年齢、性別、体格などにより栄養所要量が違うのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は栄養所要量に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
年齢、性別、体格などにより栄養所要量が違うのはなぜ?
年齢、性別、体格などによりエネルギー所要量が違うためです。
〈目次〉
栄養所要量とは
栄養所要量とは、年利、性別に応じ、日本人として平均的な体格(身長、体重)をもった人を想定し、個々が心身の健全な発育を達成し、健康の保持・増進と疾病予防のために摂取することの望ましいエネルギーおよび各栄養素の摂取量を、1日当たりの数値で示したものです。(日本人の食事摂取基準、2015年版)
栄養所要量とエネルギー所要量の関係は
エネルギー所要量は栄養所要量の基本であり、エネルギー所要量の算定には基礎代謝量が必要です。基礎代謝は年齢、性別、体表面積(身長と体重から算出)により変化するため、栄養所要量の違いは年齢、性別、体格によります。
実際には生活活動強度を、Ⅰ(低い)、Ⅱ(やや低い)、Ⅲ(適度)、Ⅳ(高い)と分けて、それぞれの栄養所要量が算出されています。また、乳児期は、0~5か月、6~8か月、9~10か月の3期に分け、1~17歳を小児、18歳以上を成人とし、70歳以上を高齢者としています。妊婦・授乳婦については、妊娠・授乳に伴って増加を必要とするエネルギー量を付加して所要量としています。
一般に、エネルギー所要量は加齢とともに低下しますが、これは主として基礎代謝量の低下によるもので、身体活動量の低下が著しくなることも原因です。
ポイント
- 食欲がない場合は苦痛にならないよう無理に勧めないことも必要です。栄養所要量を考えるのも大切ですが、本能的に食事を食べたくないという身体の反応も捉えることが重要です。
- 1日の生活リズム(活動と休息のバランス)を整えてお腹が空くようにしていくことも大切です。
- 水分摂取もできるように患者のADLに合わせて準備しておきましょう。
- 栄養状態をアセスメントするための情報に身長、体重、BMIがあります。
- BMIは体重(Kg)÷身長(m)2で計算します(普通18.5以上25未満)。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版