訪問看護は「貧乏くさい」？いいえ、クリエイティブな仕事です。｜ゼロからの訪問看護

2015/10/16

ゼロからの訪問看護

Vol.4 訪問看護は「貧乏くさい」？いいえ、クリエイティブな仕事です。

訪問看護では、病院と違い医療物品を全て完璧に揃えるのは難しいので、いろいろと工夫して手作りすることも多いです。また、物品はご家族に実費で用意していただくことが多いので無駄のないようにすることがとても重要です。

病棟で働く友人に陰洗ボトルをペットボトルで作った話をしたところ、「だから訪問看護は貧乏くさくてイヤだ」と言われたことがあります。

私は、患者さんの状況に合わせて物品を工夫し、無駄のないよう効率的なケアを考えていくことは、訪問看護の面白みのひとつだと思いますし、とても創造的な行為だと思っています。

また、訪問看護の場合決められた時間の中ですべて一人でケアしなければならないので、物品の準備から動線、ケアの手順なども動きに無駄がないよう、事前に考えてから動くようにしています。

1つの手袋を徹底活用

病院では、感染防止の観点から、ひとつのケアを終えたら手袋を新しいものに変える「1手技1手袋」が基本だと思います。

在宅でも感染防止を徹底して行うという基本は同じなのですが、ケアの方法や手順、動きを考えてなるべく無駄がでないように工夫をしています。

たとえば、口腔ケアに使った手袋を洗髪に使う、手袋を片手ですむようにケアを工夫する、などです。

病院でも物品に関してのコスト意識を求められることはあると思いますが、訪問看護では、その負担は直接患者さんとご家族に降りかかるため、よりシビアなのは当たり前だと思います。

そこにきちんと配慮するのも、訪問看護師として大切なことだと思っています。

●手作り物品1：お薬カレンダー

患者さんの状態に合わせて必要な物品も異なります。

たとえば、認認症で薬を定期的に飲むことが難しい患者さんの場合、私たち訪問看護師が薬を預かり「お薬カレンダー」に薬をセットすることがあります。既製品を購入していただく場合もあるのですが、患者さんによっては、金銭的に余裕のない方もいらっしゃるので、看護師がダンボールや安価な文房具を使って手作りする場合もよくあるのです。

●手作り物品2：簡易洗髪器

冒頭で「貧乏くさい」と評された、ペットボトルの陰部洗浄ボトルはスグレモノです。ペットボトルですから、ベコベコにへこんだらまた新しいペットボトルで手作りすればよいだけ。経済的ですよね。

500mlのボトルで同様のものを数本作っておけば、洗髪にも使えます。洗髪の際にはタオルやヒモ、ゴミ袋を使って簡易洗髪器を作ることも。いかに無駄なく効率的にケアできるかを考えつつ、製作するのです。

100均は訪問看護師の味方！

患者さんのケアをしていて「こんなものがあったらいいのに」と思ったら、まずは100円均一ショップをのぞきに行きます。前述の「お薬カレンダー」も、手作りしなくても最近では100円ショップで売られていることがあります。

こういったそのものずばりの商品を探すこともショップをのぞく目的のひとつなのですが、これとこれを組み合わせれば物品が作れるかもしれないと考えながらショップ内を見てまわるのも楽しいものです。

ちなみに洗髪の際に使うボトルは、ペットボトルでの手作りでも十分なのですが、案外園芸用の水やりボトルや化粧品用のボトルが使いやすかったりします。園芸用の水やりボトルは先がうまい具合に曲がっていたりして髪が洗いやすいのです。意外ですが、ケチャップやからしを入れる食品用ボトルも陰洗ボトルとして使うことがあります。

物品に関しては、ご家族が「これ、100均で見つけたんだけど使えないかしら？」と見つけてきてくれることも多く、一緒に考えながら患者さんにもっとも合うものを作っていきます。

次回は、やっとひとり立ちしてから起こったエピソードを中心にお話したいと思います。

【筆者】なつのようこ

訪問看護師2年目。一般企業で勤務する中で在宅医療に触れ、自ら訪問看護師になるべく辞職し42歳で看護学校に入学。看護師として一般病院で1年勤務後、訪問看護ステーションに入職し勤務中。

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