エコーガイド下ドレナージ術は緊急処置! 5つの手順を押さえよう

画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
今回は、看護師さんに知っておいて欲しい「緊急処置であるエコーガイド下ドレナージ術の5つの手順」についてのお話です。

 

加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)

 

疾患のなかには、通常時は外科手術で対応しますが、緊急時にはエコーやX線を使って治療を行うものもあります。

 

エコーとX線を両方使うなんて、難しい治療という感じがします・・・
それって、どんな疾患ですか?

 

肝膿瘍や胆嚢炎があたります。

 

あ、今、私が担当している患者さんに胆嚢炎の方がいます。
どんなことを覚えておけば良いですか?

 

緊急時に行う処置なので、普段から治療の目的や手順だけは覚えておいてくださいね。
ここで、治療手順の必須ポイントを5つにまとめました。

 

〈目次〉

 

エコーとX線を用いるハイブリッドなエコーガイド下ドレナージチューブ挿入術

通常の検査で使用するエコー(超音波)にX線を加えた処置として、エコーガイド下ドレナージチューブ挿入術(超音波ガイド下ドレナージ術)と呼ばれるものがあります。これは、肝膿瘍や胆嚢炎に対して行われる治療法です。

 

肝膿瘍は一定の大きさを超えると、抗菌薬加療のみでは根治が難しくなります。そのため、ドレナージカテーテルを挿入します。また、一般的に、急性胆嚢炎の治療は外科手術が望ましいですが、発症から時間が経っている場合などでは、一時的にドレナージカテーテルを挿入して、加療することがあります。

 

これらの処置は、多くの場合、緊急処置として行われますので、目的や手順をしっかりと押さえておきましょう。

 

ドレナージ治療の5つの手順:肝膿瘍と胆嚢炎の治療はドレナージが中心

一般的に、感染症の患者さんには、抗菌薬で加療を行います。基本的に、抗菌薬は、血流に乗って感染部位に到達し、抗菌効果を発揮します。そのため、抗菌薬が効果を発揮するためには、感染部位に血流が保たれていることが重要となってきます。

 

しかし、肝膿瘍や胆嚢炎の場合、感染部位に血流が乏しいため、基本的にはドレナージによる治療が中心となります。肝膿瘍と胆嚢炎の基本的な手技は、図1の①から⑤の流れで行われます。

 

 

図1ドレナージ治療で行われる手技の5つの手順

ドレナージ治療で行われる手技の5つの手順

 

①→⑤の順番に手技を行います。
手順④の段階で、造影剤を使用しX線で確認します。

 

この際、手順④の穿刺を行った段階で、正しい空間に穿刺針の先端が入っているかを、造影剤を用いてX線で確認します。

 

また、手順⑤で用いるカテーテルは、多くの場合、ピッグテールカテーテルと呼ばれる豚の尻尾のような形をしたカテーテルを使用します(図2)。

 

 

図2ドレナージ治療で使用されるピッグテールカテーテル

ドレナージ治療で使用されるピッグテールカテーテル

 

先端部が豚の尻尾のように丸まっています。

 

カテーテル留置後は、細菌培養検査に出すことが多いので、滅菌スピッツを用意しておくとよいでしょう。

 

エコーガイド下ドレナージチューブ治療は緊急時の処置

エコーガイド下ドレナージカテーテルを使用する治療は、多くの場合、緊急処置として行われます。そのため、本治療の目的や、図1にある5つの手技の手順を覚えておきましょう。

 

 

Check Point

  • 肝膿瘍と胆嚢炎の緊急時の治療として、エコーガイド下ドレナージチューブ挿入術が行われます。
  • 治療中は、エコーで穿刺対象物を描出、血管の確認、局所麻酔、穿刺しガイドワイヤーの挿入、ドレナージカテーテルの留置の5つの手順で行われます。

 

 


[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科

 


Illustration:田中博志

 


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