「感染症」を要チェック!健康支援と社会保障制度の変更点|107回看護師国家試験出題基準

今年、看護師国家試験の出題基準改定が4年ぶりに行われました。この基準は第107回(2018年)の看護師国家試験から適用されます。

前回の「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」に続き、今回は「健康支援と社会保障制度」の項目についてお伝えします。

 

変更点まとめ

一般・状況設定問題編(2)

 

変更された箇所を丁寧に見ていくと、国試対策をするにあたって、どこを中心に勉強すればよいかが見えてきます。

ひとつずつ、一緒に確認していきましょう(詳細は原典〈PDF〉をご覧ください)。

 

 

 

〈1〉社会・生活基盤と健康

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈1〉社会・生活基盤と健康 出題基準変更点の図表

「出生」「婚姻、離婚」が追加されている点に注目です。

前回まで小項目だった「ライフサイクル」というカテゴリーが中項目になり、現代社会に対応した内容になっていることがわかります。

 

 

〈2〉家族の機能やライフスタイルの変化

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈2〉家族の機能やライフスタイルの変化 出題基準変更点の図表

「少子化」は「少子化、晩婚化、晩産化」に変更されました。

ここでも現代のライフスタイルに合わせた内容になったことがうかがえます。

 

生活習慣病については、ここでは削除されていますが、〈11〉生活者の健康増進に「生活習慣病の予防」という項目があります。

 

 

〈3〉社会の中の集団

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈3〉社会の中の集団 出題基準変更点の図表

「地域集団<コミュニティ・サポート>」「フォーマルサポート、インフォーマルサポート」という新出語が追加されました。

国試本番で見なれない言葉が出てきたら焦ってしまいますよね。

わからない言葉は要チェック。調べる習慣をつけておきましょう。

 

削除された項目は、まとめて「地域や職場における人間関係」に統合されています。

 

 

〈4〉社会保障制度の基本

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈4〉社会保障制度の基本 出題基準変更点の図表

「地域包括ケアシステム」は、老年看護学や在宅介護論でも出てきます。

第106回国試では、「地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか」という、そのものずばりの問題が出されました。

厚生労働省のホームページなどで、どのような支援・サービス提供体制なのかを確認しておきましょう。

 

「マイナンバー制度」についても内容を知っておく必要がありそうです。

 

 

〈5〉社会保険制度の基本

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈5〉社会保険制度の基本 出題基準変更点の図表

「被用者保険」は、雇用された人が加入する保険の総称を指します。

また、介護保険制度の項目に「介護サービス」が追加されました。

 

 

〈6〉社会福祉に関する法や施策

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈6〉社会福祉に関する法や施策 出題基準変更点の図表

削除された「障害者基本計画と障害者プラン」は、「障害者雇用促進法」「障害者差別解消法」「障害者基本計画」として具体的な小項目に変更されました。

 

 

〈7〉健康と公衆衛生

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈7〉健康と公衆衛生 出題基準変更点の図表

「ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ」は、保健師国家試験で出題されている項目ですが、看護師にも必要な知識として今回から追加されました。

 

「受療状況、有病率、罹患率」などの主なデータについては、最新の『国民衛生の動向』(厚生労働統計協会)で暗記しておきましょう。

 

 

 

〈8〉公衆衛生における感染症と対策

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈8〉公衆衛生における感染症と対策 出題基準変更点の図表

以前まで中項目だった「感染症とその予防」が「公衆衛生における感染症と対策」として大項目になりました。

第106回国試では「人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか」という改定を先取りした問題が出題されています(正解は黄熱)。

 

 

〈9〉公衆衛生における生活環境と問題への対策

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈9〉公衆衛生における生活環境と問題への対策 出題基準変更点の図表

「食中毒の予防」が追加されています。

ノロウイルスやカンピロバクター、O157など、食中毒のニュースは頻繁に報道されています。食中毒の原因だけでなく、予防や二次感染対策までおさえておきましょう。

 

 

〈10〉保健活動の基盤となる法や施策

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈10〉保健活動の基盤となる法や施策 出題基準変更点の図表

「特定疾患治療研究事業」は、2015年1月1日に施行された「難病法」に変更されました。

指定難病の定義や認定疾患の数などを覚えておくとよいでしょう。

 

「市町村保健センター」「保健所」は削除されていますが、必修科目の出題基準に「市町村」「保健所」として入っています。

同様に「児童虐待防止」は小児看護学の項目に入っています。

 

 

〈11〉生活者の健康増進

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈11〉生活者の健康増進 出題基準変更点の図表

「生活者の健康増進」という大項目が追加されました。

平成26年版<11>保健活動より「生活習慣病の予防」「職場の健康管理」がここに移動しています。

小項目の内容は変更ありません。

 

〈12〉人々の健康を守る従事者や機関に関する法や施策

看護師国家試験 健康支援と社会保障制度〈12〉人々の健康を守る従事者や機関に関する法や施策 出題基準変更点の図表

「栄養士法」が追加されました。

また、「地域包括支援センター」は必修科目でも出てくる頻出キーワードです。

国試の過去問では、設置運営主体(第103回)や機能(第99回)について出題されているので、チェックしておくとよいでしょう。

 

「保健師助産師看護師法」は小項目になり、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」と一緒に「看護職に関する法律」としてまとめられました。

 

 

***

次回は、一般・状況設定問題「基礎看護学」についてお伝えします。

【看護roo!編集部】

 

 

(参考)

「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成 30 年版」の改定概要について(厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成26年版、厚生労働省)

看護師国家試験出題基準(平成30年版、厚生労働省)

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