X線検査前。嫌な予感がするので、モニタ装着指示がほしい。どう医師に伝えればいい?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はX線検査前にモニタ装着指示がほしいとき、どう医師に伝えれば良いかについて解説します。
小越優子
滋賀医科大学医学部附属病院 看護部管理室看護師長/救急看護認定看護師
X線検査前。嫌な予感がするので、モニタ装着指示がほしい。どう医師に伝えればいい?
「なぜ嫌な予感がするのか」を医師に説明しましょう。
ABCDEに沿って情報を収集・整理することが必要です。
「嫌な予感がする」という、その感覚は非常に大切です。
そして、患者が1人になる時間があるX線検査という状況を鑑み、モニタリングの必要性に気づけていることも評価できます。
ここでもう一歩、医師が納得して指示を出すまでには、あなたの感じた「嫌な予感」の理由を整理して伝える必要があります。その整理の仕方の1つが、ABCDEに沿う方法です。
情報整理のポイント
ABCDEとは、A(気道)、B(呼吸)、C(循環)、D(意識/中枢神経系)、E(外表・体温)の頭文字をとったものです。「嫌な予感」を ABCDEのどこで感じたか整理すると「危険な症状が起こっている可能性がある」と客観的に伝えることができます。
1 情報整理の進め方(例)
視診で得られる「顔色が悪い」という情報は、Eの異常として医師に報告できます。しかし、適切に伝えるには、さらなる情報収集が必要です。その方策の1つが触診です。
触診で得られた「四肢に冷感がある」「脈拍が速くて弱い」という情報を、先ほど得られた「顔色が悪い」という情報に加えて考えると、Cの異常も示唆されます。もし、近くに血圧計があるなら、その測定結果から「血圧が低い」という情報も追加できるかもしれません。
ここまでの情報がそろえば、医師に伝えやすくなりますね。
2 受け持ち看護師だからこそ伝えられること
情報が少ない場合であっても、「呼吸がいつもより速いので、Bの異常です」など、受け持ち看護師だからこそ判断できることもあります。
患者の情報と、X線検査で患者を1人にするリスクを伝えることも、効果的です。
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あなたの感じた「嫌な予感」を、単なる勘(主観)として片づけるのではなく、客観的に整理して伝えられるよう訓練しましょう。それが、あなたの「嫌な予感」の精度を向上させ、ひいては患者の急変の前ぶれサインに気づくことにつながるのです。
●移動中は、どうしても「患者を搬送すること」に気をとられ、患者の状態観察やモニタ監視がおろそかになりがちです。常に最悪の事態を想定しておいたほうがよいでしょう。
●移動のために行う体位調整や、歩行が急変の誘因となることもあります。
●心不全や呼吸不全患者、術後の初回歩行などでは、特に注意が必要です。
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引用・参考文献
1)池上敬一,浅香えみ子 編,日本医療教授システム学会 監修:患者急変対応コースfor Nursesガイドブック.中山書店,東京,2008:50‐60.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社