義歯を着けた人でも口腔ケアが必要なのはなぜ?
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は義歯と口腔ケアに関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
義歯を着けた人でも口腔ケアが必要なのはなぜ?
口腔内の細菌は、歯のあるなしにかかわらず、条件さえそろえば増殖するからです。
細菌が粘膜や舌の表面で増殖すると、誤嚥性肺炎をひき起こす危険性もあります。総義歯を着けた患者は、「歯がないのだから歯磨きは必要ない」と、口腔ケアに消極的な態度を示す場合もあります。
しかし、口腔ケアは単に齲うし歯を防ぐためだけに行うものではないことを分かりやすく説明し、納得してもらうことが大切です。
なお、原則的に、夜間は義歯を外し、歯肉を安静にします。義歯を着けたままでいると、義歯と粘膜が常に接触しているために細菌や真菌の刺激で粘膜の腫れや口内炎の原因になります。
MEMO舌苔(ぜったい)
舌の上に生じる白あるいは黄褐色の苔(こけ)状のものです。上皮細胞、リンパ球、食事の残渣(ざんさ)などからできます。
義歯の取り扱い
義歯の手入れは、患者本人が行えない場合は看護師が行います。患者に義歯をガーゼの上に取り外してもらうか、あるいは看護師が上下に軽く動かして取り外します。上顎は義歯をしっかりつかみ、後ろ側を下に下げて取り外します。下顎は義歯の端を引き上げると外せます。
流水で洗い、義歯用の柔らかい歯ブラシでブラッシングします。洗浄中に義歯を落として破損することがないように、下に水を張った容器を置いておきましょう。汚れがひどい時は、洗浄液につけておきます。
なお、夜間や意識混濁時、衰弱している時などは義歯を外し、水を張った容器に浸しておきます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版