バイタルサイン(④血圧測定)
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児の血圧測定について解説します。
風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室
バイタルサインの測定
患児は、症状を自分から的確に訴えることができない。
また、乳幼児は症状の変化が速いため、体温・脈拍・呼吸・血圧などを注意深く観察し、早期診断・治療に生かすことが大切である。
患児の表情・機嫌を観察し、バイタルサイン測定が可能であるかどうかを判断。測定は安静時・睡眠時に行う。患児と家族に、バイタルサイン測定の必要性を説明する。
POINT
・正常範囲を確認しておく。
・運動・食事・入浴・啼泣直後の測定は避ける。
・まず、患児の表情・機嫌を観察する。
バイタルサインの測定に必要な物品は図1のとおり。
❶体温計
❷ストップウォッチ
❸血圧計
❹アルコール綿
❺パルスオキシメーター(必要時)
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血圧測定
小児の血圧測定に用いられるマンシェットは、発達に応じてさまざまな幅・長さのものがある(図2)。
患児に合わせて、適したサイズのマンシェットを選択することが大切である。
POINT
・正確に測定するため、上腕の2/3を覆うサイズのマンシェットを選択。
・マンシェットの幅が上腕の2/3を越えると血圧が低く、2/3未満では血圧が高く測定される。
測定する上肢を心臓の高さにする。マンシェットのゴム嚢を上腕動脈の真上に当て、下縁が肘窩の2~3cm上になるように巻く(図3)。
聴診法の場合
❶肘窩部に3指(示指・中指・薬指)を当て、動脈の拍動を触知する(図5)。
❸聴診器を当てたまま、送気球を押す(図7)。各年齢別の正常な血圧値、もしくは前回の測定値より15~20mmHg高いところまで、マノメーターの目盛りが上がるよう送気する。
❹目盛りを読みながら、脈拍ごとに約2mmHgの速さで下がるよう、排気弁を開放し、初めて血管音(コロトコフ音)の聞こえた目盛り(収縮期血圧=最高血圧)と聞こえなくなったときの目盛り(拡張期血圧=最低血圧)を読む(図8)。(図10「コロトコフ音の変化」参照)
❺送気球の排気弁を全開し、マンシェットの空気を抜く。
各年齢別の正常な血圧の数値は表1のとおり。
ドプラー血流計の場合
❶ドプラー血流計のセンサーに、ゼリーをつける(図11)。
❷センサーを橈骨動脈上、もしくは上腕動脈上に当てる(図12)。動脈の血流音が聞こえる位置に、絆創膏で固定する。
POINT
・ドプラー血流計は、聴診法では血管音が聞き取りにくい重症の患児に用いる。
・動脈の血流音が聞こえる位置に固定。
❸送気球を押していき、動脈の血流音が聞こえなくなったら、さらにその目盛りより10~20mmHg程度、上がるよう送気する。脈拍ごとに約2mmHgの速さで下がるよう、排気弁を開放し、血流音が聞こえたときの目盛りを読む(収縮期血圧=最高血圧)(図13)。
触診法で行う場合
触診法で血圧測定を行う場合は、次の手順で実施する。
①片手で橈骨動脈または上腕動脈を触知しながら(図15、図16)、利き手で送気球を押す。
②脈拍が触れなくなったら、その目盛りよりさらに10~20mmHg程度、上がるように送気する。
③脈拍ごとに約2mmHgの速さで下がるよう、ゆっくりと排気弁を開放する。
④脈拍が初めて触れた目盛りを読む(収縮期血圧=最高血圧)。
⑤送気球の排気弁を全開にして、マンシェット内の空気を抜く。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ