2016診療報酬改定|「重症度、医療・看護必要度」を見直しへ

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診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(会長:国際医療福祉大大学院教授の武藤正樹氏)は7月16日、2016年度診療報酬改定に向けて7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」のあり方などについて検討した。

 

「A項目2点以上かつB項目3点以上」という現在の基準を満たさない患者でも、医師による指示見直しや看護師による看護が頻回にわたって必要なケースが一定程度存在することから、A項目のみの評価を追加することなどを求める意見が多くの委員から上がった。

(豊川 琢=日経ヘルスケア)

 

7月16日に開かれた「入院医療等の調査・評価分科会」

7月16日に開かれた「入院医療等の調査・評価分科会」では、7対1入院基本料の要件である「重症度、医療・看護必要度」のあり方などについて議論された。

 

「重症度、医療・看護必要度」は、創傷処置や呼吸ケアの実施など医学的な処置の必要性を評価するA項目と、寝返りや起き上がりの可否など患者の日常生活機能を判定するB項目で構成される。それぞれの処置や日常生活機能に点数が設定され、7対1入院基本料の場合、「『A項目2点以上かつB項目3点以上』を満たす入院患者の割合が15%以上」という要件が課されている。 

 

厚生労働省は同日の分科会で、看護師による処置、観察、アセスメントが必要な頻度をまとめたデータを提示。

「1日3回以上の看護師による処置等が必要」な患者の割合は、「A項目2点以上かつB項目3点以上」の患者では70%程度だったが、同基準を満たさない患者でも40%程度存在した(図1)。医師による指示の見直し頻度に関しても、同基準を満たしていなくても「1日1回以上、指示の見直しが必要」な患者が35%程度存在した。

 

図1 看護師による処置、観察、アセスメントが必要な頻度 

図1 看護師による処置、観察、アセスメントが必要な頻度

 

さらに、手術の当日でも同基準に該当する患者の割合は45%程度にとどまり、救急搬送患者に関しても、80%程度の施設で該当患者の割合が20%以下だった。AとB項目の該当患者割合の相関を見ても、A項目の割合が高くB項目の割合が低い患者が相当数いた(図2)。

 

図2 A・B項目の該当患者割合別の医療機関分布

図2 A・B項目の該当患者割合別の医療機関分布

 

こうした状況に対して委員からは、「手術直後や救急の重症患者が該当するように基準を見直すべき」「早期離床を実現するとB項目が低くなるので、A項目をもっと重視すべき」「A項目だけで重症の定義づけをしてほしい」といった声が上がり、A項目のみの評価体系を設ける必要性が指摘された。

 

また、同日の分科会ではB項目についても議論。7対1入院基本料における7項目のうち「寝返り」「起き上がり」「座位保持」に極めて高い相関があったことなどから厚労省は、「『起き上がり』『座位保持』については、評価から除外しても基準を満たす患者の割合にほとんど変化はなかった」と分析した。

現行の「B項目3点以上」を満たさなくても認知症患者が一定程度見られ、看護の提供頻度が高い傾向があることも判明。これに対して、「B項目は簡素化すべき」「認知症に関する指標を入れた方がよい」といった意見が出された。 

 

このほか、退院支援にかかる報酬に関しても検討。退院支援を評価する診療報酬点数は多くあるが、「退院調整加算」「総合評価加算」「介護支援連携指導料」などの一部項目を除き、算定回数はそれほど多くない現状が判明(図3)。

2016年度改定では、これら点数が整理される可能性もありそうだ。

 

図3 退院支援にかかる主な診療報酬点数の算定状況

図3 退院支援にかかる主な診療報酬点数の算定状況

 

<掲載元>

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