虚血性心疾患の退院支援
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は虚血性心疾患の退院支援について解説します。
虚血性心疾患の退院支援で大切なこと
虚血性心疾患は、生命に危険を及ぼす疾患であり、緊急入院となる場合が多く、ほとんどの患者さんは自分の置かれている状況がどういうものなのか把握できないまま治療が進み、状態が安定してくると早々に退院へと向かいます。
入院期間中に疾患の把握から退院後の注意点まで指導を行うためにも、入院と同時に患者さんの情報収集※1を行うことが退院指導への大事な一歩となります。その結果、患者さんが自身の病気の特徴を理解して、今後の対策を考えられるように援助していきます。
虚血性心疾患の退院支援では、生活習慣の見直し(喫煙、飲酒、食事)、糖尿病・脂質異常症の是正、血圧・体重管理、ストレス軽減、継続的な内服、症状出現の初期対応が大切になります(表1)。
※2 退院後の生活の注意点
心臓に負担のかからない、ストレスをためない生活を心がけてもらう。
①血圧が変動する動作を避ける
・排便コントロール
・頭を下げない(物をとるときは膝を曲げてしゃがむ)
・入浴する際は脱衣所を温め、湯の温度は38~40℃で10分ほどにし、長湯は避ける
②適度な運動をする
・有酸素運動をすることによって体重減少や血糖値、脂質の改善が期待でき、リスク低減につながる
③食生活を見直す
・バランスよく規則正しく摂る
・減塩食にする
・カロリー、コレステロールの摂りすぎに注意する
・必要であれば栄養指導を受けてもらう
文献
- 1)藤野彰子:ナーシングレクチャー 心疾患をもつ人への看護.中央法規出版,東京,1997.
- 2)安倍紀一郎,森田敏子:病態生理,疾患,症状,検査のつながりが見てわかる 関連図で理解する 循環機能学と循環器疾患のしくみ 第3版.日総研出版,愛知,2010.
- 3)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
- 4)榊原記念病院看護部,鈴木紳編著:AMIケアマニュアル.ハートナーシング1992夏季増刊,メディカ出版,大阪,1992.
- 5)日本循環器学会:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版).(2019.09.01アクセス)
- 6)黒澤博身総監修:全部見える 循環器疾患.成美堂出版,東京,2012.
- 7)浦部晶夫,島田和幸,川合眞一編:今日の治療薬2018.南江堂,東京,2018.
- 8)三浦稚郁子:「なぜ?」の理解で総復習&ステップアップ! 循環器ケアの成長ふりカエルチェッククイズ65.ハートナーシング 2013;26:5-65.
- 9)酒井毅:読解プロセスですいすいわかる! 完全攻略炎の心電図ドリル50.ハートナーシング 2016;29(6):11-86.
- 10)赤石誠監修:くすりのはたらきと使用ポイントがよくわかる! ナース必携!循環器の薬剤ガイド150.ハートナーシング2015年春期増刊,メディカ出版,大阪,2015.
- 11)日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社