神経系はどんな構成になっている?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「神経系の構造」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
神経系はどんな構成になっている?
神経系は、解剖学的には中枢神経系と末梢神経系に大別されます(図1)。
中枢神経系は脳と脊髄から成り立っており、受け取った情報を統合して処理・判断し、適切な指令を出すのが役割です。
例えば、気温が上がって暑いという情報を脳が受け取ると、脳は汗を出しなさいという指令を体の各部(効果器)に伝えます。その結果、筋肉、皮膚、感覚器などが指令に反応し、汗をかいて体を冷やすように働きます。
この時、中枢神経系からの指令を仲介する役割を担っているのが末梢神経系です。
末梢神経系は、運動や感覚に関与する体性神経系(感覚神経、運動神経)と、臓器の運動や機能に関与する自律神経系(交感神経、副交感神経)に分けられます。脳に出入りする神経(脳神経)と脊髄に出入りする神経(脊髄神経)は共に末梢神経です。
信号を伝える方向によって末梢神経を分けると、求心性神経、遠心性神経に分類されます。全身からの感覚情報を中枢に伝える神経が求心性神経(あるいは感覚神経)、中枢からの指令を効果器に伝える神経が遠心性神経(あるいは運動神経)です。
MEMO受容器と効果器
刺激を受ける部分が受容器、その受容器から情報を受けて働くのが効果器で、シナプスにより情報が伝達されます。体性神経の受容器は皮膚、骨格筋、特殊感覚器などのシナプスで、効果器は骨格筋などです。一方、自律神経の受容器は内臓平滑筋などのシナプスで、効果器は内臓筋、腺、血管の平滑筋などです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版