DNAR患者の急変。医師によって「どこまで実施するか」が異なる…。どうすればいい?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は医師によってDNARの患者対応が異なる場合の対応について解説します。

 

神田直樹
北海道医療大学 看護福祉学部看護学科成人看護学講座/急性・重症患者看護専門看護師

 

DNAR患者の急変。医師によって「どこまで実施するか」が異なる…。どうすればいい?

 

あらかじめ、主治医に、急変場面を想定した具体的な指示を受けておきましょう。主治医以外が急変対応する場合には、主治医の指示をしっかり伝えられるようにしておきます。

 

DNAR(蘇生適応除外)が確認されていても、急変時に対応する医師によって、処置内容が異なる場合があります。

 

DNARの確認は、主治医患者あるいは代理決定者(家族など)との間で行われるものです。その合意については、書面やカルテ記載で残しておくのが一般的です。しかし、その記載内容について、第三者が確認したときに理解できるものになっていないことがあります。

 

例えば、「急変時、蘇生処置は行わない」という記載だけでは、急変対応に当たる医師の蘇生処置のとらえ方によって、提供される医療行為が異なる可能性が考えられます。

 

具体的な指示がカルテに記載されていない場合には、対応する医師が「積極的な介入により救命が可能」と判断するか、「積極的な介入をしても救命は不可能」と判断するかによって、DNAR患者への対応が異なってきます。

 

いずれの判断にせよ、その状況で最善の方法と医師が判断するのであれば、その考えを支持し、対応することが必要です。

 

チームでの情報共有が大切

急変時に、必ずその患者の主治医が対応できる保証はありません。そのため看護師は、主治医以外の医師と急変対応を行うことを想定し、患者のDNAR指示の内容を、急変対応する医師に伝えられるように、あらかじめ準備しておくことが必要です。

 

そのためには、血圧低下時の対応、呼吸数変化時の対応、酸素化悪化時の対応など、急変場面を想定した指示をあらかじめ確認しておく必要があります。

 

もし、患者の状況を理解しないまま主治医の指示内容と異なる処置をする医師がいたら、指示内容を正しく伝え、合意している処置を行うよう進言することも、看護師の重要な責務です。

 

***

 

DNAR患者の急変時対応は、個々のケースによって異なります。

 

そのことを認識し、患者の治療をどこまで行うのか、医療チーム内でコンセンサスを得る方法や、DNARの内容を確認・共有できるシステムを検討することが重要です(詳しくは「心肺停止で再来院の患者。気管挿管後、DNARと判明。どうすれば伝達ミスがなくなる?」) 。

 

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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