拡張型心筋症(DCM)
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は拡張型心筋症(DCM)について解説します。
小野木晃
新東京病院看護部
〈目次〉
拡張型心筋症(DCM)はどんな疾患?
拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy;DCM)とは、左心室あるいは両心室のびまん性の収縮機能低下、心室の拡大を呈する疾患です(図1)。さまざまな原因による心筋細胞障害の終末像です。
原因は、ウイルス感染、免疫異常、高血圧、遺伝子異常などの要因が考えられています。
患者さんはどんな状態?
病態の進行に伴いさまざまな症状が出現します(表1)。
おもな症状は、心臓のポンプ機能の低下による心不全症状です。
どんな検査をして診断する?
確定診断のために、心エコー検査、心臓カテーテル検査、心筋生検による特定心筋症の除外診断が必要になります(図2、表2)。
日本循環器学会:拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン.(2018年12月閲覧)より転載
どんな治療を行う?
原因不明の疾患のため、根本的治療は心臓移植のみです。心不全や不整脈などに対する対症療法を行っていきます(表3)。拡張型心筋症は、慢性心不全症状を特徴とし、急性増悪を繰り返す予後不良の疾患です。そのため、心不全症状の予防・生活指導を行います。
★1 ICD
たこつぼ心筋症については図3の治療を行います。
図3その他の心筋疾患(たこつぼ心筋症)
文献
- 1)伊藤文代編:循環器看護ケアマニュアル 第2版.中山書店,東京,2013.
- 2)医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
- 3)日本循環器学会:拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン.(2019.09.01アクセス)
- 4)日本循環器学会:肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 循環器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社