小児の採尿 (一般的採尿法、無菌的採尿法)

『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。

今回は小児の一般的採尿法と無菌的採尿法について解説します。

 

風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室

 

 

患児の健康状態を評価したり、診断・治療を評価する目的で、採尿が行われる。
採尿には一般的採尿法、無菌的採尿法があり、一般的採尿法はさらに1回尿と24時間尿に分けられる。

 

採尿の目的

  • 1健康状態の評価。
  • 2診断・治療の評価。

 

 

目次に戻る

採尿の種類

  • 1一般的採尿法(1回尿/24時間尿)

*一般的採尿法は、自然排尿もしくは中間尿採取で行われる。

  • 2無菌的採尿法(1回尿)

*無菌的採尿法は、導尿もしくは膀胱穿刺で行われる。

 

 

目次に戻る

採尿の検査項目

  • 1肉眼的所見・多目的試験紙:

比重・pH・蛋白・潜血・ブドウ糖白血球ケトン体・ウロビリノーゲン・ビリルビン・亜硝酸塩などに対するスクリーニング検査

  • 2顕微鏡検査:

赤血球・白血球・上皮細胞・円柱・結晶・細菌・酵母などの検査

 

 

目次に戻る

尿の観察ポイント(図1

混濁・肉眼的血尿の有無、尿臭を観察

 

図1 尿の観察ポイント

尿の観察ポイント

 

 

目次に戻る

採尿の手順

必要物品の準備(採尿バッグを用いる場合)

採尿に必要な物品は(図2)のとおり。

 

図2 採尿に必要な物品

採尿に必要な物品

 

①採尿バッグ(女児用/小児用) 
②検体容器
③手袋

 

[一般的採取法]
④ガーゼ・タオル

 

[無菌的採尿法]
⑤綿球・消毒液 
⑥滅菌鑷子
⑦滅菌ガーゼ

 

POINT

■採尿バッグには、女児用(ピンク)と小児用(ブルー)、未熟児用(グリーン)がある。

 

一般的採尿法

実施者は手洗いをし、手袋を装着。陰部周囲を清拭し、十分に汚れを拭き取る。
タオルやガーゼで押さえ、よく乾燥させる。

 

男児の場合

❶男児の場合は、採尿バッグ内に陰茎を収める(図3)。

 

図3 採尿バッグ内に陰茎を収める

採尿バッグ内に陰茎を収める
画像を見る

 

❷採尿バッグの下部に隙間をつくらないよう貼り付ける(図4)。補強が必要な場合は、絆創膏で固定する。

 

図4 採尿バッグを貼り付ける

補強が必要な場合は絆創膏で固定する
画像を見る

 

POINT

■尿が漏れないよう、隙間なく貼ることが大切。

EVIDENCE

■尿が漏れると検体が採取できないだけでなく、皮膚のかぶれにつながる。

 

❸採尿バッグの下部を肛門側に折り返し、尿がたまる空間をつくる(図5)。

 

図5 採尿バッグの下部を折り返す

採尿バッグの下部を肛門側に折り返す
画像を見る

 

❹採尿がすむまで、おむつを軽く当てておく(図6)。上体を軽く挙上した体位が望ましい。

 

図6 採尿がすむまでおむつを当てる

採尿がすむまでおむつを軽く当てておく

 

女児の場合

女児の場合は、外陰部のしわを伸ばして採尿バッグの会陰パッドを会陰部のくぼみに押し当てて貼る(図7)。

 

図7 会陰パッドをくぼみに貼る

会陰パッドを会陰部のくぼみに貼る
画像を見る

 

POINT

■採尿バッグ内の会陰パッドを会陰部のくぼみに押し当てて貼る。
■採尿バッグは、膨らませておくと尿がたまりやすい。

 

無菌的採尿法

無菌的採尿法には、滅菌鑷子、消毒薬、綿球を用いる。
手袋を装着し、採尿バッグの採尿口を不潔にしないようにバッグを広げる。

 

女児の場合

❶女児の場合、小陰唇を開き、上から下へ、中央から左右へと消毒する(図8)。

 

図8 中央→左右の順で消毒する

上から下へ、中央から左右へ消毒する
画像を見る

 

POINT

■中央→左右の順で上から下へ消毒。
■消毒のたびに、新しい綿球に取り替える(図9)。

 

図9 消毒のたびに新しい綿球に取り替える

消毒のたびに新しい綿球に取り替える

 

❷消毒が終わったら乾燥させ、バッグ内の会陰パッドを会陰部のくぼみに押し当て、尿が漏れないよう、皮膚に密着させて貼る(図10)。

 

図10 会陰パッドを皮膚に密着させて貼る

会陰パッドを皮膚に密着させて貼る
画像を見る

 

❸バッグの下部を折り返し、尿がたまる空間をつくる。

 

❹採尿が済むまで、オムツを軽く当てておく。

 

CHECK!

無菌操作での採尿の留意点

●消毒部に触れないように、手袋をつけて採尿バッグを貼付する。
●採尿できた尿は、清潔操作で容器に移し替える。この際、注入器を使用するとよい。

 

 

目次に戻る

 

 


本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。

 

> Amazonで見る   > 楽天で見る

 

 

[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ

SNSシェア

看護ケアトップへ