経管栄養のチューブ挿入時、半座位や座位をとらせるのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は経管栄養のチューブ挿入に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
経管栄養のチューブ挿入時、半座位や座位をとらせるのはなぜ?
〈目次〉
経管栄養チューブを挿入しやすい姿勢は
経管栄養を行なうには、鼻か口を通して胃までチューブを挿入するわけですが、その際、最も注意しなければならないことは、チューブを誤って気管に入れないことです。
そのために、咽頭と食道が一直線となるような、半座位および座位の体位をとるようにします(図1参照)。
図1口腔の構造と挿入方法
また、患者に肩の力を抜かせ、顎を突き出すようにさせると、口腔、咽頭、食道がほぼ一直線となり、いっそう挿入しやすくなります。
挿入時の患者の苦痛を軽減するには
チューブ挿入の際、患者にとって最も苦痛なのは、食道の上部を通過するとき嘔吐反射が起こることです。
ですから食道上部狭窄部位の通過は、慎重かつ速やかに行ない、通過後は嚥下運動とともにゆっくり挿入することです。また、無理に挿入すると粘膜を傷つけ、かえって嘔吐反射を誘発するので注意が必要です。
誤って気管にチューブが挿入されたときの徴候は、次のとおりです。
- ①咳や嗄声〔させい〕(かれ声)が出る。
- ②チューブの先端を水中に入れると気泡が出る。
- ③チューブをつまむと呼吸困難となる。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版