大腸が体内で移動しないのはなぜ?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「大腸」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
大腸が体内で移動しないのはなぜ?
大腸は腹腔の周りを取り囲むようにして走行している臓器です。上行結腸、下行結腸、直腸は腸間膜をもたず、腹壁や骨盤腔に直接固定されています。このため、体内で移動することはありません。
これに対して横行結腸、S状結腸は、腸間膜(ちょうかんまく)におおわれていますが、腹壁には固定されていません。
高齢者ではこの腸間膜が弛緩していることが多く、そこに便秘が重なると、便の存在する部位に重力が働き(その部分が垂れ下がったようになり)、捻転(ねんてん)を起こして腸閉塞・イレウスになることがあります。捻転を起こす一般的な原因は便秘です。
MEMO腸間膜
腸を吊り下げるようにして固定している腹膜の一部。腸間膜には、腸に酸素や栄養を送る血管や神経が存在しています。
※編集部注※
当記事は、2016年10月31日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版