心筋梗塞後のリハビリテーション

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心筋梗塞後のリハビリテーションについて解説します。

木下智恵
新東京病院看護部
橘 綾子
新東京病院看護部

 

心筋梗塞後のリハビリテーション

近年、医療技術の向上に伴い、心筋梗塞治療も低侵襲で行えるカテーテル治療が普及しています。そのため、入院期間の短縮化が進み、患者さんが病識を得ないまま退院になってしまうケースや、日常生活でどこまで活動していいのか、激しい胸の痛みが再発するのではなどの不安があり、運動に対して消極的になるケースがあります。

 

心筋梗塞後の心臓は壊死組織があり、心機能低下が考えられるため、心臓リハビリテーションを行うことで心機能向上体力を戻すことや、退院後の不安を取り除き、社会復帰に向けて支援するという目的があります(表1)。

 

表1心筋梗塞後のリハビリテーションのポイント

心筋梗塞後のリハビリテーションのポイント

 

★1 退院支援
★2 虚血性心疾患の退院支援のポイント

 

医師からの指示で心臓リハビリテーションを行う場合は、安静度に準じて看護していきます(表2)。

 

表2急性心筋梗塞 14 日間クリニカルパス(国立循環器病研究センター)

 

※横にスクロールしてご覧ください。

 

急性心筋梗塞 14 日間クリニカルパス(国立循環器病研究センター)

 

医師の指示にもよりますが、一連のリハビリテーションを必ず行うということではなく、心筋壊死の程度などでリハビリテーションのメニューが変わります。心臓リハビリテーションを開始する基準は、血液検査で心筋マーカーが上昇しきって(ピークアウト)、状態が安定したら、医師の指示のもと開始となります(表3)。

 

表3急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準

急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準

 

 

 


文献

  • 1)藤野彰子:ナーシングレクチャー 心疾患をもつ人への看護.中央法規出版,東京,1997.
  • 2)安倍紀一郎,森田敏子:病態生理,疾患,症状,検査のつながりが見てわかる 関連図で理解する 循環機能学と循環器疾患のしくみ 第3版.日総研出版,愛知,2010.
  • 3)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
  • 4)榊原記念病院看護部,鈴木紳編著:AMIケアマニュアル.ハートナーシング1992夏季増刊,メディカ出版,大阪,1992.
  • 5)日本循環器学会:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版).(2019.09.01アクセス)
  • 6)黒澤博身総監修:全部見える 循環器疾患.成美堂出版,東京,2012.
  • 7)浦部晶夫,島田和幸,川合眞一編:今日の治療薬2018.南江堂,東京,2018.
  • 8)三浦稚郁子:「なぜ?」の理解で総復習&ステップアップ! 循環器ケアの成長ふりカエルチェッククイズ65.ハートナーシング 2013;26:5-65.
  • 9)酒井毅:読解プロセスですいすいわかる! 完全攻略炎の心電図ドリル50.ハートナーシング 2016;29(6):11-86.
  • 10)赤石誠監修:くすりのはたらきと使用ポイントがよくわかる! ナース必携!循環器の薬剤ガイド150.ハートナーシング2015年春期増刊,メディカ出版,大阪,2015.
  • 11)日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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