発見は世界初! 赤ちゃんに保湿剤を毎日塗るとアトピー発症率が約3割減|ナース知っ得ニュース
【ナース知っ得ニュース 2014/10/22号】
毎日かゆみや湿疹に悩まされるアトピー性皮膚炎。その予防策として、国立成育医療研究センターのグループが新しい可能性を見出したことを発表しました。保湿剤を毎日全身に塗った乳幼児について、アトピー性皮膚炎の発症リスクが約3割減ったのです。
アレルギー疾患の発症予防法の発見としては、世界初といわれています。
保湿剤でアトピー3割低下 新生児に毎日使用で(日本経済新聞)
保湿剤を塗らないグループは28人、毎日使っていたグループは19人に留まる
国立成育医療研究センターは、乳児期から保湿剤を利用することでアトピー性皮膚炎の発症を減らせることを研究の成果によって証明しました。
調査の対象は、アトピー性皮膚炎になった経験のある親の子で、生後1週間以内の新生児118人。まず、次のグループに分けられました。
- ・毎日1回以上、全身に保湿剤を塗るグループ59人
- ・特別なスキンケアをしないグループ59人
そして32週後(約8ヶ月後)に専門医が湿疹の状態を診断したところ、保湿剤を塗ったグループでは19人がアトピー性皮膚炎を発症、特別なスキンケアをしないグループは28人発症したことが確認されました。
つまり、保湿剤を塗ったグループのほうが、約3割発症率が低い結果になったのです。
保湿剤によって皮膚のバリア機能が補強されることで、乾燥で角質細胞が傷つくのを予防できたとみられています。
アレルギー疾患の発症予防法の発見としては世界初!
この研究による発見は、アレルギー疾患の発症予防の試みとしては世界初といわれており、10月1日に発刊された米国アレルギー臨床免疫学会の雑誌に掲載され、世界へ広く知れ渡りました。
これまで、同研究センターではアレルギー疾患の発症予防について、妊婦のアレルゲン食物制限など、さまざまな試みが行われてきました。しかし、その大半が失敗に終わっていたのだといいます。
しかし、今回の発見により、卵アレルギーとの関連も見出したことから、今後はアトピー性皮膚炎の発症率をさらに減少させることによって、食物アレルギーの発症も予防したい旨を述べています。
今後の課題として、保湿剤だけではアトピー性皮膚炎の発症を防ぐためには不十分であることから、免疫細胞にアプローチするなどして、さらに研究を進める必要があるといわれています。
(参考)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=105949
https://www.ncchd.go.jp/press/2014/topic141001-1.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014100202000157.html