自分に合う職場探し・6つのポイント 訪問看護ステーションの選び方
訪問看護師への転職を考えている看護師さんのために、訪問看護ステーションを選ぶときに確認したい6つのポイントをご紹介します。
目次
訪問看護ステーション選び 6つのチェックポイント
訪問看護ステーションに転職するときは、給料・年収や通勤距離といった基本的な条件のほかに、6つのチェックポイントがあります。
この6つを確認しておくことで、転職後の「こんなはずじゃなかった」が防げます。
1オンコールの体制は?
オンコールの体制がどうなっているかは、必ず確認しておくべき項目です。
訪問看護ステーションの多くは、利用者さんの急変などに備えて24時間体制をとっています。
そのため、訪問看護師には、夜間や休日のオンコール対応があるのが一般的です。
次の3点は、面接などでぜひ質問してみましょう。
Point!
- “持つ頻度”
:月に何回くらいオンコール当番を担当する? - “鳴る頻度”
:オンコールの電話はどのくらいかかってくる? - “出る頻度”
:オンコールを受けたうち、何件くらい緊急訪問する?
また、求人情報の「常勤看護師の人数」もオンコールの担当回数を推定する目安になります。
(例:常勤看護師が5人→30日÷5人=月6回くらい)
先輩からヒトコト
日勤だけでも歓迎!というステーションなどでは「オンコールなし」の求人もあります。
ただ、その場合もオンコールを担当できる人が足りなくなり「結局、オンコール対応を頼まれるようになった」ということはあり得ます。気になる方は面接などで、なお確認しておいた方が良いでしょう。
2土日休み?
訪問看護ステーションは、基本の営業日を「月曜~金曜」としていることが多く、訪問看護師は土日祝日の休みが多いのが一般的です。
ただし、ステーションによっては営業日を「月曜~土曜」としているところもあります。
また、土日祝日にオンコールの当番が回ってくることもあるでしょう。
求人情報では「休み:土日祝(土曜は月◯回出勤あり)」といった形で記載されているので確認しましょう。
先輩からヒトコト
お子さんがいるなどで、土日休みの実際のところを知りたい方は、オンコールの体制と合わせて面接時に確認しておくと、転職後のギャップを防げます。
3医療法人?民間企業の株式会社?
訪問看護ステーションを運営するのが、病院などを持つ「医療法人」か、民間企業の「株式会社(営利法人)」かという点も、実は隠れたチェックポイントです。
すべてのステーションに当てはまるわけではありませんが、運営母体によって、おおむね次のような傾向がみられます。
- グループ内に病院などがあり、病棟や外来への異動も可能・人員の調整が柔軟
- 医師の存在が身近なので、連携しやすい・安心
- ステーションの閉鎖や撤退がほぼない
- 訪問件数などの実績が給料・賞与に反映されやすい
- 経営の視点・マインドが育てられる
- 拠点を拡大する会社が多く、管理職・マネジメント経験を積むチャンスが多い
いずれは病棟に戻りたい方・安定志向の方は、医療法人のステーションが合っているかもしれません。
管理者としてステップアップしたい方・将来は独立も視野に入れたい方・病院とは違う風土で働いてみたい方は、株式会社のステーションに向いているでしょう。
先輩からヒトコト
株式会社のステーションでは利用者獲得のため、訪問看護師が“営業活動”をすることもあります。
営業といっても、地域のケアマネジャー(居宅介護支援事業所)に自施設の案内を配るなどですが、気がかりな方はノルマなどはあるか、確認しておくと良いですね。
4ステーションの規模は?
訪問看護ステーションの規模(ステーション内の看護師数、運営する拠点数)も、ステーション選びの指標の一つです。
※ステーション内の看護師が10人前後いる/複数のステーションを運営している
- 経営が安定している
- 教育・研修体制が充実している、若手の採用・育成にも積極的
- 蓄積した業務ノウハウがあり、マニュアルなどが整っている
- 人数が多いため、1人にかかる負担が軽減される・休日取得に融通がききやすい
- 組織が大きく、個人の意見が反映されにくい
※ステーション内の看護師が5人未満/1つのステーションのみ運営している
- スタッフ間のコミュニケーションが密で、アットホームな雰囲気がある
- 看護の理念を共有しやすく、個人の意見が反映されやすい
- 個々の裁量権が大きく、若いうちから採用などのマネジメントに携われる
- 自分たちでステーションをつくる・育てる楽しさを感じられる
- 人数が少ないため、1人にかかる負担が大きい・休日取得の融通がききにくい
安定志向の方は、大規模なステーションのほうが向いているでしょう。
一方、イチから作り上げていくことにやりがいを感じられる方は小規模なステーションがおすすめです。
教育体制は大規模な訪問看護ステーションのほうが充実していることが多く、新卒や2~3年目の若手の看護師さんの場合、ある程度、規模の大きいステーションで経験を積むほうが安心できるかもしれません。
5利用者さんはどんな人が多い?
訪問看護は、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い方が対象になりますが、どんな利用者さんが多いかは、訪問看護ステーションによって違いがあります。
- 医療的ケアが必要な小児の利用者さんが多い
- ALS(筋萎縮性側索硬化症)やSCD(脊髄小脳変性症)などの難病の利用者さんが多い
- がんのターミナルの利用者さんが多い
- 精神疾患の利用者さんが多い
- 要介護度の低い、リハビリテーションが主体の利用者さんが多い
など、それぞれのステーションに特色があり、訪問看護師として実践する看護ケアも多少変わってきます。
「在宅で看取りに携わりたい」「小児科での経験を生かして、医療的ケア児をサポートしたい」「医療処置が多いほうが良い」などの希望がある方は、ステーションのホームページや面接などで、利用者さんに多い疾患・病態や年齢層などを確認すると良いでしょう。
6教育・研修の体制は?
訪問看護師への転職を考えている方は、ほとんどが在宅未経験なので、教育・研修体制の充実度も気になるポイントでしょう。
- 入職した後、どのくらいの期間、先輩による同行訪問があるか
- 未経験者や若手向けの教育プログラムはあるか
- 訪問看護認定看護師(在宅ケア認定看護師)がいるか
などが、教育体制の充実度を知る目安となります。
教育・研修体制は、大規模な訪問看護ステーションのほうが充実していることが多いようです。
職員数・運営するステーション数が多く、これまでのノウハウが蓄積しているので、独自の教育プログラムを組んでいたり、入職後の同行訪問も2~3カ月(通常は1カ月が多い)と長めに設定してもらえたり、1人での訪問が心配な方には安心です。
先輩からヒトコト
最近は小規模なステーションでも「若手や未経験者も採用していこう」と、教育体制を充実させるところが増えてきました。
ホームページなどでキャリア開発ラダーや教育・研修プログラムを紹介しているステーションも多いので、チェックしてみましょう。
自分に合った訪問看護ステーションを探すうえで、面接などできちんと確認するのはもちろん大切なこと。
けれども「オンコールはあまり担当したくないのですが…」「土日は完全にお休みをもらえますか」「1人での訪問が不安なので、同行訪問の期間を長めにしてもらえますか」など、要望や不安を強く伝えすぎるのはNGです。
ステーション側に「この人、大丈夫かな?」と思わせてしまいます。
訪問看護師をもっと知りたい!
1日の流れやお給料など、訪問看護師にまつわる気になる疑問をまるっと解説しています。