「フレイル」ってわかる?老年看護学の新出用語を解説|107回看護師国家試験出題基準

今年、看護師国家試験の出題基準改定が4年ぶりに行われました。この基準は第107回(2018年)の看護師国家試験から適用されます。

成人看護学に引き続き、今回は「老年看護学」の項目についてお伝えします。

 

変更点まとめ

一般・状況設定問題編(6)

 

老年看護学では、「フレイル」「エンパワメント」など新出のカタカナ語が数多く見受けられました。これらは、次にねらわれるキーワードのため要チェックです。

ひとつずつ、一緒に確認していきましょう(詳細は原典〈PDF〉をご覧ください)。

 

 

 

〈1〉高齢者の理解の基本となる概念

看護師国家試験 老年看護学〈1〉高齢者の理解の基本となる概念 出題基準変更点の図表

「サクセスフルエイジング」というキーワードが新しく登場しました。老いに適応して幸せに生活することを意味します。高齢者を理解する上で、基本となる概念です。

 

 

〈2〉高齢者の生活

看護師国家試験 老年看護学〈2〉高齢者の生活 出題基準変更点の図表

転勤や転居を意味する「リロケーション」は、老年看護学の場合、在宅から医療施設、医療施設から介護保険施設などへの移動をさします。高齢者にとっては、健康状態に影響を与えたり、疾患を誘発させたりする原因ともなるため注意が必要です。

 

「日常生活動作<ADL>」「手段的日常生活動作<IADL>」は、国試でも頻出のキーワードです。どの動作がADLで、どの動作がIADLか、区別できるようにしておくとよいでしょう。

 

 

〈3〉高齢者の健康

看護師国家試験 老年看護学〈3〉高齢者の健康 出題基準変更点の図表

「加齢に伴う変化」が、「身体機能の変化」「認知機能の変化」「心理・社会的変化」と細分化・具体化されました(「心理・社会的変化」は平成26年版「生活の変化」からの移動)。

 

 

〈4〉老年看護の基本

看護師国家試験 老年看護学〈4〉老年看護の基本 出題基準変更点の図表

ここでも新しいカタカナ語が出てきました。これらも今後、国試で出題される可能性が大きいと考えられます。

・エンパワメント(自らの力で健康を増進してコントロールする能力)

・ストレングスモデル(その人の強みにアプローチする援助モデル)

・ライフレビュー(歴史や思い出を共感的な態度で聴く回想法)

・コンフォート理論(身体的、霊的、社会的、環境的に満たされた快適さに関するニードを援助する理論)

 

また「地域包括ケアシステム」は、健康支援と社会保障制度、在宅看護論でも出題基準として明記されています。得点アップにつながりますので、確実に覚えていきましょう。

 

 

〈5〉高齢者の生活を支える看護

看護師国家試験 老年看護学〈5〉高齢者の生活を支える看護 出題基準変更点の図表

「寛ぎ、安心、安全」の項目が追加されました。

また、「歩行・移動」が「歩行、移動、姿勢保持」に変更されています。

 

 

〈6〉さまざまな健康状態や受療状況に応じた高齢者の看護

看護師国家試験 老年看護学〈6〉さまざまな健康状態や受療状況に応じた高齢者の看護 出題基準変更点の図表

「フレイル」に注目です。加齢により心身の脆弱性が出現した状態を指し、介護予防との関連性が高いキーワードです。[体重減少、疲労感、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動量の低下]のうち3項目が該当するとフレイルと判断されます。

 

「グリーフケア」は、第106回の国試で「入院中の妻を亡くした直後の夫へのグリーフケアで最も適切なのはどれか」という出題がありました。

 

 

〈7〉高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

看護師国家試験 老年看護学〈7〉高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護 出題基準変更点の図表

「皮膚の障害」が追加されました。

認知症については、「急性期一般病棟での援助」が追加されています。

 

また、「L~Q以外の高齢者に特有の疾患」の項目が設けられたため、L~Q=[せん妄、うつ病、Parkinson<パーキンソン>症候群、骨粗鬆症、骨折、感染症]以外にも、循環器系や呼吸器系など高齢者特有の疾患について出題されることが予想されます。

 

 

〈8〉治療・介護を必要とする高齢者の家族の看護

看護師国家試験 老年看護学〈8〉治療・介護を必要とする高齢者の家族の看護 出題基準変更点の図表

「治療」を受ける高齢者と家族に加えて、「介護」を必要とする高齢者と家族も対象とされています。

また、家族一人ひとりへの影響、そして家族システムのアセスメントについても大切になってくるでしょう。

 

 

〈9〉多様な生活の場で展開する高齢者への看護

看護師国家試験 老年看護学〈9〉多様な生活の場で展開する高齢者への看護 出題基準変更点の図表

老年看護学において、いちばん内容が変化したのがこの項目です。

まず、「医療施設」「介護保険施設等」「地域密着型サービス、居宅サービス」と、多様化する場所別に分類がされました。それぞれの場の特徴を理解した看護が求められます。

 

また、多職種連携のなかでも、老年看護学では「介護との協働」がクローズアップされ別項目となっています。

 

 

***

次回は「小児看護学」についてお伝えします。

【看護roo!編集部】

 

 

(参考)

「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成 30 年版」の改定概要について(厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成26年版、厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成30年版、厚生労働省)

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