眼はなぜまぶしさを我慢できるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は眼の構造について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
眼はなぜまぶしさを我慢できるの?
眼には入ってくる光の量を何段階にも渡って調節する仕組みがあります。そのため、強い光刺激を受けても、我慢できる程度のまぶしさに抑えることができるのです(図1)。
図1眼の構造
眼はカメラの構造と似ています。まず、いちばん外側にある眼瞼(がんけん、まぶた)は、カメラのレンズキャップとシャッターの両方を兼ねています。強い光が当たっている場所では、眼瞼を半ば閉じることで、入ってくる光の量を調節します。
外界と眼球との境目にあるのが角膜です。角膜はフィルターとレンズを兼ねた約0.5mmの薄い膜です。紫外線を吸収して網膜を保護すると同時に、屈折率の高い凸レンズとして焦点(ピント)の調節も行います。外部から入ってきた光は、角膜を通過する時に屈折され、瞳孔から眼球内に入ります。
瞳孔の中に入る光の量は、虹彩(こうさい)によって調節されています。光の量が多い場合は虹彩が縮まって瞳孔を小さくし(縮瞳)、光の量が少ない場合は虹彩が広がって瞳孔を多くします(散瞳)。これは、網膜に強い光が当たらないための仕組みです。虹彩を伸縮させているのは、輪状の括約筋(かつやくきん)と放射状の散大筋(さんだいきん)です。瞳孔を小さくする時には括約筋が縮み、大きくするときには散大筋が縮みます。虹彩は、カメラでは絞りに当たります。
MEMO眼瞼(がんけん)
埃(ほこり)や紫外線から眼球を保護する蓋の役割を果たします。瞬目(しゅんもく、まばたき)をすることで、眼球の表面に涙を行き渡らせ、角膜や結膜の乾燥を防ぐ働きもあります。
※編集部注※
当記事は、2019年11月18日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版