排泄とは何だろう?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は「排泄」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

[前回]

大腸が体内で移動しないのはなぜ?

 

〈目次〉

 

排泄とは何だろう?

排泄は、さまざまな生命活動によって生じる不必要な代謝産物(老廃物)、有害な物質を体外に排出することです。

 

排泄には、肺から二酸化炭素を排出する呼吸、腸から食物残渣を排出する排便、皮膚からの不感蒸泄(ふかんじょうせつ)、発汗などが含まれます。しかし、代謝産物の大部分は、腎臓を中心とする泌尿器系によって排泄されます。

 

代謝によって生じた産物は、血液中に溶け込んで全身を巡った後、腎臓に達します。腎臓で血液から排泄されるべき物質を取り出し、血液を再び清浄な状態に戻して送り返します。このとき、老廃物や有害な物質が溶け込んだものが尿です。

 

MEMO不感蒸泄

呼気に含まれる水蒸気や、感知できない程度に皮膚から分泌される汗など。不感蒸泄の量は1日で 700~900mL にも達します。

 

なぜ排泄が必要なの?

身体は多数の細胞で構成されています。細胞は血液によって届けられた栄養分を燃焼させ、エネルギー源にしています。このとき、細胞ですべての栄養分が完全に燃え尽きるわけではなく、不要物が生じます。また、細胞が代謝をすることにより、老廃物も生じます。

 

これらは再び血液に戻され、全身を巡ります。これらの不要物や老廃物は身体にとって不必要なものですから、そのままにしておくとさまざまな悪影響が生じます。そのため、何らかのかたちで体外に排泄する必要があるのです。腎機能が低下すると不要物や老廃物の排泄がうまく行えなくなり、尿毒症(にょうどくしょう)を引き起こします。

 

MEMO尿毒症

腎臓の排泄機能が著明に低下した慢性腎臓病の状態。倦怠感、貧血高血圧、浮腫、肺水腫などの症状が現れます。

 

※編集部注※

当記事は、2016年11月3日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

腎臓の果たす役割は排泄だけなの?|腎臓の形と役割

 

⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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