アミノ酸濃度がん判定検査「アミノインデックスがんスクリーニング(AICS)」自治体初の実施結果とは
血液中のアミノ酸濃度を調べることで、がんにかかっている可能性を割り出すことのできる「アミノインデックスがんスクリーニング(AICS)」を導入したのは、鳥取県南部町立西伯病院。自治体としては全国で初めて、2012年からがん検診に導入しました。
2年余りに渡って行われた検査の成果報告によると、この検査を導入したことで受診率が向上し、15例のがんが発見されました。発見率は48%にのぼります。
アミノ酸濃度でがん判定 西伯病院が成果公表(日本海新聞)※リンク先は現在閲覧できません
町内で15例のがん発見につながった「アミノインデックスがんスクリーニング(AICS)」とは
西伯病院が2012年1月より行なったのは、「アミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)」と呼ばれる検査です。
AICSは、少量の採血からアミノ酸濃度のバランスを調べることで、現在がんに羅患しているリスク(可能性)を調べることができる検査。健康な人とがんである人の血漿中のアミノ酸濃度のバランスの違いを統計的に解析するもので、味の素の技術を応用して開発されました。
AICSは保険適用外の検査で、全国の医療機関で多く採用されていますが、自治体のがん検診に採用されたのは西伯病院が国内初です。
現在リスク評価の対象となるがんは、男性では胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がんの合計5種。女性では胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、子宮がん・卵巣がんの合計6種です。
検査結果はがんリスクによってランクA~Cに分類されます。「ランクC」と診断されると、がんの可能性が通常より10倍程度高いとされ、精密検査を受診します。
西伯病院の検査で1項目以上がランクCと判定された(スクリーニングされた)方のうち、精密検査でがんが発見されたのは15例(48%)でした。
●ランクCの項目数ごとの発見内訳
2項目がランクC | 6例発見(196例中) |
3項目がランクC | 5例発見(80例中) |
4項目がランクC | 1例発見(33例中) |
町民のがん検診の受診率が向上
また、この検査の導入によって、南部町内のがん検診の受診率が高まったことも挙げられています。胃がんは31.3%から38.7%へ、肺がんが29.1%から39.5%へ、大腸がんが30.2%から41%へと向上しています。
これに対し、西伯病院の木村院長は、「これからも長い目でがんの可能性を調査して早期発見につなげ、生活習慣病や運動機能低下の改善の指導をすることで、健康で活力にあふれた地域づくりに貢献したい」と話しています。
検査の導入により、がん早期発見はもちろん、町民が自ら積極的に健康管理に取り組むようになったのは、何より大きな功績といえるでしょう。
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