トリアージ

『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。

今回は小児のトリアージについて解説します。

 

 

風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室

 

 

トリアージ

救急外来などでは来院者の主訴を聞き、患児の状態を観察して診察・治療の優先順位をつけること(トリアージ)が必要となる(図1)。

 

図1 トリアージの流れ

トリアージの流れ

 

CHECK!

小児救急医療のトリアージ加算

平成30 年度の改定;院内トリアージ実施料 300点(初診時)

平成22年度に新設された院内トリアージ加算は、小児救急医療に対する評価であったが、平成24年度の改定では、全年齢層の夜間・深夜・休日の救急外来患者に対して、患者の来院後、すみやかに院内トリアージを実施した場合の評価を新設した。平成30年度の改定により、所定点数が100点から300点に引き上げられた。

 

①以下の項目を含む院内トリアージの実施基準を定め、定期的に見直しを行っていること
 ア トリアージ目標開始時間及び再評価時間
 イ トリアージ分類
 ウ  トリアージの流れ(初回の評価から一定時間後に再評価すること)

②患者に対して、院内トリアージの実施について、説明を行い、院内の見やすい場所へ掲示等により周知を行っていること

③専任の医師または救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師が配置されていること

(厚生労働省保険局医療課:平成30 年度診療報酬改定の概要)

 

 

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問診・観察

必要物品は図2のとおり。

 

体温計
❷ストップウォッチ
血圧
❹パルスオキシメーター
❺アルコール綿
問診票・筆記用具

 

図2 必要物品

必要物品

 

POINT

問診票の項目

・バイタルサイン測定、家庭での対処、症状。
・アレルギーの有無、既往歴。
・かかりつけ医の有無。
・いつもと違う、どこか変。

 

❶来院者の主訴を聞き、バイタルサインを測定する(図3)。 家族の「いつもと違う、変だ」などの情報を得て、アセスメントを行う。

 

図3 バイタルサインの測定

 

バイタルサインの測定

 

POINT

・緊急性により、受診に優先順位をつけることを待合室に掲示する(図4)。

 

図4 待合室の掲示

待合室の掲示

 

❷緊急性が高い場合は、医師に報告し、迅速な処置を実施する。

 

POINT

・呼吸困難、チアノーゼ、意識レベルの低下などがあれば、すぐに医師に報告。

 

CHECK!

感染症の疑いがある場合は

麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎などの感染症の疑いがある場合は、ただちに別室に誘導する。ほかの患者への感染の危険性があることを家族に説明し、理解と協力を得る。診察も別室で行う。

「伝染性疾患の患児との接触の有無」「症状がいつから出現したか」「どのような対処をしているか」「予防接種歴」「過去に罹患した伝染性疾患」「アレルギー歴」を問診する。

 

 

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小児の緊急度判定

小児の初期評価は「外観」「循環(皮膚への循環)」「努力呼吸」の3要素から構成され、患児の重症感を迅速に、視覚的に評価するために用いられる。

 

「外観」は筋緊張、周囲への反応、視線/注視、会話/啼泣など、「循環(皮膚への循環)」は、皮膚の色調、出血の有無、脱水の徴候、意識レベル、毛細血管充満時間など、「努力呼吸」は呼吸数、努力呼吸などを評価する。

 

緊急度の判定は、以下の5段階レベルで評価する(表1)。

 

レベル1 蘇生:生命や四肢を失う危険性があり、直ちに治療が必要な状態
レベル2 緊急:潜在的に生命や四肢の機能を失う危険性があり、速やかに治療が必要な状態
レベル3 準緊急:重篤で緊急処置が必要になる可能性がある状態
レベル4 低緊急:潜在的に悪化の可能性があり、1~2時間以内の治療が望ましい状態
レベル5 非緊急:急性症状あるいは慢性症状であるが、緊急性のない状態

 

表1 JTASの5段階緊急度判定レベル:小児での具体例

JTASの5段階緊急度判定レベル:小児での具体例

日本救急医学会 日本救急看護学会 日本小児救急医学会 日本臨床救急医学会:緊急度判定支援システム JTAS2017 ガイドブック 第2版.へるす出版,2020,p37より

 

CHECK!

患児・家族への診察時の援助

患児への援助

発達に応じて、患児に診察内容を説明し、安全な体位をとる。

 

家族への援助

症状・状態を適切に説明できるよう言葉をかける。
「どうなさいましたか?」
「今、○○のような状態ですか?」
「そのような状態はいつからですか?」
「そのほかの症状はありますか?」
「いつもと、どのように違いますか?」
「どのようなことに気づかれましたか?」

 

インフォームド・コンセント

医師の説明を補足したり、あわてている家族に代わって医師に質問をする。

 

 

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電話でのトリアージ

①相談内容を尋ねる

・主訴:「どうされましたか?」
・年齢:「お子様の年齢はおいくつですか?」
・症状:「今、どのような状態ですか?」
・経過:「そのような状態はいつからですか?」
・家庭での対応:「おうちで何か、対応されましたか?それに対してどうでしたか?」
・氏名(受診を勧める場合):「お子様のお名前と診察券の番号を教えてください」

 

POINT

電話での応対ポイント
・主訴・年齢、症状と程度、経過、家庭での対応の有無、それに対する反応、受診を勧める場合は患児の氏名・診察券の番号を確認する。
・緊急受診(二次・三次医療機関)か、救急外来か、通常受診かを指示する。
・患児の状態を判断し、対応する方法をわかりやすく指導。
・家族の不安の軽減に努める。

 

②相談内容を尋ねた後の流れ

※横にスクロールしてご覧ください。

電話でのトリナージ

 

 

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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ

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