血液培養検査の順番がパッとわかる!|根拠、よくあるギモンも解説!

血液培養検査(血培)の採血後に分注する順番とその根拠を解説! よくあるギモンや、こんなときどうする?にも答えます。

 

執筆・監修:小野原 健一
(地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪急性期・総合医療センター 医療技術部
臨床検査部門 微生物検査室 主任)

 

【血液培養検査】分注の順番

血液培養検査の採血後に分注するときは、採血時にシリンジに入った空気(=酸素)が、嫌気ボトル内に入らないようにするために、    嫌気ボトル → 好気ボトル    の順番で分注しましょう。

血液培養検査の採血後に分注するときは、採血時にシリンジに入った空気(=酸素)が、嫌気ボトル内に入らないようにするために、

 

嫌気ボトル → 好気ボトル

 

の順番で分注しましょう。

 

血液培養検査のボトルの違いは?

 ● 嫌気ボトル:酸素を嫌う「偏性嫌気性菌(破傷風菌、ボツリヌス菌、クロストリジウムなど)」を培養する

 ● 好気ボトル:酸素を好む「偏性好気性菌(結核菌、緑膿菌、カンジダ、クリプトコッカスなど)」・酸素があってもなくても増殖する菌「通性菌(大腸菌、ブドウ球菌、レンサ球菌など)」を培養する

…など

 

【血液培養検査】嫌気ボトルから分注する根拠

採血をした後、シリンジを下に向けたときに、空気が血液の上部に溜まることがありますよね。    血培の培養ボトルは通常の採血スピッツと異なり、規定量以上の陰圧がかかっています。そのため、血液を全て入れ切ろうとすると、どうしてもシリンジ内の空気が培養ボトルの中に入ってしまう可能性が高くなります。     そのため、嫌気ボトルに空気が入るリスクを減らす目的で、嫌気ボトル→好気ボトルの順番で分注することが推奨されているのです。    もしも空気が嫌気ボトルに入ると、嫌気性菌が発育しません。結果として偽陰性となってしまい、患者さんの治療に大きな影響を及ぼす可能性もあります。    所属する施設のマニュアルなども確認し、空気が入らないように分注を行いましょう。

採血をした後、シリンジを下に向けたときに、空気が血液の上部に溜まることがありますよね。

 

血培の培養ボトルは通常の採血スピッツと異なり、規定量以上の陰圧がかかっています。そのため、血液を全て入れ切ろうとすると、どうしてもシリンジ内の空気が培養ボトルの中に入ってしまう可能性が高くなります。 

 

そのため、嫌気ボトルに空気が入るリスクを減らす目的で、嫌気ボトル→好気ボトルの順番で分注することが推奨されているのです。

 

もしも空気が嫌気ボトルに入ると、嫌気性菌が発育しません。結果として偽陰性となってしまい、患者さんの治療に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

 

所属する施設のマニュアルなども確認し、空気が入らないように分注を行いましょう。
 

血液培養検査で分注するときは、必ず「シリンジ+分注ホルダー」を使いましょう!    ホルダー採血管から分注すると、培養ボトルは陰圧が強いため、血液量の調整が難しいだけでなく、培養ボトル内の培地が逆流してしまうリスクがあります。    所属する施設のマニュアルも確認し、正しく分注しましょう。

血液培養検査で分注するときは、必ず「シリンジ+分注ホルダー」を使いましょう!

 

ホルダー採血管から分注すると、培養ボトルは陰圧が強いため、血液量の調整が難しいだけでなく、培養ボトル内の培地が逆流してしまうリスクがあります。

 

所属する施設のマニュアルも確認し、正しく分注しましょう。
 

 

 

血液培養検査のよくあるギモンQ&A

 

血液培養検査を行うときに、よくあるギモンを2つ紹介!

 

\\ Q1 //

 

採血量が不足しているときに好気ボトルを優先させるのはどうして?

血液量が少なく検出感度以下になると、菌が存在しても陽性にならない(偽陰性)からです。
菌血症の原因菌は、好気ボトルでのみ発育する菌の方が多いため、採血量が少ないときは好気ボトルを優先させます。


血液培養検査では、血液量が菌の検出感度に大きく影響します。
嫌気・好気ボトルの2本に分けて分注すると最適量の下限に満たない場合は、好気ボトルに全量分注することが推奨されています。


ただし、嫌気性菌が強く疑われる場合には、医師の指示により嫌気ボトルを優先することもあります。
※最適量の下限はメーカーやボトルの種類によって異なります。採血量と分注について事前にマニュアルを確認し、患者さんの状況に合わせて対応しましょう。

 

\\ Q2 //

 

血液培養検査と同時に通常の採血スピッツもあるとき、どの順番で分注すればいい?

他の採血がある場合、血液培養検査→通常の採血スピッツの順番で分注しましょう。

通常の採血スピッツの外側は、ゴム栓も含めて無菌状態ではありません。
そのため、先に通常の採血スピッツに分注すると、針が汚染され、血培ボトルで菌の同定ができなくなる可能性があります。


血液培養検査以外にオーダーがある場合は、事前に医師に優先度の高い検査項目を確認し、必要な採血量と分注の順番を整理してから採血を行うようにするとよいでしょう。

 

編集:看護roo!編集部 小園知恵(看護師)

 

 

執筆・監修

大阪急性期・総合医療センター 臨床検査部門 微生物検査室 主任

小野原 健一(おのはら・けんいち)

臨床検査技師

2012年に大阪府立病院機構に入職。細菌・抗酸菌検査をメインとし生理・超音波検査にも従事。2020年より大阪急性期・総合医療センターにて微生物検査室主任となる。

通常の細菌検査と新型コロナウイルス感染症遺伝子検査に尽力し、現在は微生物検査以外に輸血検査とHLA検査も兼務している。院内のICTチームに所属し、感染防止対策や人材育成も担う。

 

 

参考文献

  • Ellen Jo Baronほか著.CUMITECH 1C 血液培養検査ガイドライン,医歯薬出版株式会社.2007.
  • 日本臨床微生物学雑誌 血液培養検査ガイド 第23巻 Supplement1,日本臨床微生物学会.2013,P28-34.
  • 近藤一郎監.看護がみえる vol.2 臨床看護技術 第1版,メディックメディア.2021.P20-25.
  • BD 血液培養実践マニュアル 第2版 2019(2024-03-14アクセス)
  • ビオメリュー・ジャパン株式会社 血液培養検査のための採血方法ポケットガイド(2024-03-14アクセス)

 

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