類乾癬|炎症性角化症②
『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は類乾癬について解説します。
吉池高志
順天堂大学医学部附属静岡病院皮膚科
Minimum Essentials
1原因不明。感染を契機に、あるいは菌状息肉症の前駆状態として出現することもある。
2乾癬に似た角化性紅斑が多発するが、鱗屑は細かく粃糠状である。
3治療はステロイド薬外用や光線療法を行う。
4慢性の経過をたどり、タイプにより菌状息肉症に移行することもある。
類乾癬とは
定義・概念
乾癬に似た角化性紅斑が多発するが、乾癬とはまったく関係がない。皮疹の大きさによって、滴状類乾癬(苔癬状粃糠[ひこう]疹)と局面状類乾癬に大別される。
原因・病態
原因は不明である。Tリンパ球による表皮真皮境界部を中心とした炎症である。滴状類乾癬には感染が先行する場合がある。皮疹が大きい局面状類乾癬では、悪性リンパ腫の一病型である菌状息肉症へ移行することがある。
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診断へのアプローチ
臨床症状・臨床所見
いずれの病型でも体幹・四肢近位側に多発する(図1)。
滴状類乾癬(苔癬状粃糠疹)
皮疹は小さな丘疹から始まり、1cm大までの鱗屑を伴う褐色調を帯びた淡褐色斑となり、そして色素沈着を残して消失していく。いろいろなステージの皮疹が新旧混じるのが特徴である。
局面状類乾癬
円形あるいは類円形、境界がやや不明瞭な褐色調を帯び、軽度の鱗屑を付着する淡紅色局面が多発する。大型の皮疹では、時に皮膚萎縮、色素沈着や脱失、毛細血管拡張といったいわゆる多形皮膚萎縮を認める。かゆみはほとんどない。
検査
皮膚生検。とくに菌状息肉症への移行を発見するために必要である。
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治療ならびに看護の役割
治療
ステロイド薬の外用や光線療法(ナローバンド UVB、PUVA)を行う。
看護の役割
治療における看護
光線療法、とくにPUVA療法を実施する際には、日焼け反応を観察し、かつ眼の保護に努めなければならない。
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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂