「胃瘻の閉鎖」に関するギモン|PEGケアQ&A

『病院から在宅までPEG(瘻)ケアの最新技術』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「胃瘻の閉鎖」に関するギモンについて説明します。

 

岡田晋吾
北美原クリニック理事長

 

〈目次〉

 

胃瘻が不要になったときには、どうすればいいですか?

胃瘻を使う可能性が全くない場合は抜去しますが、今後のことを考えて残しておくこともあります。患者の病状、患者・家族の希望を確認して判断します。

 

胃瘻が不要となるのは、経口摂取が十分な場合、もしくは、完全に中心静脈栄養だけになった場合だと考えられます。このような場合は、患者の病状と、患者や家族の希望を聞いて判断します。

 

今後、経口からの栄養摂取が不十分になる可能性がある場合は抜去せず残しておきますが、その可能性が全くない場合は抜去します。

 

PEGを残しておく場合には

抜去せず留置しておく場合は、ときどきフラッシュし、定期的にカテーテルを交換する必要があります。

 

また、留置したままにするなら、ボタン型に変更しておくと管理しやすいでしょう。

 

留置したままにするメリット、デメリットをよく説明しておくことが重要です。

 

***

 

筆者は以前、脳梗塞でPEG造設され、経口摂取だけで十分な栄養が摂れるようになった高齢患者で、家族が「念のためPEGを入れておいてほしい」と希望したため、留置したままにしていたことがあります。

 

この患者は3年後、新たな脳梗塞を起こして嚥下障害となり、経口摂取が不可能となったため、PEGから栄養投与を再開することとなりました。

 

胃瘻を抜いたのに瘻孔が閉鎖しません。どうすればいいですか?

少しずつ細いカテーテルに変更しながら閉じるのを待つのが現実的です。どうしても閉鎖しない場合には、外科医に相談する必要があります。

 

胃瘻カテーテルを抜くと、通常1週間ほどで瘻孔が閉鎖します。ただ、長期にわたって使用していた場合、胃液など瘻孔からの排出が多い場合、周囲に不良肉芽がある場合には、瘻孔が閉じにくいことがあります。このような場合、皮膚のみを縫合してもなかなか閉じないことも多いようです。

 

一番いいのは胃粘膜、胃壁、腹壁をそれぞれ層別に縫合する方法ですが、外科医でないとできません。そのため、少しずつ細いカテーテルに変更しながら徐々に閉じていくのを待つ方法が現実的かもしれません。瘻孔からの排液が多い場合は、PEGカテーテルを用いてドレナージしながら閉じるのを待ちます。

 

特殊ですが、内視鏡的に胃粘膜を閉じる方法も報告されています。それでも閉鎖しない場合は外科医に相談しましょう。

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2010照林社

 

[出典] 『PEG(胃瘻)ケアの最新技術』 (監修)岡田晋吾/2010年2月刊行/ 照林社

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