腰椎ドレナージ|ICU における脳神経外科患者の看護
『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「腰椎ドレナージ」について解説します。
斎藤篤志
市立青梅総合医療センター 看護師
剱持雄二
市立青梅総合医療センター 集中ケア認定看護師
平林拓海
東京科学大学病院 医員
腰椎ドレナージの適応・目的
腰椎ドレナージの適応と目的を表1に示す。
表1腰椎ドレナージの適応と目的
出典:窪田敬一編著:全科ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド,照林社,2015,p.38をもとに改変
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腰椎ドレナージの禁忌
出血や脳腫瘍などで頭蓋内圧が亢進しているときに腰椎ドレナージを行うと、脊髄腔の圧が低下し脳実質が下方移動して脳ヘルニアを起こしてしまう可能性があるため、腰椎ドレナージは禁忌である(図1)。
図1腰椎ドレナージの禁忌例と硬膜外カテーテルの挿入経路
挿入に開頭術が必要で、髄液排出量がコントロールできない脳槽ドレナージも、行われることはない。
小脳病変では、脳室ドレナージでも髄液を排出しすぎると脳幹部が大脳側に移動して脳ヘルニアを起こすことがある。いずれにしても髄液の過剰排出は厳禁である。
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腰椎ドレナージの実際
取り扱い方法や、排液バッグの破棄方法は、「脳室・脳槽ドレーン、硬膜外・硬膜下ドレーン」に準ずる。
留意点
1ゼロ点設定
ドレーン挿入部がゼロ点となるため、ベッドフラットにて管理する(ドレーンの基準点が定められたとおりになっているかを確認、図2)。
図2腰椎ドレーンの固定方法
2交通性・波動の有無
交通性・波動が消失した場合には、ドレーンの閉塞が疑われる(髄液の拍動があるか、開通しているかを確認)。
3ドレーン刺入部の観察
乾燥していても刺入部のドレープが黄染していれば髄液漏出が疑われる。
発赤、疼痛、腫脹、膿汁がみられるときは感染が疑われる(ドレーン刺入部は乾燥しているか、感染徴候がないかを確認)。
4排液量と性状の観察
急に血性になって排液量が増加しているときは頭蓋内出血が疑われる(定められたとおりの排液量となっているか、短時間に急速に排液されていないか、色調の変化はないか、浮遊物が浮かんでいないか、混濁していないかを確認)。
5神経症状の観察
腰髄、馬尾で神経根にドレーンチューブが触れるために、坐骨神経痛様の痛みや腰痛を生じることがある。
この場合、痛みが楽な姿勢で安静をとらせるとともに、医師に報告して適切な処置をする必要がある。
報告
排液量の異常、神経学的症状の異常、感染徴候が認められた場合には、速やかに医師に報告する。
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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版