ここが変わる「看護必要度」最速チェック! |ナースのための2018診療報酬・介護報酬改定【1】

診療報酬改定のたびに見直される「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)。2018年度の改定でも、評価項目や該当患者の基準が一部見直しになりました。

 

2018年4月から適用される新たな看護必要度は、どこがどう変わるのか。

春からの評価・入力作業をスムーズに進めるためにも、さっそくポイントを押さえておきましょう。

 

看護必要度 2018改定の変更点

1)該当患者の基準が追加される

2)C項目「開腹手術(C18)」の対象日数が5日から4日に短縮される

 

 

2018改定後の看護必要度はB項目がカギ

 

看護必要度の見直し点一覧、A項目は変更なし、B項目は「診療・療養上の指示が通じる」と「危険行動」がカギ、C項目は「開腹手術」の算定日数が5日から4日に短縮

 

該当患者の基準が増えたのはなぜ?

注目したいのは、該当患者の基準が追加された点です。

 

看護必要度の該当患者の基準一覧(2018年度診療報酬改定の見直し後)、1)A項目2点以上かつB項目3点以上、2)A項目3点以上、3)C項目1点以上、4)「A項目1点以上かつB項目3点以上」かつ「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当、4)が追加された

 

なぜ、この基準が追加されたのでしょうか。

それは、高齢化に伴って急性期病棟でも増えている、認知症やせん妄のある患者への対応をもっと評価しようという狙いがあるからです。

 

もともと「診療・療養上の指示が通じる」と「危険行動」の2つは、前回の2016年度改定で新しく加えられた評価項目。認知症・せん妄への対応を今回、さらに一歩進める形です。

 

 

急性期病院で増える認知症、せん妄…現場の負担に配慮

厚生労働省の調査によると、7対1病棟で認知症のある患者は約13%。このうち、BPSD(認知症による行動・心理症状)が見られる患者は40%に上ります。また、せん妄症状(術後以外)も2.7%の患者で確認されました。

 

7対1病棟の認知症患者の割合の円グラフ(n=12,748人)、認知症なし68%、認知症の診断を受けていない16%、未回答3%、さらに認知症あり13%のうちBPSDなし54%、不明6%

出典:中央社会保険医療協議会(第373回)入院医療(その7)

 

認知症やBPSD、せん妄の症状がある入院患者は、そうでない患者に比べて、より密度の高い医療・ケアを必要とするのは言うまでもありません。

 

「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」に当てはまる患者は、A項目が1点でもカウントしやすくなり、現場の負担感にも沿った見直しと言えるでしょう。

 

 

重症患者割合も見直し、「30%以上」に引き上げ

ただ、基準が追加されたということは当然、看護必要度の基準を満たす患者=「重症患者」も増えるということになりますよね。

 

急性期病棟として届け出るには、「入院患者のうち、一定の割合を重症患者が占めること」が必要です。この条件が緩くならないように、看護必要度の見直しとセットで重症患者の割合も見直しになっています。

 

例えば、「急性期一般入院基本料1」(現行の7対1病棟)では、病棟の入院患者のうち重症患者の割合が「30%以上」を満たすように、条件が引き上げられます。単純計算では、60人の病棟のうち18人が看護必要度の基準を満たす、というイメージですね。

 

 

ベッドコントロールはさらに厳しく…?

7対1病棟の現行の条件は「25%以上」ですから、30%は一気にハードルが高くなったようにも感じますが、見直し前の看護必要度に置き換えると「26.6%」と同じくらいの条件なので、数字的にはわずかな引き上げにとどまります。

 

とはいえ、これまで25%の条件ギリギリで回していた7対1病棟、追加された基準に合うような認知症やせん妄のある患者の受け入れが少なかった7対1病棟にとっては、影響は小さくありません。

 

30%の条件をクリアするため、病院によっては、認知症やせん妄のハイリスク患者の受け入れを強化したり、7対1の届け出をやめたりすることも考えられます。C項目の開腹手術も評価日数が短くなることもあり、急性期のベッドコントロールが今よりも目まぐるしくなるのは避けられない見通しです。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

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(参考)

答申について・個別改定項目・PDF(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会総会(第373回)入院医療(その7)・PDF(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会総会(第382回)入院医療(その10)・PDF(厚生労働省)

中央社会保険医療協議会総会(第386回)入院医療(その11)・PDF(厚生労働省)

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