 「独立行政法人・地方独立行政法人」となっているところも
特に高度な医療の研究・提供を行う国立がん研究センターなどのナショナル・センターや、国立病院機構、都道府県立・市町村立の病院などが当てはまります。そこで働く看護師は「公務員」や「みなし公務員(準公務員)」となり、公務員と同じ働き方・待遇が適用されます。
公的病院
- 国公立の病院以外で、公的な役割を担う団体が開設・運営する病院
日本赤十字社・済生会・JA厚生連・健康保険組合・国民健康保険組合などの病院が当てはまります。救急・災害・へき地医療など、政策医療に関する役割を担います。
大学病院
- 大学の付属病院
- 高度・先進医療の提供のほか、研究・教育も担う
大学病院の多くは特定機能病院に指定されています。専門性の高い高度・先進医療を担います。国公立大学の場合、大学病院に勤務する看護師も「みなし公務員(準公務員)」となり、公務員と同じ働き方・待遇が適用されます。
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一般病院(民間病院)
- 医療法人や個人、企業が開設・運営する病院
- 全国の病院の8割を占め、都市部に多い
国公立や公的病院、大学病院をのぞく病院です。全国にある約8200施設ある病院のうち、この一般病院が8割を占めています。都市部に多く設置されています。
全国的に複数の病院グループを展開したり、特定地域で医療・介護サービスを一体的に運営したりと、法人それぞれの特徴があります。
「規模」による病院の違い
病院は「病床の規模」によっても特徴が異なります。
一般的には500床以上が「大規模病院」、100~499床が「中規模病院」、20~99床が「小規模病院」とされます。ほとんどの病院は、中小規模病院に当たります。
病床規模が大きくなるほど高度・専門的な医療を提供し、病棟・診療科も細分化される傾向です。なお、病床数が19床以下の医療機関は「診療所(クリニック)」と分類されます。
「病院以外」の看護師の働く場所
看護学生のみなさんの多くは「新卒1年目の就職先は病院」と考えていると思います。その一方で、実習で在宅医療に関心を持ったり、「自分のやりたい看護は病院とは合わないのかも…?」と迷ったりする方もいるでしょう。
最近では新卒看護師の就職先も多様になり、「看護師のファーストステップ=病院」とは限らなくなってきています。次の記事などを参考に、視野を広げて検討してみるのもよいですね!
執筆者プロフィール
看護roo!編集部
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更新日:2024/12/17