DNARの終末期患者に心室頻拍(VT)が頻発。どう対応する?家族へのフォローは?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心室頻拍(VT)が頻発するDNARの終末期患者への対応について解説します。

 

田口裕紀子
札幌医科大学附属病院 高度救命救急センター 主任/救急看護認定看護師

 

DNARの終末期患者に心室頻拍(VT)が頻発。どう対応する?家族へのフォローは?

 

積極的な治療は行いません。家族には、現在の状況をわかりやすく説明し、必要時はアラームの消音を行うなど、環境を整えていきます。

 

 

DNAR(蘇生適応除外)の意思を確認できている終末期患者の場合、不整脈が頻発しても、不整脈を改善させるための積極的な治療を行うことはありません。

 

しかし、多くの家族は、DNARに同意はしていても、モニタ上、明らかに通常の波形とは異なる不整脈が出現すると、患者の最期が近いことを予測し、動揺してしまいます。

 

また、モニタのアラーム音や、VT心室頻拍)による血圧低下は、家族に緊迫感を与えます。

 

さらに、不整脈で「患者が苦しんでいるのではないか」などと考えることもあります。このような場合は家族への対応が最も重要です。

 

状況説明と環境調整が重要

1 状況説明はわかりやすい言葉で

家族には、患者に起きている現在の状態を、わかりやすい言葉で説明します。

 

電解質の異常や心機能の低下によって不整脈が出現していること、そのため、急な血圧低下や心停止の可能性があることを、家族の様子をみながらていねいに伝えてください。

 

2 患者と家族にとって穏やかな環境を

場合によっては、アラーム音を消し、家族にとって穏やかな環境を提供することもあります。

 

終末期にある患者の家族は、患者が死にゆく過程のなかで、安らかな死が提供されることを望んでいます。そのため、不整脈とともにけいれんが出現した場合など、家族にとって、患者に苦痛が生じているのではないか、と心配になる状況が起こった場合には、医師と相談し、鎮静薬・鎮痛薬の投与量を調整する場合もあります。

 

患者と患者周辺の環境を整えつつ、患者と家族が穏やかな最期を迎えられるような環境調整を行うことが、看護師の大切な役割です。

 

 

目次に戻る


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

> Amazonで見る   > 楽天で見る

 

 

[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

SNSシェア

看護ケアトップへ