移動・移送の援助を行うのはなぜ?|移動・移送
【大好評】看護roo!オンラインセミナー
『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は患者の移動・移送に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
移動・移送の援助を行うのはなぜ?
人は移動することで、栄養摂取や排泄といった生理的欲求を満たしています。また、社会的な活動も移動によって満たされています。
だからこそ、病気や障害によって自分で移動することができない患者に対し、安全・安楽に移動して目的を達成できるように援助をする必要があるのです。
入院施設における移動には、災害時の避難、救急処置の必要上の移送、転室・転棟のための移送、治療や検査のための移送、運動やレクリエーション、気分転換のための移動、日常生活動作のための移動などがあります。
援助の対象になるのは、機能障害のために1人では移動できない患者、意識障害がある患者、エネルギーの消耗を防ぐ必要がある患者、車いすへの移動移送の動作を安全に自立して行えないと判断された患者などです。
移動・移送では、転倒や転落といった事故に最も注意を払う必要があります。看護が手薄になりやすい交替時間、洗面や食事などの時間帯、体幹バランスが保ちにくい起床時などに事故が起こりがちです。
memo高次脳機能障害
脳卒中、脳外傷、脳炎、低酸素脳症などによって脳が損傷を受け、言語、記憶、理解、判断、注意、学習などに障害が現れた状態を、高次脳機能障害といいます。移動や移送にも影響を及ぼしますので、患者の外見上の障害だけでなく、脳の障害にも注意を向けて援助を行う必要があります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版