エコー(超音波)の性質と特徴
画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、ナースが目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
[前回の内容]
今回は、「エコー(超音波)の性質と特徴」についてのお話です。
加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)
エコー機器については理解いただけたと思います。
そういえば、そもそもエコーって、何だと思いますか?
う~ん・・・音や振動のことですか?
惜しいですが、違います。エコーとは、超音波のことです。
イルカやコウモリが発しているものもエコーですね。
テレビで見たことがあります! あれもエコーだったんですね。
それでは、エコーがどんなものなのか、どんな性質があるのかを、ここで一緒にみていきましょう。
〈目次〉
エコー(超音波)検査の原理
エコー検査とは、超音波を体に当てて、その跳ね返り具合を解析して、映像として表す検査です。
超音波とは、人間の耳には聞こえないくらい高い音のことです。つまり、エコー検査は、音のような振動を患者さんの体に当てて、検査を行っています。人間の耳に聞こえる音は、気体や液体の中でも伝わることができますが、エコー検査で使用される周波数のエコーは、気体や固体の中では伝わりにくいという性質を持っています。
このため、エコー検査には表1のような特徴があります。
表1エコー検査の特徴
エコーは、液体・柔らかい固体でよく伝わる | ⇒ 液体・柔らかい固体の臓器は、よく見える |
エコーは、気体・硬い固体で伝わりにくい | ⇒ 気体・硬い固体の臓器があると、よく見えなくなる |
エコー検査のメリットとデメリット
メリットは身体的負担が少ないこと
エコー検査は、放射線を使用するX線検査とは違い、放射線を使わない検査のため、被曝の危険性がありません。基本的には、患者さんに振動を当てているだけのため、検査による身体的な負担や危険性はほとんどありません。
また、ポータブル用の機器があるので、いつでもどこでもすぐに検査ができます。
デメリットは検査に適さない苦手な臓器があること
エコー検査は、患者さんの状態によっては、うまくエコー像が見えないことがあります。例えば、皮下脂肪の量が多い患者さんの場合(図1)や、胃内に空気が多く存在する場合(図2)などは、エコー像がよく見えません。
図1エコー所見に影響を与える要因(皮下脂肪量)
図2エコー所見に影響を与える要因(胃内の空気量)
このように、エコー検査は、患者さんの要因によって、エコー像が見えにくい場合があります。つまり、エコー検査は、CT検査のようにすべての患者さんで、すべての臓器が撮影できるという検査ではありません。
Check Point
- エコー検査では観察しやすいものと、観察が難しいものがあります。
- 皮下の脂肪や、胃や腸の中の空気は、観察を難しくする主な要因です。
[次回]
- エコー(超音波)機器の特徴と取り扱い注意点
- 膵臓と脾臓のエコー像
- 腎臓のエコー像
- エコー検査の準備と片付け
- ⇒『初めてのエコー(超音波)検査』の【総目次】を見る
[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科
Illustration:田中博志