甲状腺から出るホルモンが増減するとどうなるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「甲状腺ホルモンの増減に伴う症状」に関するQ&Aです。
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山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
甲状腺から出るホルモンが増減するとどうなるの?
甲状腺機能が亢進すると物質代謝や基礎代謝量が増大するため、心拍数の増加、体温の上昇、発汗の増加などがみられるようになります。この状態がバセドウ病(甲状腺機能亢進症)です。
甲状腺機能が低下すると、熱の産生や基礎代謝が低下し、精神的、肉体的活動が低下します。新生児期に甲状腺機能が低下すると、クレチン病になります。また甲状腺に慢性炎症が起きると、甲状腺の機能が低下し甲状腺機能低下症となります。橋本病(慢性甲状腺炎)はその1つです。
MEMOバセドウ病(甲状腺機能亢進症)
自己免疫疾患の1つで、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する抗体ができて、甲状腺が常に刺激された状態になるため、甲状腺ホルモンの分泌が亢進します。心悸亢進による心拍数の増加、甲状腺腫、眼球突出をメルセブルグの3主徴といいます。そのほかに、体温の上昇、発汗の増加、手の震え、体重減少などもみられます。
MEMO橋本病(慢性甲状腺炎)
自己免疫疾患で、甲状腺細胞に対する抗体が認められる慢性甲状腺炎です。甲状腺機能ははじめのうち、①正常のままの場合、②一過性に亢進する場合、③低下する場合などさまざまに変化しますが、最終的には低下します。寒がり、皮膚乾燥、精神活動の低下などが認められ、さらに多くの場合に粘液水腫(圧迫してへこませてもすぐ元に戻るのが特徴の浮腫)がみられます。
※編集部注※
当記事は、2017年9月22日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版