大腸が体内で移動しないのはなぜ?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

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便秘はなぜ起きるの?

 

今回は「大腸」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

大腸が体内で移動しないのはなぜ?

大腸は腹腔の周りを取り囲むようにして走行している臓器です。上行結腸、下行結腸、直腸は腸間膜を持たず、腹壁や骨盤腔に直接固定されています。このため、体内で移動することはありません。 

 

これに対して横行結腸、S状結腸は、腸間膜(ちょうかんまく)に覆われていますが、腹壁には固定されていません。高齢者ではこの腸間膜が弛緩してしまっていることが多く、そこに便秘が重なると、便の存在する部位に重力が働き(その部分が垂れ下がったようになり)、捻転(ねんてん)を起こして腸閉塞〔ちょうへいそく〕(イレウス)になることもあります。捻転を起こす最も一般的な原因は便秘です。

 

MEMO腸間膜

腸を吊り下げるようにして固定している腹膜の一部。腸間膜には、腸に酸素や栄養を送る血管や神経が存在しています。

 

MEMO腸閉塞(イレウス)

小腸あるいは大腸の内腔が詰まり、通過障害を起こした状態。癒着や腫瘍などによって詰まる機械的イレウスと、腸管の蠕動運動によって起きる機能的イレウスがあります。

 

[次回]

排泄とはなんだろう?

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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