新型コロナウイルス感染症
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は新型コロナウイルス感染症について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
新型コロナウイルス感染症
2019年12月、新型コロナウイルス感染症 Coronavirus disease 2019(COVID-19)が中国の武漢で最初に報告されました。2020年2月、WHOはこの疾患を Corona VIrus Disease 2019(COVID-19)と命名し、3月、国際ウイルス分類委員会により、このウイルスは重症急性呼吸器症候群 Severe acute respiratory syndrome-2(SARS-CoV-2)と命名されました。
その後、SARS-CoV-2は全世界に広がり、WHOは2020年3月にCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)を宣言しました。
SARS-CoV-2は1本鎖RNAウイルスであり、直径100nmの球形ウイルスで、ウイルスゲノム(RNA)およびスパイクタンパク質(S)、ヌクレオカプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)の4つのタンパク質から構成されています。
スパイクタンパク質(S)はSARS-CoV-2が細胞に感染する時に受容体として利用するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体結合部位が存在します。
日本においては3年半にわたり、流行を繰り返しました。第4波はアルファ株が関与し、2021年6月からの第5波ではデルタ株が流行しました。デルタ株は感染力だけでなく重症化リスクもアルファより高いです。第6波ではオミクロン株のBA.1、BA.2が、また第7波ではオミクロン株のBA.5が、また第8波ではオミクロン株の亜型が流行しました。
デルタ株やオミクロン株ではSタンパク質の変異が起こり、ACE2結合親和性を高めることにより細胞内侵入効率が上昇し、パンデミックが拡大しました。
SARS-CoV-2に対する主なワクチンには、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、遺伝子組換えワクチンなどがあります。メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは2021年2月から接種が始まりました。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版