便秘はなぜ起きるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「便秘」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
便秘はなぜ起きるの?
便秘は、大腸の中で内容物の移動に時間がかかり、水分が過剰に吸収されて便が硬くなったり、排便そのものが困難になることによって起こります。
便秘は機能性便秘と器質性便秘に分けられます。機能性便秘には、一過性便秘(単純性便秘)と習慣性便秘(慢性便秘、常習性便秘)があります。ほとんどは習慣性便秘で、大腸の機能障害で起こる大腸性便秘と、直腸の排便機能の障害で起こる直腸性便秘に分けることができます。
大腸性便秘は、習慣性便秘の大半を占めます。大腸壁の緊張や、大腸の蠕動運動が低下すると、内容物の通過が遅れて便秘になります。運動不足や長期臥床などで腸管への機械的刺激が不足したり、大腸の粘膜の感受性が低下することで引き起こされます。
直腸性便秘は、直腸に便がたまって便意を感じた時に、排便を我慢することによって生じます。便意を我慢すると肛門括約筋が緊張して排便反射が抑圧され、一時的に便意が遠のきます。これを繰り返していると、直腸は次第に拡張して緊張が低下し、便が送り込まれても直腸内圧が十分に上がらず、便意を感じなくなってしまいます。
大腸そのものの障害によって起きるのが器質性便秘です。直腸癌、腸管の癒着などによって大腸に狭窄や屈曲が生じると、内容物が腸内に停滞して便秘が起こります。
[次回]
大腸が体内で移動しないのはなぜ?
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版