バイタルサイン基準値まとめ|成人、小児、高齢者
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バイタルサインの「基準値」を、年代別にまとめて紹介します!
看護監修:小島悦子(元札幌保健医療大学保健医療学部看護学科教授)
1 成人のバイタルサイン 基準値
成人のバイタルサインの基準値は、次のとおりです。
成人の体温:腋窩測定で36.0~37.0℃程度とされています。
成人の脈拍数:1分間に60~90回程度で、60回以下は徐脈、100回以上は頻脈とされています。
成人の血圧:『高血圧治療ガイドライン2019』では、収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHgを「正常血圧」と定義しています1)。
成人の呼吸数:1分あたり12~20回程度で、10~12回以下は徐呼吸、20~25回以上は頻呼吸とされています。
入浴や排泄、食事、運動などにより、体温が上昇するとともに脈拍数が増加し、血圧も上昇します。そのため、バイタルサインを正確に測定するためには、測定するタイミングに注意が必要です。
バイタルサインの基準値の根拠を【記事】でチェック!
●成人の正常体温が、腋窩温で36~37℃と決まっているのはなぜ?
●年齢により脈拍数が違うのはなぜ?
●高血圧の基準
●年齢により呼吸数が異なるのはなぜ?
バイタルサイン測定の手順を【動画】でチェック!
●バイタルサイン 動画でわかる看護技術
2 小児のバイタルサイン 基準値
小児のバイタルサインの基準値は、次のとおりです。
子どものバイタルサインは、体の成長とともに変わります。
年齢が上がるにつれて、下記のような特徴があります。
●体温は低くなる ⬇
●脈拍数は少なくなる ⬇
●血圧は高くなる ⬆
●呼吸数は少なくなる ⬇
小児の血圧測定は、子どもの腕の長さや太さが成長とともに変化するため、マンシェットの選択には注意が必要です。
年齢別のマンシェットの幅や長さの目安を覚えておきましょう。
【年齢別 マンシェットの幅&長さの目安】
未熟児:幅2.5cm/長さ9cm
新生児~3か月:幅3cm/長さ15cm
3か月から3歳未満:幅5cm/長さ20cm
3~6歳未満:幅7cm/長さ20cm
6~9歳未満:幅9cm/長さ25cm
9歳以上:幅12cm/長さ30cm
成人(上腕):幅13~17cm/長さ24~32cm
成人(大腿):幅20cm/長さ42cm
また、子どもは生理機能が未熟でバイタルサインが変動しやすく、泣いたり動いたりすることで測定値が変わります。安心させる声掛けやおもちゃで気を紛らせながら、子どもの恐怖心をできるだけ取り除いてあげましょう。
それでも、落ち着かない場合や、治療上、正確な測定が必要な場合には、寝ている間などに測定することもあります。
新生児のバイタルサイン測定の手順を【動画】でチェック!
●新生児の観察_動画でわかる看護技術
3 高齢者のバイタルサイン 基準値
高齢者のバイタルサインの基準値は、次のとおりです。
高齢者のバイタルサインの基準値は、成人と比べると下記のような特徴があります。
●体温はやや低め ⬇
●脈拍数はやや少なめ ⬇
●呼吸数はやや多め ⬆
正常血圧は成人と同様ですが、高齢者は加齢に伴う血管の弾力性の低下によって収縮期血圧の上昇がみられ、拡張期血圧は低めに出ることが多いのが特徴です2)。
また、高齢者の場合、測定環境や測定時間によって血圧が変動しやすく、基礎疾患の有無によっても値が異なるため、患者さんごとに個別に判断されることに注意が必要です。
4 意識レベルの評価
バイタルサインには、体温、脈拍数、血圧、呼吸数のほかに、意識レベルも含まれることがあります。
意識レベルの評価は、多くの病院でJCS(Japan Coma Scale)もしくはGCS(Glasgow Coma Scale)を使って評価されています。
1)JCS
JCSは短時間に簡便に評価できるのが特徴で、数字が大きいほど意識レベルが低いと評価されます。
2)GCS
GCSは世界的に使われている評価するツールで、JCSとは逆に数字が小さいほど意識レベルが低いと評価されます。
小児の場合、認知機能や言語機能が未熟で、これらのスケールでは評価が難しいため、乳児用や小児用にアレンジされたスケールが用いられることがあります。
意識レベルの手順を【動画】でチェック!
●意識レベルの確認 動画でわかる看護技術
5 「基準値」と「正常値」、どっち?
バイタルサインの目安となる値は、以前は「正常値」と呼ばれていました。
しかし、健常な人の多くが当てはまる値であって、必ずしも、その値の範囲内であれば正常、逆にその値の範囲から外れると異常というわけではありません。
そうした誤解の恐れがあることから、現在は、基準となる値という意味で「基準値」と呼ばれるようになっています。
基準値はあくまで目安。患者さんのいつもの値と比べるとどうかを考えることも大切です。
執筆・編集:看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo)
参考文献
- 1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編.高血圧治療ガイドライン2019.東京,ライフサイエンス出版,2019,18.(2023年9月4日閲覧)
- 2)松下雅弘ほか.超高齢社会におけるかかりつけ医のための適性処方の手引き.5高血圧.日本医師会,2021,4.
- 3)吉田みつ子ほか編.実習で使える看護技術アドバンス.東京,インターメディカ,2020,290-291.
- 4)横山美樹.はじめてのフィジカルアセスメント.第2版,東京,メヂカルフレンド社,2019,23-45.
- 5)系統看護学講座 専門分野I基礎看護技術I基礎看護学2.第17版,東京,医学書院,2019,91.
- 6)ナーシング・グラフィカ 基礎看護学2 基礎看護技術I.大阪,メディカ出版,2022,145.
- 7)看護学テキストNiCE 小児看護技術.改訂第13版,東京,南江堂,2017,13-27.
- 8)系統看護学講座 小児看護学I小児看護学概論 小児臨床看護総論.第14版,東京,医学書院,2020,60,294.
- 9)看護実践のための根拠がわかる小児看護技術.第3版,東京,メヂカルフレンド社,2022,77-92.
- 10)根拠と事故防止からみた小児看護技術.第3版.東京,医学書院,2014,164-210.
- 11)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編.高血圧治療ガイドライン2019.東京,ライフサイエンス出版,2019,139.(2023年9月4日閲覧)
- 12)浅香葉子.基準値.用語辞典.看護roo!(2023年9月4日閲覧)
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